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通常の働き方が難しい人にも力を発揮できる場所を。従来の常識を覆して完全在宅勤務&ペーパーレス100%を実現したCVC会計事務所

HUPRO 編集部
通常の働き方が難しい人にも力を発揮できる場所を。従来の常識を覆して完全在宅勤務&ペーパーレス100%を実現したCVC会計事務所

「ミスは許されない」「クライアントの言うことは絶対」「長時間労働は当たり前」などの税務・会計業界における慣習に疑問を抱いてきた、CVC会計事務所の代表・天野正康氏。グローバル時代のニーズを読み、従来の常識にとらわれない新しい働き方のできる事業の仕組みを整え、フルリモート&ペーパーレス100%を実現しました。日本全国どこからでも仕事ができ、各々が得意分野でのびのびと力を発揮しているという同社について、天野代表と同社の税理士・大槻佳代子氏にヒュープロ編集部がお話を伺いました。

先進的な取り組みでフルリモート&ペーパーレス100%を実現

ーまずは天野正康代表にお話を伺います。完全在宅勤務というのは本当なのでしょうか?

はい、本当です。弊所には北海道から九州まで、全国に約40名の所員がおり、その全員がフルリモートで勤務しています。一応、東京にオフィスを構えてはいますが、スタッフが来るのは週に2日だけ、一人が2時間来るのみです。スタッフの大半は、一度もオフィスに来たことがありません。

ーフルリモート勤務はこの業界ではかなり珍しいことです。貴所ではなぜこのような働き方が可能なのですか?

freeeの導入+ペーパーレス化+mtgはオンラインのみという、この3点を実現したためです。これらをある程度導入している会計事務所は多いと思いますが、弊所の場合は99%ではなく、100%達成しています。そのためにフルリモートが実現できています。
極端な話、紙を1枚でも扱ってしまうと、スタッフがオフィスに来る必要が生じるため、採用は東京近郊に限られます。また、オフラインmtgを1件でも行ってしまうと、会議室を構えなければいけなくなるため、やはりオフィスに出勤する必要が生じてしまいます。
弊所は、この1枚、1件を妥協せずに完全になくしたので、完全フルリモート勤務が可能になっています。

ークライアントにはどのような方がいらっしゃるのですか?

中国系企業が100%です。一部の富裕層は、会社を設立することで経営管理ビザを取得します。この法人が弊所のクライアントになります。
国際常識もあり、ビザというハンデがあるため、日本人より高いコンプラ意識を持っている人たちです。税理士の指導を素直に聞いてくれますし、トラブルを起こすこともないので、付き合っていて楽しい人たちです。

ー言葉や文化の壁もありそうですが、どのように対応しているのでしょう?

翻訳アプリのレベルも上がっていますし、弊所には中国人スタッフが8名おり、通訳・翻訳が必要な場合はその人たちにお願いしています。
また、言語は大事な要素ですが、一番ではありません。言語が一番大事なら、世の中の税理士は全員、クライアントから満足されているはずです。言語よりも大事な部分を理解し、実践すれば、大きな支障にはなりません。
なお、当社の場合は、ハラスメント系の社長、費用にうるさい人、些細なミスを咎める人、弊所のスタッフに対して厳しく当たる人などは全て解約します。値上げ交渉を渋る、月次資料をなかなか提出してくれないなどの相手も、全て解約しています。

-貴所のほうから積極的に解約するということですか?

