税理士は納税や節税など税金の専門家というイメージが強いため、ライフプランという言葉との関わりが薄いように感じるかもしれませんが、お金周り全般の専門知識を持っているので、個人のライフプランに合った資産運用や管理を提案できます。今回は、ライフプランが立てられる税理士に必要な知識や資格を解説します。
ライフプランとは、結婚や子供の入学、家の購入などといった人生における大きなライフイベントにかかるお金の支出を見越し、そこまでにいくら必要なのかを考えた上で今の資産運用や管理を検討することを指します。
ライフプランを立てて計画的にお金の管理をしておくと、ライフイベント前に過度な節約をして貯金に回す必要が無くなったり、年金の実質引き下げや消費税の増額などといった外的要因による経済的なひっ迫のリスクを減らすことができます。
また、職場の倒産や病気・事故などにより、仕事ができなくなるケースも考え、資産運用だけでなく加入すべき保険を検討することにも役立ちます。
税理士は税務の専門家なので、各ライフイベントにおいて発生する大きな金額の支出に対して無駄な税金を支払わなくて良いように節税対策のコンサルティングを行う際に、税理士の知識は大きな役割を果たします。
そのような税金に関する相談に応じる「税務相談」は税理士の独占業務とされており、税理士以外が対応することは禁じられています。ですので、ライフプラン設計において税理士は、他のプランナーでは成し得ない業務を行うことができるのです。
特に親族などから資産を引き継ぐ相続や、家業を引き継ぐ事業承継などにかかる税金は複雑であるため、税理士の専門性が大きく活かせるということになります。この知識は税理士以外だとなかなか持ち合わせていない為、税理士ならではのスキルと言えます。
とはいえ、税理士資格だけでライフプラン設計に関する知識をすべて習得できるわけではありません。例えば、ライフプラン設計のために必要なライフイベントにかかる費用の算出や資産運用、リスク管理に必要な保険に関する知識などが追加で求められることになります。
よって、税理士は資格取得の際に身に付けた知識に加えてそれらの知識も習得しなければ、ライフプラン設計の全てに関わることは難しいといえます。
上述の通り、税理士がライフプランを設計するには、追加で知識やスキルを習得しなければなりません。そんな中で取得するのにオススメの資格が、FP(ファイナンシャルプランナー)技能検定です。
FPはライフプランニングやそれに関わるお金の幅広い知識を証明する資格です。また、ただ知識を持っているだけでなく、それを活用して各個人に合わせて最適化したプランを提案するスキルも身に付けることができます。
FPは1~3級がありますが、中でも2級以上の取得がオススメです。難易度は3級に比べるとかなり高めにはなるものの、活躍の幅が広くなるからです。
税理士とFPはどちらも国家資格なので、クライアントからの信頼感を高めることにも繋がるでしょう。
税理士は令和6年4月時点で81,073名いるため、各々の税理士がクライアントに選ばれるための特徴や強みを持っていることが求められています。そんな中で、ライフプラン設計のスキルも強みの一つにすることができます。
例えば、税務相談をするために訪れた顧客に対して、ライフプランの包括的な設計を行うことができます。また、FPの資格のみを持っている人よりも税務の専門的なサービスを提供できるため、ライフプラン設計を目的とした新しい顧客を獲得できるというメリットがあります。
今回はライフプランを立てられる税理士になるために必要な資格として、FPを紹介させて頂きました。
ライフプラン設計ができる特徴を持った税理士として活躍するために、FPを取るのは非常に有効な手段と言えます。
もちろんいずれかの資格を持っているだけでもライフプラン設計は可能ですが、ダブルライセンスによって他のライフプラン設計を担う方との差別化にも繋がるのです。