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人事への転職を失敗させないために…成功するためのポイントを解説!

HUPRO 編集部
人事への転職を失敗 させないために… 成功するためのポイントを解説

人事は企業の顔といっても過言ではありません。そのためスキルマッチはもちろんですが、カルチャーマッチやその企業を好きになった上で求職者への売り込みをしたり、従業員へホスピタリティをもてるかが大切になるでしょう。本記事では、人事ポジションでの転職で成功するポイント・失敗するポイントに関して解説します。

近年、人事職の需要が急速に高まってきています。その背景には経営環境の変化・働き方の多様化・テクノロジーの進化など様々な要因が関係しています。
例えば、今まで企業において「人」は労働力として位置づけられていましたが、現在では企業の競争力を高める重要な「資産」として位置づけが変わってきています。
2023年から人的資本情報の開示が義務化されたり、HRBPの導入が進んだり、と人事が単なるコストセンター・バックオフィスの認識ではなく、経営戦略の一環として期待されるようになっています。

ここからは、未経験の方でも経験者の方でも人事としての転職で「失敗した…!」とならないようにおさえておいていただきたいポイントをお伝えします。

失敗しないポイント①:自分の希望条件を決めておく

人事だけではなく、どの職種に転職する上でも必要なことですが、必ず自分自身の今回の転職目的・希望条件・優先順位を決めておきましょう。

希望条件や優先順位の決め方

仕事内容

優先度で仕事内容を考えた人は、キャリアアップやスキル習得を重視する人です。
明確に、「人事戦略や制度設計に関わりたい」という思いや、「採用業務だけでなく、教育・育成にも関わりたい」という思いがある方であれば、仕事内容が希望とあっているのかを優先させましょう。

年収・給与

優先度で給与を考えた人は、生活費・家庭事業・資産形成を重視する人です。
経済的な安定を求めて、「現年収よりも100万円UPさせたい」「年収よりも賞与やインセンティブ比率を重視したい」という方であれば、現年収UP確約の企業の選考を受けたり、賞与がしっかりと募集要項に記載がある企業の選考を受けましょう。

勤務地・働き方

優先度で勤務地・働き方を考えた人は、ライフスタイルや家庭環境を重視する人です。
「フルリモートで働ける会社が良い」、「出社は週1~2日であればOK」、「転勤なしの会社が良い」などという方であれば、給与などよりも落ち着いてワークライフバランスを重視する方だと思います。福利厚生や勤務地の記載を見て、「リモートワーク可能」「在宅勤務手当」などの条件を把握しておきましょう。

企業規模・安定性

優先度で企業規模・安定を考えた人は、安定した環境で長く働くことを重視する人です。
「ベンチャーきぎょうよりも上場企業や大手企業に入りたい」「経営が安定している企業を選びたい」「成長フェーズにある企業の方が魅力的」などという思いを持っていると思います。安定志向の方は企業の財務状況や成長性・前年度比でどの程度売り上げが伸びているか・採用人数の伸びなどを見ておきましょう。

キャリアパス・昇進の可能性

優先度でキャリアパス・昇進の可能性を考えた人は、成長意欲が非常に高く、かつ評価も重視する人です。
「3年以内にマネージャーになれる企業がいい」「経営層と近いポジションで仕事をしたい」「評価制度が明確な企業を希望している」という方であれば、マネジメントレイヤーを増やしていきたいフェーズの会社を選んだり、昇給の平均金額が高い企業を選ぶと良いでしょう。

企業文化・社風

優先度で企業文化・社風を考えた人は、働きやすい環境や人間関係を重視する人です。
「裁量権があり、自分で意思決定できる環境がいい」「個人売上を重視する会社より、チームワークを重視する会社がいい」「トップダウンよりボトムアップの文化の方が働きやすい」という方であれば、社風との相性を見たり、なるべく選考フローが長めの企業で選考を受けて納得感をもったり、選考フローが短い企業の場合は社員座談会などを組んでもらったりすると良いと思います。

失敗しないポイント②:人事の仕事を理解する

一口に「人事」と言っても、企業によって業務内容・責任範囲は大きく異なります。大きく分けると以下のような領域があります。

自身がやりたいこと・できることと、採用要件・業務内容があっているのか、求人要綱をしっかりと読み込んだ上で面接時にも確認をすることが重要です。

採用(リクルーティング)

企業の成長に必要な人材を獲得していくお仕事です。新卒採用・中途採用・派遣採用・業務委託採用・ダイレクトリクルーティング・エージェントマネジメントなど…採用だけでも業務は多岐に渡ります。

求められるスキル

◆コミュニケーション能力
◆マーケティング思考
◆データ分析能力

人材開発

人材開発は、社員の能力向上やキャリア成長を支援し、企業の競争力を高める重要な業務 です。採用後の教育・研修を設計・運用し、社員のスキルアップやモチベーション向上・エンゲージメント向上を促します。