そうです。今、弊所には、法人では300社くらいのクライアントを抱えていますが、その裏側では80社くらいを解約しています。そのうち60社くらいは弊所から解約を申し出ており、会計業界の常識からは大きく外れていると思います。
会計業界で働いている人で本当に心から楽しく働いている人は少なく、多くの人はミスやクライアントに怯えながら仕事をしていると思っています。この根本的な原因は、私は、会計事務所がどんなクライアントでも契約するダボハゼ営業にあると思っています。私は、弊所の仕事の価値を見てくれて、かつ人として当たり前の対応をしてくれる人たちと付き合いたいと思い、実践しているのです。
もちろん、そのためには通常以上の営業力が必要です。とはいえ、「鶏が先か卵が先か」の理論だと考えており、嫌なクライアントを解約してスタッフがフルパワーで働ける環境を整えれば、スタッフのクライアントに対する愛情が生まれて、それが良いサービスに繋がり、結果として継続率や新規の紹介にも繋がっていきます。

意欲と能力が高くても働けないジレンマ

ー貴所のような方針や働き方なら顧客対応にまつわるストレスも少なく、落ち着いて仕事に集中できそうです。スタッフにはどのような方がいらっしゃるのでしょうか?

今いる人たちは、ほとんどが子育て中の人です。
特に地方だと、産休制度がきちんと運用されている会計事務所が少ないので、出産を機に退職する人も多いです。さらに、シングルマザーで親の助けも借りられない人だと、会計業界で活躍するのは非常に厳しくなってきます。
当社で働くスタッフは、こういった環境にいた人が多いです。
今回同席している税理士の大槻も小学生の子どもを持つシングルマザーです。

ー通常の働き方をするのが難しい人を優先的に採用しようと思われたのはなぜですか?

体は元気で、能力もあり、心の姿勢が良くても、社会的なハンデを負っているために活躍できない人、苦しんでいる人は多いです。当社のフルリモートの仕組みがあればこういった人たちが活躍できますし、それは事務所にとってもありがたいことです。
当社の仕組みを使って、仕事を通じてスタッフの経済面を全力で助けたいという思いに加えて、どうせ採用するなら、全力で事務所を盛り上げてくれる、人として対等な立場で付き合えるスタッフを採用したいと考えたのです。

ーその方針で採用を行った結果、子育て中の人がたくさん集まる事務所になったのですね。

はい。私自身も3人の子どもがおり、家事・育児と仕事を両立する大変さを知っています。
子どもが熱を出したら早退して幼稚園に迎えに行き、次の日は会社を休めても、3日目となると休みを取るのはなかなか難しい。微熱があってぐずっている子どもを強引に幼稚園に連れて行ったり、雨の日に大変な思いをしてベビーカーでバスに乗ったりと、親は体力も気力も削られ、子どもに愛情を注ぐどころではありません。
しかし、当社のフルリモートの仕組みなら、子どもが何日熱を出しても大丈夫ですし、夏休みも怖くありません。いつも子どもの隣にいて、心に余裕を持って子どもに愛情を注ぐことができます。
コスト削減といった消極的な理由でリモートを推進しているのではなく、私自身が本当に欲しいと思える仕組みを追求しているからこそ、人が集まり始めているのだと思います。

フルタイム勤務が難しくても得意を活かして働ける

ー今後採用を予定している人材(税理士、会計スタッフ)はどのような人ですか?

税理士については「10年近くの実務経験のある有資格者」という条件はありますが、前提として、何らかの社会的なハンデがあり、通常の出勤スタイルでの勤務が難しい人を求めています。
たとえば、自身が健康で、子どもも大きく、外で働くことができる人は、わざわざ当社で働かなくていいでしょう。もしくは、配偶者がいて、自分が働かなくても経済的に成り立つような人も、他の26,000社の会計事務所の中から好きな事務所を選べばいいと思います。
弊所が求めている人材は、弊所の仕組みでしか働くことができない人です。

ー高度なスキルや専門性を身につけたい人だと、あまり相性がよくない可能性が……?

