税理士試験は、11科目ある試験のうち5科目に合格をしなければいけないことになっています。その5科目に関しては一部自身で選択できる科目もあり、どれを受けるか迷う方も多いと思います。
今回は、税理士試験の科目の難易度を比較し、楽な科目やオススメの科目を紹介していきます。
税理士試験は合格率が非常に低い試験であり、超難関試験といわれています。しかし、他にも合格率がさらに低い国家試験はいくつもあり、国家試験の中で特に税理士試験だけが難易度が高いというわけではありません。
税理士試験の受験科目には11科目あります。
これらを大きく分けると会計科目と税法科目の2つになり、簡潔にいうと、会計科目は簿記の難易度が高いもの、税法科目は税金についての法律に関する計算だといえます。会計科目「簿記論及び財務諸表論」の2科目は必ず取得しなければなりません。また、税法科目は所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税の9科目あり、その中の選択する3科目を取得する必要がありますが、その3科目の中に「所得税法または法人税」のいずれかを取得する必要があります。
なお、税理士試験は科目合格制を取っており、受験者は一度に5科目を受験するのではなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。
税理士試験の科目の難易度を把握するのに役立つものは、合格基準です。国税庁の公表としては60点を超えれば合格という記載がありますが、それぞれの科目の過去の合格率が10〜20%で推移しており、これらのことから全ての科目を取得するのは難関ということが分かります。
科目の難易度として科目別合格率は一つの指標になるでしょう。下の表は過去4年間の科目ごとの合格率とその平均をまとめています。
過去4年間の平均合格率を見てみると、財務諸表論が1番高いことが分かります。ですが、財務諸表論の令和4・5年度を比べてみると約14%も合格率が変わっているため、年によって大きく変わってくることが分かるため、油断はできません。
また、消費税・相続税は約12%と比較的合格率が低く難易度が高いといえます。財務諸表論と約2倍の差の合格率であり、選択する科目が税理士になるために大事になってくることが分かると思います。
合格に必要な勉強時間も難易度を示すのに分かりやすいでしょう。そのため、科目ごとに合格に必要な勉強時間の相場をまとめてみました。
会計学の2つ(簿記論・財務諸表論)と所得税または法人税は必要とする勉強時間が他の科目よりも多いですが、必須で取得しなければなりません。この必須科目は、毎日1〜2時間を1年間続けることで取得できるペースで、1年に1科目合格することができれば順調ともいわれています。
この4つ以外の科目では、勉強時間や合格率で科目を決めることが可能です。例えば、相続税法や消費税法は、勉強時間を必要とするのに合格率も低いことが分かります。楽に素早く税理士になりたいと考えている方は、この科目を避けるのも1つの手段です。ですが、どの科目でも合格率は低く難しいため、自身が学びたいものを学ぶという選択を取る方が多いようです。
現在職場で特に役に立つといわれている科目を紹介します。
会計学は、税理士になるうえで必ず取得しなければなりませんが、実際に職場で働きはじめたら、大いに役に立ちます。会計学を勉強すると会社の決算書が読めるようになったり、利益や原価といった会計学の概念が理解できるようになります。決算書が読めるようになると、決算書を通じてその会社の業績や安全性、収益性などを読み取ることができるようになります。税理士は基本的に税務業務を任されますが、その業務の基盤となるため資格取得してから一番役に立つ科目です。
法人税は納めるべき税金がない場合にも申告が必要なため、重要性は極めて高く、その知識は実務において必須と言って過言ではありません。法人税は国税収入額の中でも2番目に多いため、どの税理士・会計事務所でも必ずと言っていいほど扱われるので、勉強をして損をすることはほとんどないといえるでしょう。
所得税は、「所得」に対して課される国税で、我が国の税収の大部分を占めています。そのため学習範囲は広く、細かな計算が求められることも多い科目ですが、すべての国民にとって切り離すことのできない税金のため、重要性が高く、その知識は実務においても大変有効となります。選択必修の法人税と所得税を同時に取ることは、ボリュームが多いためあまりありませんが、選択した方の知識を確実に身に着け、企業で活かしていきましょう。
実務上、法人及び個人事業者の会計処理をすべて複式簿記にて行いますが、その際に、一つ一つの各取引に消費税が課税されるか否かを、日々判断できなければ消費税を計算することはできません。つまり、会計事務所に勤めたその日から消費税の知識が必要になります。また、他の税金と比べても申告件数が一番多い税金が消費税となります。
消費税は選択必修と定められていないのに、勉強時間を多く必要とし、合格率も低いため避けられることが多い科目です。ですが、法人税と所得税に次ぐくらいに実務で活かせる科目として評価されています。
選択できる科目から、特にオススメの科目を紹介していきます。
相続税法をオススメする理由として、近年資産税特化の税理士の需要が高いからです。資産税とは「相続税」「贈与税」等の総称です。資産税特化の事務所は、一般の税理士事務所と違い、クライアントの数が多かったり頻繁に変わったりします。そのため依頼が多く、それに伴い給料が高いといわれています。専門性が高いことから、相続税など1億円を超えるような巨額のお金を任されることも珍しくありません。巨額のお金を取り扱うことは、それ相応の責任が発生しますが、見返りとして給料に大きく反映されます。
以下の記事では、資産税の税理士について詳しく解説していますので、併せて参考にしてみてください。
先ほども紹介しましたが、やはり実務に直結する点で非常にオススメです。近年インボイス制度が導入されて、消費税のやり取りが複雑化されました。そのため、インボイス制度が導入する前も実用性が高い科目でしたが、より必要とされる科目となりました。
税理士になるためには、税理士試験に合格することも必要ですが、それとともに2年間の実務経験を積まなければいけません。そのため、効率よく税理士になるためには、実務経験を積みながら税理士試験勉強をすることです。現在の税理士・会計事務所は、税理士試験受験者を支援している事務所が多いです。例えば、受験費用を負担してくれたり、科目合格手当などもあったりします。当社は転職や就職のご支援をしている「ヒュープロ」というエージェントを運営してますので、ご活用いただければ後押しさせて頂きます!