令和4年8月8日~10日に実施された2023年(令和5年度)第73回税理士試験の結果が、発表されました。
合格された皆様、おめでとうございます!そして大変お疲れ様でした。
こちらのコラムでは今回発表されました税理士試験の結果、および今後の税理士試験の動向などをご紹介させていただきます。
令和5年度(第73回)税理士試験の受験者数は今回32,893人で、前回(令和4年度)の28,853人から4,040人増となりました。
令和2年度の26,673人から昨年にかけては、コロナ禍の受験控えからの回復が徐々に見られていました。今回はそれに加えて、税理士試験の受験資格が緩和されたこともあり、受験者数が5年ぶりに30,000人を超えました。
第72回税理士試験では官報合格者が600人であり、昨年より20人減でした。一方で、一部科目合格者は6,525人であり、昨年の5,006人から1,519人増で、前年が452人増だったこと踏まえると、大幅に増加したといえます。
合格率については21.9%で前年の16.7%より5.2ポイントの大きな上昇を見せました。
出典:令和5年度(第73回)税理士試験結果|国税庁HP
科目 | 令和5年度合格率(%) | 令和4年度合格率(%) | 令和3年度合格率(%) |
---|---|---|---|
簿記論 | 17.4 | 23.0 | 16.5 |
財務諸表論 | 28.1 | 14.8 | 23.9 |
所得税法 | 13.8 | 14.1 | 12.6 |
法人税法 | 14.0 | 12.3 | 12.8 |
相続税法 | 11.6 | 14.2 | 12.8 |
消費税法 | 11.9 | 11.4 | 11.9 |
全体(延人員) | 18.8 | 16.7 | 16.5 |
主な科目ごとの合格率をみてみると、財務諸表論の合格率が前年より大きく上がったのに対し、簿記論の合格率が大きく下がっています。簿記論や財務諸表論については合格率の上下が激しく、今回高かった合格率は次回に再度低下する可能性があります。合格率は試験の難易度が影響しているので、この傾向を見る限りでは来年は簿記論の難易度が低くなり、財務諸表論の難易度が高くなる可能性があります。
その他の主な税法科目については法人税法や相続税法の合格率以外は、1ポイント以上の大きな変化が見られませんでした。
なお学歴別および年齢別の受験者数・合格者数・合格率については以下の通りです。
出典:令和5年度(第73回)税理士試験結果|国税庁HP
昨年の試験までは高校生や大学1・2年生の場合は日商簿記1級を所持していなければならない等の受験資格がありましたが、簿記論および財務諸表論は誰でも受験可能、税法科目は法律・経済分野以外を履修した大学生や卒業生でも受験ができるようになりました。
受験資格要件が緩和されたことにより、受験者数が4,040人増となりました。大方の予測通り受験者の増加した一方で、合格者数や合格率も上昇しました。受験資格のなかった要件の方々についても、勉強や努力をすれば合格可能と証明できたと言っていいでしょう。
学歴別にみても高卒・旧中卒や大学在学中の受験者が昨年と比べて大きく増加しています。
また、年齢別にみても25歳以下の受験者が7,023人と昨年の4,929人から2,094人の増加となっており、若い世代の受験者数が増えていることが分かります。5科目合格者の人数や一部科目合格者数も増加している状況です。今後は高齢化が進む税理士業界で科目合格者も含め若手の合格者は今後ますます貴重な存在になってきておりますが、若手税理士の台頭も近い将来みられるかもしれません。
受験者への発表方法は、以下の通りです。もし通知書が届かない人は2023年12月11日(月)から2023年12月25日(月)に自身で照会できるようになります。
税理士試験は1年に1回行われていますので、次回の試験は令和6年度(第 74 回)税理士試験となります。次回の試験を受験される方は日程をチェックしていきましょう。なお、次回の申込受付期間は例年より前倒しとなってますので、何回か受験の経験がある場合は特にご注意ください。
「税理士試験を今回初めて受験して見事2科目に合格した」「あと1科目合格に手が届かなかった」など、税理士試験の受験生のなかには色々なステージが混在しています。
また、社会人で働きながら受験勉強の時間を確保されてきた方、専業主婦で家事・育児との両立をしながら受験勉強を進めてきた方など、各受験生が置かれた状況は本当に様々です。
ただ、いずれの段階にも共通して重要なのが、税理士受験生にとって「合格を目指すための勉強時間を確保する」という点かと思います。
たとえば、次のような選択肢があるので、ご自身の状況に適したキャリア選択が求められます。
「今の仕事を辞められない」「勉強時間を集中的に確保したい」という場合には、資格スクールで効率的なカリキュラムをこなす、もしくは完全独学に切り替えるなどが考えられます。
また「仕事でも税務に触れながら税理士試験に挑戦したい」という場合には、会計事務所や税理士法人に転職するのがおすすめです。
特に、すでに3~4科目に合格している受験生の場合には、官報合格後のキャリアや実務経験について具体的に考える時期に差し掛かっています。個人から中堅の会計事務所はもちろん、BIG4などの大手税理士法人でも、科目合格者向けの求人を積極的に出しています。
会計・経理業界は人材不足の業界です。できるだけキャリアの浅い段階から優秀な人材を確保するために、各社・各事務所が「試験休暇制度」「専門学校の学費補助制度」「残業の免除制度」「勤務時間の臨機応変な対応可」などの税理士試験受験生に向けたサポート体制を充実させています。
「会計・経理業界で働きながら税理士試験最終合格を目指したい」という方は、応募条件などを細かくチェックして、気になる会計事務所・税理士法人に応募をしてみてはいかがでしょうか。
2023年(令和5年度)第73回税理士試験を受験された皆様、本当にお疲れ様でした。
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