税理士の場合は、そう思います。全体的にクライアントの規模が小さいため、大手のように税理としての専門性を高めるのは弊所では難しいと思います。
また、以前は私も、会計士・税理士としての専門性を高める必要があると常に考えていましたが、今は、もう少し広い視点で考え、専門分野を一つ増やすために転職をし、そこに長い年月を費やすよりも、効率よく働いて、その分、家族との時間を増やしたり、自分の趣味や好きなことにエネルギーを使ったりするほうが人生が豊かになると考えています。
実際、私は、格闘技、ジム、ボイトレ、英語など、月に30~40個くらいのレッスンを受けています。今から仕事の専門分野を1つ増やすよりも、今のスタイルのほうが人生が充実すると実感しています。

ー仕事の専門性を高めることがよしとされるなか、かなりユニークな方針かもしれません。

専門性を高める大きな目的の一つは、税理士としての付加価値を高めて、稼げるようになるためだと思います。弊所の場合は、私が健康でいる限りは、稼ぐ仕組みや営業については責任を持って対処しますので、スタッフは弊所の仕組みの中で全力で頑張ってくれれば稼いでいけるはずです。「資産税などの1つの分野を極める」か、「CVC会計事務所を極める」かの違いであって、CVC会計事務所を極めてくれれば十分稼げますし、なおかつプライベートも十分に充実させることができると考えています。

ー先ほど「ダボハゼ営業をやめるには通常以上の営業力が必要」というお話もありましたが、貴所における営業力とは、具体的には?

SNSの活用や全国の行政書士との提携等も行っていますが、一番大事な部分はシンプルです。毎月の会計報告、中国語によるコミュニケーション、日本人税理士のアサイン、税務調査に耐えられる水準での申告、迅速なレス。これらを、東京の一般的な価格帯で、100%実施しています。この繰り返しで信用を得ることが紹介に繋がっていると考えています。

フェアな立場でお互い本気で仕事をしたい

ー国際情勢や社会のニーズをうまく捉えた事業を、働く人にも優しい形に落とし込んだ手腕がお見事です。今後の貴社についてお聞かせください。

中国関係では日本一の事務所になったと思いますが、中国から日本に来た社長たちの間で、「税務に関してはCVC会計と契約すれば安心」と言われる位置までいきたいと思っています。私もかつて、大連や上海に会社を設立したことがあり、海外でビジネスを行うストレスは理解しているつもりです。全員とは言いませんが、少なくとも、気持ちが通じる人、助けたいと思える人については、会計人としてしっかり支えていきたいと思っています。
また、採用のために事務所の認知度を上げていきたいです。日本では弊所にしかないユニークな特徴がたくさんありますが、今はあまり知られていないので、もっと知名度を上げ、日本のどこかで弊所の仕組みを求めている人を採用していきたいです。

ー最後に、応募を検討している方へメッセージをお願いします。

雇用主が偉いとか、フルタイムが優秀とか、そういった偏見には興味がありません。当社の仕組みがあれば活躍できる人を求めていますので、お互いにフェアな立場で支え合えたらと思っています。ご応募をお待ちしています。

フルリモートは想像していた以上に快適

ー次に、税理士の大槻佳代子さんにお話を伺います。大槻さんも在宅で働かれているのですか?

はい、京都からリモートワークしています。主な業務はクライアントからの質問対応、会計データのチェック、月次報告などで、50社ほどのクライアントを担当しています。年に1回程度、相続税の申告業務も行っています。2020年の1月に弊所に転職してきて、ちょうど丸5年経ったところです。

ー仕事をしていて不便を感じることなどはありませんか?

入所前は「リモートだと困ることがあるのではないか」と不安に思う気持ちもありました。しかし、実際には全く問題はなく、想像以上に働きやすい環境でした。難しい税務相談を受けたときは、代表の天野や他の税理士に気軽に相談できますし、入力スタッフや翻訳スタッフもとても能力の高い人ばかりで、メールやチャットでスムーズにコミュニケーションが取れています。これまで働いてきた事務所と比べても、社内のコミュニケーションは極めて円滑に進められていると感じます。クライアントとのコミュニケーションにおいても、言葉の面でも人柄の面でも困るようなことはなく、いい人ばかりです。

仕事と子育ての両立のために転職

ー2020年の1月に転職されてきたということですが、どのような経緯で入所されたのですか?

