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上場企業の経理はきつい?非上場との違いとは?魅力はある?

ヒュープロ編集部 川辺
上場企業の経理はきつい?非上場との違いとは?魅力はある?

上場企業とは、発行する株式を証券取引所で売買できるようにしている企業のことです。そんな上場企業の経理職は就職先・転職先として人気がある一方で、「きつい」「やばい」「つらい」といった声が聞かれることもあります。今回は、そんな上場企業経理が本当にきついのかについて、魅力も含めて、見ていきます。

上場企業の経理業務の特徴~非上場経理との違い~

経理職の役割や実施する業務は、上場しているのか/していないのかによって大きく変わります。
最も大きな違いとして、上場企業における監査対応や開示業務の存在が挙げられます。これらの業務を行っている非上場企業が無いわけではありませんが、上場企業においては必ず対応することになります。

監査対応とは、企業が会計監査を受けるにあたり、必要な情報や資料を事前に準備し監査の際には質問への回答なども行う業務を指します。監査が法律で義務づけられている「大企業」は「最終事業年度に係る貸借対照表で、資本金が5億円以上または負債の部の合計額が200億円以上である株式会社」と定義されており、多くの上場企業がこの「大企業」に該当します。一方で、非上場企業では任意で実施している場合を除いては、経理職が監査対応を行う機会は少ないでしょう。

また開示業務は、企業の経営状況および事業に関する重要事項を、投資家などに発信するための資料を作成する業務です。金融商品取引法により、上場企業には開示業務の実施(開示書類の提出)が義務付けられています。非上場企業では開示業務の必要性が低く、実施されないことが一般的です。

また、もちろん日次業務や決算業務をはじめとして共通する仕事も多くありますが、上場企業の方が経理担当の人数が多い傾向にあることから、業務が細分化されている傾向にあります。逆に非上場企業だと、幅広い業務を担当することになりやすいでしょう。

監査対応や開示業務については、以下の記事に詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

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上場企業経理がきついと言われる理由5選

経理の中でも「上場企業経理はきつい」と言われる理由として、主に以下の5つが挙げられます。

■監査対応業務がきつい
■開示業務がきつい
■求められるスキルレベルが高い
■業務が細分化され、やりがいを感じにくい
■社内で評価がされづらい

それぞれ見ていきます。

監査対応業務がきつい

上述の通り、監査対応はほとんどの上場企業で必要となっています。会計監査の前は資料の準備、期間中は会計処理に関する監査人からの質問への回答などで、業務量が大きく増えます。また、監査対応業務自体が経理の仕事の中でもかなり高度であるため、負担に感じることもあるようです。

開示業務がきつい

監査対応と同じく、開示業務についても上場企業ならではの業務といえます。上場企業の開示資料の代表的なものは下記の通りです。

・決算短信
・四半期報告書
・有価証券報告書
・内部統制報告書
・確認書

この中でも、有価証券報告書は100ページを超えることが一般的であり、作るだけでなく確認するのにも大きな労力を費やします。年に一回とはいえ、上場企業特有のきつさを感じやすい業務といえそうです。

求められるスキルレベルが高い

上記のような監査対応や開示業務など、上場企業では高度で専門的な仕事に対応しなければならないため、ある程度高いスキルレベルが求められます。入社できたとしても、1名から数名しかいない管理職になるためには、周りのライバルと差をつけられるよう、スキルを磨いていく必要があるのです。

また上場企業は求職者からの人気も高く、必然的に倍率の高い求人となる傾向にあります。倍率が高くなると、よりスキルのある人の方が採用されやすくなるため、自ずと採用要件も上がってしまうのです。

やりがいを感じにくい

上場企業の特徴として、業務が人ごとに細分化されていることをご紹介しました。これにより成長を実感しづらく、仕事も同じことの繰り返しにより、やりがいを感じにくくなってしまうでしょう。仕事にモチベーションが無いと、やはり「きつい」という感情には繋がりやすくなってしまうのです。

社内で評価されづらい

多くの上場企業では評価基準が確立されていますが、それはあくまでも営業部をはじめとした売上に直接的な影響をおよぼす直接部門についての話です。経理はそれ以外の間接部門に分類されるため目に見える成果があげづらく、当事者が求めるほどの評価を得られない可能性があります。
非上場企業に比べて年収水準は高いものの、評価や昇給の面で「きつい」と感じることはあるでしょう。

上場企業経理の魅力とは?