求められるスキル

◆事業部ごとのスキルギャップ分析能力
◆分析したデータから育成プラン作成
◆研修中のファシリテーション能力 ◆研修中のフィードバック能力

労務管理

社員の給与計算・勤怠管理・社会保険手続き・就業規則の整備など、会社の「ルール作り」と「運営」を行います。

求められるスキル

◆法律知識
◆正確性
◆事務処理能力

人事評価・報酬制度

スタートアップ・ベンチャーなどは、人事評価制度や報酬制度が設計されておらず、「頑張っているのに評価されない」などと離職率が高まるケースがあります。
また、その逆もあり、人事評価制度や報酬制度が不完全ということを理由に、評価基準に納得てきないと離職に至ってしまうケースもあります。
企業の成長や社員のモチベーションに直結する業務のため難易度が高い領域です。

求められるスキル

◆戦略的思考
◆データ分析・統計スキル
◆労働法・報酬制度の専門知識

組織開発

社内の風土改善、1on1などによる心理的安全性の確保、従業員満足度調査などを行います。タレントマネジメントのサービスなどを利用する企業もあるので、最低限のITリテラシーも必要です。

求められるスキル

◆コミュニケーション能力
◆分析能力
◆洞察力
◆リーダーシップ

失敗しないポイント③:企業理解・業界理解を深める

志望している企業がどのような人事を求めているのかを事前に把握しておき、自身の経験がフィットするのか考えなければ、入社後にギャップを感じてしまいます。

人事の役割は企業のフェーズやビジネスモデルによって変わりますので、しっかりと事前調査をしておきましょう。

スタートアップ・ベンチャー企業

スタートアップ・ベンチャー企業は、特に即戦力の採用かつコアメンバーとして活躍してくれるかが採用基準となります。採用中心の役割が多いでしょう。
また、ゼロから制度設計などをしていく必要がある企業がほとんどで、企業によっては一人目人事採用のケースがあります。そのため、裁量権は感じられるものの、その分、比較的にハードワークになる可能性は高いです。

大手企業・外資系企業

大手企業・外資系企業は、人事制度がすでに整備されているケースが多いです。戦略人事やタレントマネジメントの経験が求められます。新規で何か取り組むことよりも既存体制の運用や見直し・改善業務などが業務比率としては多いです。

失敗しないポイント④:競合を把握しておく

様々な業界の人事職の選考を受けている場合は難しいかもしれませんが、業界を絞って受けている方はなるべく競合理解をしておいたほうが入社後のギャップに悩まされないでしょう。
人事は、単なる社内管理業務ではなく 「経営戦略の一部」 です。例えば、採用担当のポジションで選考を受けていて、将来受けている企業の人事として活躍するとなった際、競争力のある組織を作るためには、競合他社の動向や市場環境を理解し、適切な施策を打つ必要があります。

失敗しないポイント⑤:自分の責任範囲を確認しておく

通常面接よりも、オファー面談時などに聞いておいた方が良いかと思いますが、必ず「自分に与えられるミッションは何なのか」を明確にさせておくと良いです。そのミッションによって、企業が追っている目標や、認識している課題感が見え、自分自身がどういった立ち居振る舞いをすればよいのかが大体予測立てできます。

失敗しないポイント⑥:キャリアパスを明確化する

人事職は幅広い業務領域があるため、キャリアの方向性を明確にすることが重要です。
「どんな人事になりたいのか?」を考え、適切なキャリアパスを描くことで、市場価値を高め、長期的なキャリアを形成できます。

人事のキャリアパスの種類、スキルアップのポイント、転職時の注意点を解説します。

人事のキャリアパスは大きく分けて四つ方向性があります。自分の強みや志向に合わせてどの道を進むのか考えてみましょう。

人事ゼネラリスト(HRゼネラリスト)

特徴

人事のあらゆる業務(採用・労務・制度設計・育成など)を幅広く担当する

向いている人

・幅広い人事スキルを身に着けて、組織全体に関わっていきたい人
・経営視点で人事戦略を考えられるようになりたい人
・中小企業やスタートアップで人事の全般業務を担いたい人

キャリアの進め方

30代 採用・労務・制度設計などを経験し、幅広いスキルを習得
40代 人事部門の責任者やHRBP(人事ビジネスパートナー)を目指す
最終キャリア CHRO(最高人事責任者)・経営幹部

キャリアを伸ばすポイント

・幅広い知識が必要なため、労務管理・法律・組織開発・データ分析などを学ぶ
・経営層との連携が必要なので、経営戦略・財務の知識 も身につける

人事スペシャリスト(HRスペシャリスト)

特徴

人事の中でも特定の分野に特化し、専門性を高める。

・採用
・労務
・報酬制度
・人事評価
・人材開発
・組織開発 など

向いている人

・1つの領域を極め、専門家として価値を発揮したい
・転職市場で「〇〇のプロフェッショナル」として評価されたい
・人事コンサルやフリーランスとして活躍する選択肢も持ちたい

キャリアの進め方

30代 特定の分野の実務経験を積み、専門スキルを磨く
40代 スペシャリストとして企業のキーパーソンになる・人事コンサルに転身
最終キャリア 業界内でのトップクラスの専門家/企業の役員・顧問

キャリアを伸ばすポイント

・資格取得(社会保険労務士・キャリアコンサルタントなど) を検討する
・特定分野の最新情報を学び続ける(法改正・トレンド)