ここに来る前は大阪の会計事務所で働いていましたが、在宅勤務が不可だったため、子育てと仕事を両立できませんでした。転職エージェントにも相談しましたが、在宅勤務だとパートタイムでの雇用しか見つからなくて困っていたところ、たまたまインターネットでCVC会計事務所のホームページを見つけたのです。

ー渡りに船だったのですね。

そうですね。税理士や会計士がミスに怯えながら仕事をしていることや、業務内容と収入面が釣り合っていないことなど、CVC会計事務所のホームページに綴られた天野の思いにも共感しました。「うちの事務所なら大槻さんが望む働き方ができると思います」と天野に言われたのも心強かったです。

収入面でも満足のいく待遇を受けられている

ー望む働き方は実際に実現できていますか?

はい。子どもを小学校に送り出してから家事を済ませ、10時過ぎからシェアオフィスで仕事をし、子どもが学童から帰ってくる17時前には帰宅しています。家でも1時間くらいは仕事をしますが、自分の用事は平日の仕事の合間に済ませ、土日は子どもとの時間にあてています。このような働き方をしながら収入面でも満足のいく待遇を受けられています。これまでの事務所と比較して、年収も増えたので「キャリアアップできた」という強い実感があります。

ーそれは素晴らしいですね! ちなみに、勤務時間や仕事量、お給料などはどのように決まるのでしょうか?

採用当初の年収は現在の3分の1程度でしたが、実際に働く様子を見てもらったうえで、勤務時間や年収などのこちらの希望を示しつつ、天野と相談しながら決めていきました。仕事量や年収をさらに増やすことも可能だと言われていますが、今は子どもとの時間を優先したいので、当面は現状維持の予定です。

ー貴所では複雑な案件を扱っていないということでしたが、仕事のやりがいの面ではいかがですか?

領収書の書き方などのちょっとしたことから、節税や会社の数字に関することなど、税務の専門家としてクライアントから質問されたり頼られたりすることにやりがいを感じます。私の場合は資産税や相続といった具合に、それぞれの得意分野に応じて仕事を担当するので、そこまで難易度が高いということは確かにないのですが、失敗やミスに怯えずにのびのびと仕事ができる分、よりよいサービスでクライアントに貢献したいという気持ちが自然にわいてくるようになりました。基本的にメールやチャットでのやり取りではありますが、相手が何を求めているかを常に考えながら向き合っています。

仕事だけでなく人生も楽しみたい

ー今後、挑戦してみたいことはありますか?

完全在宅勤務という恵まれた環境で仕事ができているので、それを活かしてもっと自由な働き方をしてみたいです。将来的には2拠点生活などもしてみたいですね。もともとバックパッカーとして海外旅行をするのが趣味だったので、昨年は子どもの長期休みにセブ島に2週間、タイとカンボジアに3週間滞在しながら仕事をしていました。弊所ならネット環境と集中力さえあれば世界のどこにいても働けます。この働き方を活かして人生を楽しみたいです。

ー素敵な働き方ですね。最後に、応募を検討している方へメッセージをお願いします。

以前はミスに対する恐怖心で「この仕事を選んでよかったのか」と悩むこともありましたが、ここで働くようになって初めて「税理士になってよかった」と思えるようになりました。税理士としてやりがいを持って仕事を続けていくためには、業務内容だけでなく、自分の時間、家族との時間をしっかり取れることが大切なのだと気が付きました。弊所のやり方はユニークではありますが、子育て中でもやりがいをもって仕事をしたい方にはぴったりだと思います。

ー天野代表、大槻さん、本日はお話を聞かせていただき、誠にありがとうございました。

お話を伺ったCVC会計事務所のHPはこちら

この記事を書いたライター

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