ご紹介したように、上場企業経理として働くにあたって「きつい」と言われることもあるかもしれませんが、もちろん働くメリットも多くあります。

給与が安定している

先ほども触れましたが、上場企業の年収は安定しています。特にCFOなどの役職クラスのポジションは高年収で推移しており、経理担当レベルであっても平均的な給与水準は高めです。非上場企業の場合は事業が不安定だったり、拡大フェーズであることから、経理担当者の年収についても安定していない、もしくは低い水準でとどまってしまうことも少なくありません。

働きやすく、福利厚生が充実している

上場企業は規模が大きく様々な人が働いているため、それに合わせて柔軟な働き方ができる職場環境であることが珍しくありません。例えば、リモートワークやフレックス制などといった働き方が導入されていれば、ご自身のプライベートや事情に合わせた働き方ができるでしょう。
また、人手が極端に不足していることも少ないため、過度に仕事が増えて残業時間が増えてしまうということも考えにくく、ハードワークによるストレスを感じる可能性も低いといえます。

さらに上場企業はある程度収益も安定しているため、福利厚生の充実にも力を入れることができます。退職金制度や有給休暇、育休・産休などの働くうえで重要な制度が充実していると、安心して働けるという方も多いでしょう。

他では経験できない業務スキルを習得できる

ご紹介した監査対応や開示業務は、確かに「きつい」と感じざるを得ないほど、量が多く難易度も高い業務です。しかし、上場企業以外ではこのような業務の経験は積みづらいため、ひとたび習得できれば経理職として非常に高い市場価値を発揮することができるでしょう。

このような経験を積んでおけば、転職で更なるキャリアアップを目指す場合、他の上場企業でも幅広い活躍ができるほか、近未来的に上場を目指すベンチャー企業でもCFOなどの役職で採用される可能性も出てくるため、大きなメリットと言えるのです。

社会的信頼性が高く、倒産のリスクが少ない

上場企業は投資家向けに会社の数値が公表されており、誰でも会社の経営状況や数値を見られるようになっています。また、株価によってその企業の現在や今後期待される価値が評価できるようになっていますので、社会的な信頼性は非常に高いといえます。

また上場するにあたって、企業は様々な審査にクリアしています。もちろん会社の事業の成長性や安定性、資産の状況などもその際にチェックされています。そのため大きな外的要因や不祥事などが無ければ、倒産などで職を失うことはなく、継続的に働きやすいでしょう。

持株会制度がある

持株会制度とは、社員が自社株を購入するための仕組みであり、そのための資金は社員からの拠出金が使われます。この制度がある最大のメリットは、奨励金を活用できることです。この制度を利用する際には、一定の金額を会社が補助しますので、実質的には安価で株を購入することができます。

上場企業の経理として働くために

「きつい」と思われる要素がある一方で、働く魅力も多く存在する上場企業の経理ですが、ご紹介したように求められるスキルレベルは高く、非上場企業に比べれば転職難易度は高くなっています。

しかし、必ずしも監査対応や開示業務ができないと採用されないというわけではありません。むしろ未経験から上場企業経理への転職を成功させた方をご支援させていただいたことも何度もあります。
つまり、重要なのは必ずしも経理の経験ではありません。どのように自分をアピールし採用側に入社してほしいと思ってもらうか、という部分で足りない経験をカバーすることもできるのです。

そのため是非ご活用いただきたいのが、士業・管理部門特化の転職エージェントである当社ヒュープロです。業界特化で転職のご支援をしているため、書類添削や面接対策の際にも、知識を活かしたアドバイスが可能です。
まずはご相談から、お待ちしております。

まとめ

今回は上場企業の経理がきついと言われる理由や、実際に働く魅力についてご紹介しました。
上場企業の経理は確かに全くきつくないとは言えませんが、魅力も多く質の高い業務経験が積みやすい仕事です。誰でも簡単に働けるわけではありませんが、ご興味のある方はぜひ挑戦していただければと思います。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINE編集部の川辺です。転職エージェントとして多くのご登録者様からご相談をいただく際に伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェントである、「ヒュープロ」をご活用ください!
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