キャリアパスとは、企業内での昇進・昇格のモデルとなる職務経歴や、仕事における専門性を極めるための道筋などを表わす言葉です。
目指す職位や職務に就任するために、中長期的にどのようなスキルや専門性を身につけるべきか、そのためにはどのような部門での職歴を重ねていくべきかといった具体的な内容まで落とし込むことで、自分の取るべき行動が見えてきます。
今回は人事担当者のキャリアパスと、もしそれがかなえられない場合どうするかについて解説します。
キャリアパスと似た言葉については、キャリアプランやキャリアデザインなどがありますが、それぞれ以下のように異なる意味があります。
人事職希望であれば、それぞれの違いは押さえておきたいですね。
「キャリア~」の言葉の意味まとめ
・キャリアパス:企業内での昇進・昇格のモデルとなる職務経歴や、仕事における専門性を極めるための道筋などを表わす
・キャリアプラン:自分のキャリアをどのように構築するかをプランニングすること。転職や資格取得なども含まれる
・キャリアデザイン:人生設計上、どのような仕事に就くかを考えること
・キャリアアップ:キャリアを高めるために、専門性を身につけたり、資格などのスキルを習得すること
今回解説している「キャリアパス」とは、自分が所属している企業・組織内での異動や昇進のルートを示しています。
自社における人事のプロを目指す場合、まずは人事部門に配属されることが、キャリアパスのはじまりです。
人事と一口に言っても、さまざまな仕事があります。どの分野を目指すのかを考えたときに、以下のどの分野で自分はキャリアを築きたいか、適性や希望を確認しておきましょう。
人材採用 | 新卒・中途社員の採用に関わる |
人材教育・育成 | 社員の教育・育成に関わる |
人事評価 | 社員の人事評価システムを構築したり、評価結果について検証をおこなう |
人事評価 | 社員の人事評価システムを構築したり、評価結果について検証をおこなう |
人員配置 | 人事異動にともなう計画を立てる。組織の新設・統廃合に関わることもある |
労務管理 | 勤怠や給与計算、社会保険手続きなど労務にかかわる事務的な業務をおこなう |
※人事の仕事について詳しく内容を確認したい方は、以下のコラムもご一読ください。
キャリアの到達点をどこに置くのかによって、目指すキャリアパスは変わります。
人事部門においては、どの部門でキャリアを築くかによって、たどるべきルートが異なります。具体例を以下で見てみましょう。
①全社の採用や人事計画をおこなう経営層になりたい
新卒~中途までまんべんなく採用を担当しておいた方が良い。
新卒のリクルーターや、会社説明会の事務局アシストから、採用面接、採用・研修計画などに携わり、管理職へ昇進、戦略人事の視点をもちながら人材採用・活用制度設計などにも携わる。
②人材教育・育成の担当をしたい
人事部門だけでなく、実際に教育を受ける側の現場での経験を積むことで、より実践的な教育研修を企画できるようになる。研修のプロフェッショナルとなるほか、人事企画とも連携し、業務研修だけでなく、メンタルヘルスやコンプライアンス研修など、全般的な社員教育をになう管理職へ昇進が考えられる。
③労務のプロフェッショナルになりたい
労務管理担当になり、実務を担当します。社員の相談や労働基準監督署との対応も経験。社会保険労務士資格を取得し、より専門的な知識も深める。
自身の希望によって、もっと細分化することも可能です。
人事部門でのスペシャリストを目指すのであれば、実際に自分のキャリアパスの希望を作成して、人事部門に提出しておくというのも一つの手段です。
自社で希望するポジションに着いている人が、どのようなキャリアパスを歩んできたかを参考にすると、より実践的なキャリアパスを作ることができるでしょう。
企業によっては、今後のキャリアパスの希望を確認し、異動の際に参考にするような仕組みを整えているところもあります。
社員を適性や希望のあるポジションにつけることで、パフォーマンスを上げてもらうことは、人材の有効活用につながるからです。
しかし、自分が希望しているからといって、それが企業内で通るかどうかは、また別の問題になります。人事部門は人気のポジションも多く、社内の競争率も高いので、会社から見てより能力を発揮してくれそうな人がいれば、そちらが優先されてしまうため、自分の思うキャリアパスが描けないという事態になってしまうことも。
例えば、自分は人事のプロフェッショナルを目指しているのに、会社で関係のない部門に配属されてしまったというようなことがあった場合はどうすべきでしょうか。
個人の希望と適性が違うことは往々にしてよくあることですし、会社の人事は万能ではありません。自分にはよくわからないまま、希望の部署に行くことができないということも、残念ながらあり得ます。
会社としては本人の適性を見込んで配属したということであれば、もちろんそこでキャリアパスを変更するということも考えてみるのもよいでしょう。
または、より自分の希望するキャリアパスを描けそうな企業へ転職するというのも一つの手段です。
仕事をする時間は人生の中で長い時間に及びます。希望の部署に配属されず、普段の仕事が自分の希望にそぐわないと感じながらも、忙しいまま毎日が終わってしまう方も多いでしょう。仕事に対して何を求めているのか、いったん立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。