税理士試験は日本においてかなり知名度の高い国家資格ですが、「勉強するのがきつい」と途中で諦めてしまう方も多いようです。その理由は何なのでしょうか?今回は、そんな税理士試験のきつさやそれに対する解決方法について解説します。
どの試験においても多かれ少なかれ、勉強する際に「きつい」「しんどい」という感情を抱くことはあるでしょう。難関国家試験の一つともいわれている税理士試験なら、尚更そのように感じる場面も多いようです。具体的にどのような理由で「きつい」と感じるのか、見ていきましょう。
税理士試験はその難易度の高さから、合格に至るまでに4,000~5,000時間の勉強が必要と言われています。これは仮に働かずに受験勉強に専念して1日10時間勉強するとしても、1年での合格は難しいということになります。このとてつもない長さの勉強時間に耐えることが出来ず、途中で挫折した受験生も多いです。
4,000~5,000時間の勉強が必要なのにも関わらず、試験の合格率が低いのも「きつい」と感じる理由の一つです。「合格基準点は各科目とも満点の60パ-セントです。」と定められているものの、合格者の人数を調整する傾斜配点(正答率の低い問題の点数を高く、正答率の高い問題の点数を低くするなど)によって、各科目の合格率は10~25%ほどとなっています。実際に、2023年実施までの3回の税理士試験の主な科目の合格率を下表にてご参照いただけると、その低さがお分かりいただけるのではないでしょうか。
科目 | 令和5年度合格率(%) | 令和4年度合格率(%) | 令和3年度合格率(%) |
---|---|---|---|
簿記論 | 17.4 | 23.0 | 16.5 |
財務諸表論 | 28.1 | 14.8 | 23.9 |
所得税法 | 13.8 | 14.1 | 12.6 |
法人税法 | 14.0 | 12.3 | 12.8 |
相続税法 | 11.6 | 14.2 | 12.8 |
消費税法 | 11.9 | 11.4 | 11.9 |
全体(延人員) | 18.8 | 16.7 | 16.5 |
税理士試験に合格したら必ず即座に税理士を名乗れるというわけではありません。税理士法第3条に下記のように定められているからです。
実務経験を積むタイミングについては特に定められているわけではないので、試験合格前にクリアしている場合はそのまま税理士になることが出来ます。その一方で他の仕事をしていたり、仕事をしていない場合は、試験合格後に実務経験を2年積んでからでないと税理士になることが出来ないのです。
このような決まりを踏まえて、「ただでさえ勉強に時間がかかるのに、合格後もしばらく税理士を名乗れないなんて…」と感じ、絶望してしまう方も一定数いらっしゃるようです。
税理士試験は年1回、3日間の日程で平日に実施されるのが一般的です。その回数の少なさと平日実施ということも相まって、試験日にピークを持っていく勉強がしづらいという意見も聞かれます。また、合格発表は試験の約4か月後なので、この期間に勉強するか次のステップに進むかというのも自己採点でしか判断しづらく、そういった面での「きつさ」もあります。
税理士試験に関しては、受ける科目の理論を丸暗記しなければならなりません。また、「捨て問」と呼ばれる、普通の勉強だけで解くのはほぼ無理、と言った超高難易度の問題が含まれていることがあります。この問題は時間をかけて正解するよりも他の問題を解く時間を優先するのが正攻法ですが、そのためには「捨て問」を見極める力が必要です。この力は税理士になってから活かせるスキルとは言い難く、不必要な力を身に付けないと試験合格が遠のくというのが、「きつい」と感じやすい一因となっています。
ご紹介したような理由で税理士試験の勉強が「きつい」と感じた場合、どのような対策をすればよいのでしょうか?
働きながら合格を目指す場合、試験勉強への理解があり、受験を応援してくれる環境がある職場で働くのがオススメです。そのような職場であれば、途方もない勉強時間のスケジュール設計や、専門学校への通学などがしやすくなり、ストレスを感じにくくなるでしょう。
税理士試験を受験しようと思った動機は人それぞれですが、もし会計系の資格を活かした職に就くためなどの動機であれば、必ずしも税理士を目指さなくてもよいかもしれません。例えば税理士より難易度の低い日商簿記2級でも、活かせる職場は多くあります。税理士試験の基礎的な知識をつけておくという面でも、日商簿記の1級や2級の勉強にシフトチェンジするのもオススメです。
税理士試験に合格したいけど仕事も続けたい、という方は多くいらっしゃいます。どこで働くとしてもその実現は不可能ではありませんが、先ほどご紹介したような資格勉強支援を推進している職場で働けば、よりその両立がしやすいでしょう。
そのような支援環境は、税理士事務所や税理士法人で実現できるケースが多いです。なぜなら、同じ税理士試験を合格した税理士が所長を務めているからです(試験合格しないで税理士になる場合もあります)。
今後も試験勉強を続けていく予定の方は、士業・管理部門特化の転職エージェント「ヒュープロ」を活用して、そんな環境の職場への転職を実現しましょう。特に税理士業界は12月以降繁忙期に入ってしまい採用活動が鈍化しますので、試験後すぐから転職活動を始めるのがオススメです。
今回は税理士試験の受験生が「きつい」と感じる理由と、その解決策についてご紹介しました。難関国家資格でニーズも高い税理士ですので、ある程度の負荷がかかるのは当然のことです。ただし、試験勉強がしやすい職場ならその「きつさ」が緩和できる部分もありますので、ぜひ転職をご検討いただければと存じます。