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税理士になるには文系・理系どっちが有利?

HUPRO 編集部
税理士になるには文系・理系どっちが有利?

「税理士になるには文系・理系どっちが合格に有利ですか?」という質問がよく寄せられます。大学の推薦入試などでも志望者が多い職業である税理士は、文系・理系のどちらの学部に所属していても合格を目指すことは可能です。文系・理系のどちらが有利ということもありません。しかし、文系と理系では、税理士試験合格までの戦略とプロセスが異なります。この記事では、文系・理系それぞれの学部から税理士試験合格を目指す戦略とプロセスについて解説していきます。

税理士になるには文系・理系どっちが有利?

税理士になるためには税理士試験に合格しなければなりません。税理士試験は科目合格制度を採用しているので、特定の5科目について合格すると、税理士試験を突破したことになります。税理士試験の試験科目は全11科目あります。その中から5科目を選択して受験する試験制度です。税理士試験に合格するためには、必須科目である会計科目の簿記論・財務諸表論2科目と、選択必須科目である法人税法・所得税法のいずれか1科目以上を含む、税法2科目の合計5科目に合格しなければなりません。

それでは、税理士試験を突破する人の平均年齢はどれくらいか知っていますか?税理士試験合格の平均年齢は以下のようになっています。

出典:令和3年度(第71回)税理士試験結果|国税庁

この表から、25歳以下で税理士試験の突破を意味する5科目到達者数はかなり少ないことがわかります。そもそも、税理士試験は、大学在学中に合格を目指せる試験ではなく、大学卒業後、税理士事務所や税理士法人で働きながら、税理士試験の合格を目指すのが一般的です。したがって、税理士になる場合、大学の所属学部がどこであるかはあまり関係がありません。文系であれ、理系であれ、税理士となるのに有利・不利はないのです。

しかし、文系学部から税理士になるケースと理系学部から税理士試験になるケースでは、採用するべき戦略とプロセスが異なります。以下では、それぞれの学部からどのように税理士試験の突破を目指すべきであるかについて解説していきます。

文系学部から税理士になる戦略とプロセス

文系学部に所属している場合、税理士試験と関連性のある科目を履修しやすい環境にあります。商学部、経営学部などでは、財務会計論、会計学、簿記論などの科目が開講されているケースが多いため、これらを積極的に履修すると良いでしょう。しかし、文系学部で開講されているこれらの科目を履修しても、基礎的な知識を身に着けることができるだけで、税理士試験を突破するだけの十分な力を養うことは不可能です。税法概論や税務会計といった税法に関する科目についても、基礎的なところまでしか勉強しないため、それだけで税理士に合格することはできません。

従来までは、大学在学中に、日商簿記試験1級 or 全経簿記試験上級の合格が税理士試験を突破するための登竜門でした。そのため、税理士となるには文系学部の方が有利と言われていた時代もありました。しかし、令和4年度税制改正大綱では、以下のように「税理士試験の受験資格要件の緩和」が公表されています。

・税理士試験の受験資格について、次の見直しを行う。
①会計学に属する科目の受験資格を不要とする。
②大学等において一定の科目を修めた者が得ることができる受験資格について、その対象となる科目を社会科学に属する科目(現行:法律学又は経済学)に拡充する。(注)上記の改正は、令和5年4月1日から施行する。
出典: 税理士試験受験資格の概要|国税庁

したがって、文系学部から税理士となる場合、まずは早めに会計科目や税務科目を履修して、基礎力を養い、大学の外部の専門学校とダブルスクールを行って、税理士試験突破に必要となる高度な知識に身に着けていく必要があります。そこで勉強を続けながら、税理士事務所に就職して、現役税理士のもとで実務を学びつつ、試験合格を目指すことになります。

理系学部から税理士になる戦略とプロセス

理系学部から税理士になる場合、大学の講義で会計学の基礎や税法の基礎を修められる環境ではないはずです。そのため、独学で日商簿記試験や全経簿記試験の勉強から始めていくことになります。他学部の講義を受講できる場合には、会計学系の科目や税法系の科目を積極的に履修しましょう。近年では、独学でも十分に簿記の学習が進められる環境が整っています。資格予備校が出版している日商簿記試験の本には良書が揃っていますし、YouTubeのような動画サイトで無料で勉強できるようになっています。

すでに説明したように、従来は簿記の資格を取得する必要がありましたが、門戸が広がって理系学部からでも税理士となりやすい環境が整備されました。そのため、理系学部に進学した場合は、まずはできるだけ早く簿記や会計学の勉強をはじめて、日商簿記試験、もしくは全経簿記試験の合格を積み重ねましょう。日商簿記試験であれば、日商簿記試験3級から始めて、日商簿記1級まで在学中に合格できるように勉強を進めていきましょう。その後、就職では税理士事務所や税理士法人への就職を目指し、文系学部と同じように、働きながらダブルスクールを行って、税理士試験合格を目指しましょう。

まとめ

税理士となるのに、文系・理系どちらが有利ということはなくなりつつあります。令和4年から試験制度が変更となり、従来とは異なり、理系からでも税理士の合格を目指しやすい環境が整備されています。早期合格のポイントは、文系であれ、理系であれ、できるだけ早く日商簿記試験1級や全経簿記試験上級のような高度な簿記を習得することです。簿記の知識がないと、税法系科目の勉強についていけなくなります。したがって、在学中は簿記を集中的に勉強して試験に慣れるためにも簿記資格を受験することが大切です。その後、税理士事務所に就職をして、ダブルスクールをしながら、税理士件突破を目指しましょう。

この記事を書いたライター

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カテゴリ:資格試験

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