HRBP(人事ビジネスパートナー)

特徴

経営戦略に基づき、人事の立場から事業成長をサポートする。

向いている人

・経営に近い立場で人事戦略を立案したい
・事業部と連携し、人材戦略を推進したい
・人事としての枠を超え、経営視点での仕事に挑戦したい

キャリアの進め方

30代 HRジェネラリストや人事企画の経験を積む
40代 事業責任者や経営陣と連携し、人事戦略を推進
最終キャリア CHRO・経営幹部

キャリアを伸ばすポイント

・事業理解・財務知識を深め、「人事×経営」 のスキルを強化する
・データ分析・HRテクノロジー を活用し、人事戦略をデータドリブンで進める

CHRO(最高人事責任者)・経営幹部

特徴

企業の人事戦略を統括し、組織全体の成長を支える。

向いている人

・会社全体の人事戦略をリードしたい
・経営に関わる意思決定をしたい
・企業文化・組織改革を推進したい

キャリアの進め方

30代 人事マネージャーとして組織マネジメント経験を積む
40代 人事部門のトップ・CHROに就任
最終キャリア 経営陣・取締役として人事戦略を統括

キャリアを伸ばすポイント

・経営層とのコミュニケーションスキルを磨く
・人材マネジメントのグローバル視点 を持つ(海外事業展開など)

失敗しないポイント⑦:転職エージェントを使う

自己応募で進めることももちろん良いのですが、転職エージェントを賢く利用して進めることも失敗しないためには効果的です。

転職エージェントには総合型と特化型があり、企業によって持っている求人が異なるので複数社利用して、自分に合う求人を持っている会社を選ぶことが大切です。

転職エージェントは希望条件を明確化させた上で、意図を理解し、本質的にマッチする求人を探します。
ネット上に公開されていない直接企業側から依頼された求人を保有していることもあるため、自分で探していくよりも効率的に企業を探せます。
また、企業を探した後の競合比較や会社の方針・成長率など細かな数字に関しても、エージェント側が日々サポートしている企業が多いため、内部情報なども細かく共有してくれます。

自分で調査する工数を省くことができ、かつ志向性に合わせて適切な求人を紹介してくれるため、賢くエージェントを利用しましょう。

特に人事系に関しては、管理系・バックオフィス系に強い株式会社ヒュープロにぜひご相談ください!

経歴別ポイント

未経験で人事へ転職する場合

未経験で人事へ転職する場合は、採用アシスタントや新卒採用のポジション枠が多くなっています。労務や制度設計は専門知識が必要になるため、まずは経験を積んでから徐々に職域を広げていくほうが良いでしょう。

未経験から人事に転職する際は、事務職の延長ではないということをしっかりと理解する必要があります。例えば、前職で営業を経験していてノルマがない職種に転職したいという理由で人事職を選んだとしましょう。しかし人事にも採用人数のKPIや採用予算などの調整などがあります。内定数や承諾数の目標があり、その目標数値を追っていくため、「数字を追いたくない」「ノルマの概念が苦手」という場合は、人事に転職したとしてもミスマッチを感じてしまうでしょう。

実業務や入社後に追うミッションなども未経験であればしっかりとすり合わせが必要です。

人材業界経験者で人事へ転職する場合

人材業界経験者で人事へ転職する場合は、年収のギャップを感じる可能性が高くなります。
人材業界でキャリアアドバイザー経験が一定あれば、人事の枠も経験者扱いとして募集要項を出している企業が多くあります。しかし、キャリアアドバイザーは業界からすると営業職(生産職)という枠になりますが、人事職は非生産職と捉える企業が多くあります。
人材業界経験者が人事職に転職する際、会社の規模やフェーズによっても変わりますが、年収が50~100万円程度落ちたという方もいらっしゃいます。

人材業界経験者の方は、しっかりと企業内での人事の立ち位置(生産職扱いなのか、非生産職扱いなのか)を聞いた上で、オファー額のすり合わせなどをする必要があります。年収を第一優先で転職活動をされる場合は、ポジションにもよりますが、しっかりと年収面や評価基準などを確認しましょう。

経験者で人事へ転職する場合

人事経験者で人事へ転職する場合は、先述の通りですが、企業の規模やフェーズ、伸ばせる専門性、経験などをしっかりと伝えることが大切です。
企業の規模やフェーズなどを知らずに内定を取ってしまうと、入社後にミスマッチを感じ、そのまま離職してしまうこともあります。気を付けましょう。

まとめ

人事職への転職を失敗しないためには、自分の希望条件を明確にし、人事の仕事内容を正しく理解することが重要です。
企業や業界の特徴を把握し、自身のキャリアパスを考えながら転職活動を進めることで、入社後のギャップを減らし、長く活躍できる環境を見つけられます。

また、人事の役割は企業の成長フェーズによって大きく異なるため、応募企業の求めるスキルや期待されるミッションを事前に確認しておくことが大切です。

転職活動を通じて、自分自身が目指す人事のキャリア像を明確にし、スキルを磨きながら市場価値を高めていきましょう。

この記事を書いたライター

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