30代はこれまで歩んだキャリアを活かして仕事をする人が多い一方で、何か新しいことにチャレンジしたいという人もいらっしゃる年齢層です。そんな30代で、キャリアチェンジを実現するために公認会計士の資格を目指すのは遅いのでしょうか。本記事では、30代で公認会計士になった場合のキャリアについて解説します。
まずは公認会計士の全体的な転職事情を見ていきましょう。
公認会計士は難関国家資格の有資格者であることや、有資格者しか行うことができない独占業務があることなどから、売り手市場になっているのが実情です。
BIG4を中心とした監査法人が、リーマンショックの影響で2010年~2011年に大規模なリストラを実施したことから就職できないというイメージも一部残ってしまっているようですが、経済が回復したことにより公認会計士のニーズが高まっているのが現状です。
また近年は監査法人や企業の管理部門以外でも様々な職場に公認会計士が必要とされており、転職先の選択肢も増えている状況です。
例えばFASやM&Aアドバイザリー会社では、市場の成長が著しい中で、公認会計士のニーズがより高まっており、採用要件を引き下げている企業も多く、募集する年齢層の幅も広げています。
そんな中で、30代から公認会計士を目指すのは決して遅くないです!
もちろん転職活動をするにあたって、20代よりは30代の方が採用される確率が下がります。ただ、年齢によるマイナス面よりも、幅広い職種で活かせる公認会計士を持っているというプラス面が大きいからです。直近2023年の試験でも、合格者1,544人のうち188人が30代以上でしたので、実際に目指している方も多くいらっしゃることがお分かりいただけると思います。
では具体的にどのように合格を目指すべきか、見ていきましょう。
前提、公認会計士はかなり取得難易度が高い資格です。公認会計士試験に合格するには3,000時間程度かかると言われており、働きながら勉強する方が多い30代の受験生が、1年で合格できることはほとんどありません。
独学での合格も現実的ではない為、基本的には通信講座や予備校などに通いながら複数年にわたって勉強をするというのが最短ルートであるといえます。会計大学院などを修了すると試験科目の一部を免除することもできるので、時間はかかりますが、合格に近づく手段の一つといえます。
さらに、公認会計士は試験合格するだけではなることができません。3年間の業務補助や実務補習を済ませて、修了考査に合格する必要があります。業務補助は試験前でも後でも年数に加算できますが、未経験の場合は少なくとも3年間は公認会計士として働くことができません。ですので、勉強を始めてから公認会計士になれるまで、良くても5年程度かかることになります。
公認会計士のニーズがある転職先は、30代だからと言って大きく減るわけではありません。どのような職場での活躍が期待できるか、主な転職先を紹介します。
公認会計士の約9割ほどが監査法人に就職するといわれ、最も代表的な就職先と言えます。公認会計士のせんもん業務である監査業務を中心に、資格取得の際に培った知識を最大限に活かしやすい職場です。中小規模の監査法人とBIG4を筆頭とした大手の監査法人に分けられることが多いですが、中小から大手へ転職するケースもよく見られます。
公認会計士は一般企業の管理部門で企業内会計士として働く選択肢もあります。
企業の財務諸表作成や税務申告が主な仕事で、税制や会計基準が複雑化するのに対応し、企業の財務健全性を維持するためのアドバイスを提供します。
働き方を重視したい人や幅広い事業内容から興味あるジャンルを選びたい人に人気の転職先です。
公認会計士は税理士試験の全科目が免除されるため、税理士としての登録も可能です。会計事務所に就職した公認会計士は、クライアントからの税務相談に対するコンサルティング業務を行いながら、会計監査の面で問題が無いかのチェックも行えるため、唯一無二の活躍をすることができるのです。
公認会計士は財務および会計に関する高度な専門知識を持っており、コンサルティングファームにおけるクライアントに対するアドバイスや戦略策定に貴重な役割を果たします。他の就職先に比べ比較的給与水準も高く、キャリアを積んでいけば、年収数千万も期待できるでしょう。しかしながら、コンサルティングファームでの勤務はかなりハードワークなこともあるので、ワークライフバランスを重視する方にはあまりお勧めはできない場合があります。
企業や事務所に所属せず、公認会計士として独立するのも選択肢の一つです。公認会計士事務所として開業し、監査業務を請け負ったり、税理士としての登録して税務コンサルを行うのがよくある独立のケースです。公認会計士の独立について、詳しくは以下の関連記事にてご紹介しております。
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M&AアドバイザリーやM&A仲介会社は、M&Aの売り手企業や買い手企業に対してM&A業務のサポートを行います。M&A業界は公認会計士や資格取得を目指す方にあまり馴染みがないかもしれませんが、会計や監査の専門的な知識をする業務も多く、ニーズの高い業界なのです。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。
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先述した通り、30代の公認会計士はニーズが高いので、転職において内定が全くもらえないといったことは考えにくいでしょう。しかし公認会計士の転職先には、同じ会計士が応募している可能性が高いので、資格だけではアピールポイントになり得ないこともあります。
同じキャリアや資格でも有利に転職活動を進めるために活用すべきなのが、人材エージェントです。
当社ヒュープロは士業・管理部門の転職に強く、公認会計士の方の転職を多くご支援させて頂いております。業界特化のアドバイザーによる豊富な企業情報の提供や、各フェーズごとの面接対策を実施しており、高い満足度を獲得しております。
自分で応募する求人を探したり、面接の日程調整をするのは骨が折れるものですが、そのような部分でもエージェントのサポートが可能です。さらに、内定を複数社もらった際に断りをいれてくれるなど、心理的負担のある対応もする必要がありません。そういったサービスを無料で提供させて頂いておりますので、ご相談からでもお待ちしております。
「30代の公認会計士が転職できるとしても、40代はさすがに…」
と感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、40代会計士のニーズも高いです。もし30代で転職して、さらに40代でよりよい職場に転職したいという方も十分にそのプランを叶えることが可能なのです。
40代の公認会計士の転職活動については、実際の事例も含めて、以下の記事に詳しく紹介しております。
今回は30代で公認会計士を目指した場合のキャリアなどについて解説しました。非常に難易度の高い資格であるため、全く知識がない場合は5年程度かかることは覚悟しておく必要があります。
ただし、公認会計士の希少性や仕事の専門性を考えると、年齢に関係なく活躍できる資格といえますので、資格を取得できれば30代でも胸を張って転職活動をすることができるでしょう。