税理士試験は、税理士を取得するために合格しなければならない試験です。知名度が高い一方で専門性も高いため、興味があるもののよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそんな税理士試験について、受験資格や試験日、合格基準などといった概要から難易度や科目合格制まで、徹底解説します。
税理士試験とは税理士になるために合格しなければならない試験です。税理士試験を主催する国税庁のHPには、試験の目的が次のように記されています。
税理士は税務に関する専門家であり、個人や企業の税務申告、税務相談、税務代理、会計業務などを行える資格です。税法に基づいて正確に税金を計算し、納税者が適切に納税できるようサポートします。納税は個人でも法人でも義務である反面、正しい税務知識を持っている人は少ないため、税理士のニーズは高くなっています。
出典:国税庁HP│税理士試験の概要
税理士試験の受験資格は、2023年(令和5年)の第73回試験から緩和されました。
高校生や大学1・2年生の場合は日商簿記1級を所持していなければならない等の受験資格がありましたが、簿記論および財務諸表論は誰でも受験可能、税法科目は法律・経済分野以外を履修した大学生や卒業生でも受験ができるようになったのが、大きな変更点と言えます。
出典:国税庁HP│税理士試験受験資格の概要
税理士試験に合格するには、11科目ある税理士試験科目のうち、5科目を取得する必要があります。ただし5つであればどの科目を取っても良いわけではなく、下記のように定められています。
なお、税理士試験は科目合格制をとっています。つまり、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。
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税理士試験は基本的に上記の通り5科目の合格が必要ですが、一部科目もしくは全科目の受験が免除されるケースがあります。
具体的には、大学院の単位取得により税法科目であれば2科目・会計学科目であれば1科目の免除が認められる「学位取得による科目免除」、弁護士もしくは公認会計士を持っていると全科目の試験が免除される「特定資格取得による免除」、国税従事者として働くと一部もしくは全ての科目が免除になる「国税従事による科目免除」があります。
税理士試験は年に1度、毎年8月上旬~中旬のうち3日間で行われます。なお、2024年度税理士試験の試験日程は以下の通りです。
・試験日 2024年8月6日~2024年8月8日
・合格発表 2024年11月29日
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合格基準点は各科目とも満点の60%です。合格科目が会計学に属する科目2科目及び税法に属する科目3科目の合計5科目に達すると、税理士試験合格者となります。
なお、前年までに合格した科目は永年免除となり、再受験する必要はありません。
受験地は随時変更されていますが、2024年度の税理士試験は、以下の12都道府県で受験できます。
1.北海道 2.宮城県 3.埼玉県 4.東京都 5.石川県 6.愛知県 7.大阪府 8.広島県 9.香川県 10.福岡県 11.熊本県 12.沖縄県
具体的な会場については、毎年試験の数か月前に発表されます。会場は年によって変わるケースが多いので、注意が必要です。
税理士試験の受験料は科目の受験数によって変動し、下表の通りとなっています。
1科目 | 4,000円 |
2科目 | 5,500円 |
3科目 | 7,000円 |
4科目 | 8,500円 |
5科目 | 10,000円 |
税理士試験は国家資格の中でも難易度が高い資格とされています。しかしそう言われても資格試験を受けたことが無ければ、イメージしにくいと思いますので、試験の合格率と合格に必要とされている勉強時間から紐解いていきましょう。
直近2023年の税理士試験で官報合格となった方は600人で、受験者全体の約1.8%、一部科目合格者を含めると6,525人で約21.9%でした。
これだけでも、全科目合格するのはかなり狭き門ということが分かります。
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税理士試験の勉強時間は、一般的に4,000時間程度と言われています。受験生の就業状況などにもよりますが、全く税務や会計などの知識や資格がない状態から1年で合格するのは難しいです。また独学での合格も非現実的なので、専門学校や予備校に通いながら数年かけて継続的に勉強する必要があります。
このことからも、かなり難易度が高いといえます。
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税理士と同じく税務や会計系の資格として、簿記や公認会計士が比較対象にされることがあります。
簿記は日商簿記や全商簿記などいくつか種類があり、それぞれに階級があるため一概に比較ができないものの、一番難易度が高い日商簿記1級よりも、税理士試験科目の簿記論の方が難しいとされています。
つまり、簿記に比べると圧倒的に難易度が高いことになります。
一方で、公認会計士は税理士よりも難易度が高いです。これは合格率や勉強時間だけでなく、資格が無いと行えない独占業務の範囲などからも結論付けることができます。詳しくは以下の記事をご参照ください。
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税理士試験に合格したからと言って、ただちに税理士を名乗れるわけではありません。下記の流れで税理士資格保持者となるまでは税理士の独占業務を行うと法令違反となりますので、注意が必要です。
税理士試験の合格と併せて2年間の実務経験をしなければなりません。実務経験は下記のように定められています。
実務経験をするタイミングに関しては合格の前でも問題ないため、試験合格時に既に2年間の実務経験をしている場合は、次でご紹介する登録さえすれば税理士になることができます。
«参考記事»
税理士試験合格および2年の実務経験をしたら、税理士登録の申請書類を各地域の税理士会に提出する必要があります。
申請が受理され日本税理士会連合会の税理士名簿に登録されれば、税理士を名乗ることができます。
税理士試験に合格した方は様々な分野で活躍することができるため、市場価値はとても高いです。その中でも特にオススメの就業先として、下記が挙げられます。
また、税理士登録を済ませれば、税理士事務所などを独立開業することも可能です。
税理士が活躍できる就業先については、以下の記事で詳しく紹介しています。
«参考記事»
職活動にあたって、税理士資格を持っていてある程度有利ではあるものの、自分で応募する求人を探したり面接の日程調整をするのは骨が折れるものです。
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本記事では税理士試験について、概要や難易度から、税理士になるまでの流れやその後のキャリアプランまでご紹介していきました。
会計系の資格の中でもかなり難易度が高い税理士ですが、持っていると非常に幅広いキャリアに活かすことができます。科目合格制のため、比較的自分のペースで勉強することができるので、興味があれば是非チャレンジしてみましょう!