簿記は経理資格として最も認知度が高く、仕事や転職に活かせる資格として幅広い年齢層の方に人気です。簿記資格を取得することで、企業の経理や会計に関する業務はもちろん、営業やコンサルティングにも活かすことができます。今回は3・2・1級別に担当できる業務の違いや、転職で有利になる級について解説していきます。
簿記の知識は様々な業務に役立てることができますが、特に活かせる仕事としては以下の4つが代表的です。
経理とは、企業の会計に関する専門職であり、まさに簿記検定で得た知識とスキルを活用するのにふさわしい仕事であると言えます。
経理の業務は、1年に1回、決算書を作成して税金の計算をすることをメインとして、企業会計に関する様々な仕事が含まれます。
企業により独自のやり方がある場合もありますが、根幹にあるのは簿記の知識であるため、資格取得で得た知識を存分に活かすことができるでしょう。
また、どのような規模や業種の企業であっても経理は必ず存在するため、企業にとってニーズの高い職種であると言えます。
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会計事務所や税理士事務所でも簿記の知識を活かすことができます。
会計事務所の業務は、クライアントの記帳代行や決算処理、税務申告のサポートを行ったり、税務会計に関するアドバイスを行うことが挙げられます。
これらの業務では、会計や税務に関する専門知識が必要であり、簿記資格の学習内容を会計業務に活かすことができます。
また税務に関する知識については、実際に会計事務所で働きながら学んでいくことが一般的なので、最初は税務の知識がなくても心配する必要はありません。
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クライアント企業の経営をサポートするコンサルティングにおいても簿記の知識を活用することができます。
コンサルティング会社は、クライアント企業の課題解決に向けて施策を提案する会社です。ITや戦略などコンサルティングにも様々種類がありますが、中でも経営コンサルティングにおいて簿記の知識を活かすことができます。
経営コンサルティングでは、企業の経営を分析するために財務データを分析する必要があります。簿記の知識を活かして財務諸表を読み取り、細かな経営分析をすることで、資金繰りのアドバイスなどを提供できるでしょう。
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営業職では一見関係なさそうにみえる簿記ですが、取引先へ提案する際に活かすことができます。
簿記の知識を用いて、取引先の企業の財務諸表を読み取ることで、経営・財務状況を把握したうえで的確な提案をすることができます。提案の際に、財務面での細かい交渉を織り交ぜることで、取引先からの信頼の獲得にもつながるでしょう。
ここまで紹介したように、簿記は様々な仕事に活かせるといえます。
経理や会計に直接関係しないような仕事でも、ビジネスにおいてはお金のやりとりは必ず発生するため、簿記の知識はどのような仕事でも役に立つのです。
では、仕事で活かせること以外に簿記を取得するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
以下、3つのメリットを紹介します。
企業の規模や業種にかかわらず、簿記や会計の知識を持つ人のニーズは高いです。
そのため、簿記の取得は会社に貢献するための付加価値として捉えられ、社内での評価の向上やキャリアアップにつながるでしょう。
また企業によっては資格手当を設定しており、場合によっては報酬が付与され年収アップにもつながります。
簿記の知識を活用して、さらに難易度の高い資格の取得も可能です。
その例として、税理士や公認会計士といった会計系の資格がよく挙げられます。
これらの試験科目には簿記や会計が登場するため、簿記資格の取得で得た知識を存分に活かすことができます。
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上述の通り、簿記は経理をはじめとして様々な仕事で活かせるため、転職市場で高く評価される傾向があります。
一般事業会社の経理や会計事務所などの求人では、応募要件に簿記が挙げられていることが多いです。そのため、簿記の取得により応募できる求人の選択肢を広げることが可能であるといえるでしょう。
また、難易度の高い2級や1級を取得することで、学習意欲の高さや継続力もアピールでき、転職を有利に進めることができるでしょう。
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では、具体的に転職で有利になるのは簿記何級なのでしょうか。
結論から申し上げますと、「簿記2級以上」の場合がほとんどです。
商業簿記及び工業簿記のどちらもを理解し、会計事務を適切に行えるレベルが2級です。3級を取得することで簿記の基本知識を習得し業務に活かすことは可能ですが、転職市場では評価されにくい傾向にあります。
実際に、経理求人の応募要項にも「経理の実務経験○年以上、または日商簿記2級」と設定されているケースが多いです。
企業としても経理の経験者を採用したいと考えますが、転職市場に経理経験者は少ないのが実情です。そこで、一程度の実務に関する知識があると認識されている「未経験だが簿記2級以上の資格を持っている人材」を企業は採用したがるのです。
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簿記は、難易度の低い順に3・2・1級の3つのレベルに分かれており、それぞれ担当できる業務の目安が異なります。
簿記3級は最も初級者向けの試験であり、基礎的な商業簿記について出題されます。小規模の企業の会計や経理を行える知識が問われます。
必要な勉強時間は約70時間で、合格率も約40%とチャレンジしやすい資格であると言えます。
ただ、個人商店や中小企業における経理関連書類の取り扱いなどに業務が限定され、経理の担当者として規模の大きい企業で活躍するのには十分な知識・スキルとは言えません。
そのため、幅広いシーンで簿記の知識を活かしたい場合には2級以上を目指すのがおすすめです。
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簿記2級は、3級の範囲であった商業簿記に加えて、製造業を担当とした工業簿記についても出題されます。
必要な勉強時間は約200時間で、合格率は20~25%で推移しています。
簿記2級では、実務レベルで使える財務諸表を読み解く力が求められます。そのため、取得することで経理・会計の専門知識を有する人材であるとみなされます。
大企業や製造業をはじめとして、ほぼすべての企業における会計の実務への対応が可能となります。
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最上級の簿記1級は、非常に難易度の高い資格です。
3・2級の出題範囲である商業簿記や工業簿記に加えて、会計学と原価計算の2科目が追加されます。さらに、会社法や会計基準など企業会計に関する法規についても学ぶ必要があります。
また、大企業下にある複数の関連会社を一つの組織として財務諸表を作成する連結会計についても出題されます。そのため、関連会社を保有する大企業の経理や会計業務にも対応でき、経理・会計のスペシャリストとして幅広く活躍できるでしょう。
ただ、合格までに必要な勉強時間は約500時間で、合格率は例年10%前後と難易度は非常に高い資格となっています。
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簿記を目指している方の中には、「簿記の資格を活かせる仕事は今後なくなる」という意見を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こう言われる理由としては、AIなど技術の発達により、簿記を活かせる経理などの仕事が自動化されることが考えられます。
確かに、数字の入力や計算などの定型的な業務をAIの高い情報処理能力で代行することは可能でしょう。
しかし、財務諸表などを基にした経営分析や、それを鑑みてヒアリングを実施したうえでの高度な判断やアドバイスなどは、簿記の知見や幅広い経験をもつ経理のスペシャリストだからこそ行える業務です。
そのため、今後技術が発展しても、簿記の資格は必要とされ続けるといえるでしょう。
〈参考記事〉
ここまで解説したように、簿記の資格は経理や会計のみならず、幅広い仕事に活かすことができます。簿記資格を取得しておけば、企業の経理部署はもちろん、士業事務所やコンサルティング業界でも活躍できるでしょう。
また、簿記を活用して転職するのであれば、2級以上をおすすめしましたが、その際はぜひ士業・管理部門特化の転職エージェントであるヒュープロをご利用ください。
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