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人事考課における目標管理制度(MBO)について

HUPRO 編集部
人事考課における目標管理制度(MBO)について

人事考課では目標管理制度(MBO)といって、個人または組織で設定した目標の達成度にしたがって評価を決める手法が用いられることが多いです。確かに、あらかじめ立てた目標を達成できたかというのは評価として非常にわかりやすいですが、具体的にどのような目標を立てるべきなのかが悩ましいところでもあります。本記事では人事考課における目標の重要性と目標の作り方について解説します。

目標管理制度(MBO)とは

目標管理制度とは、英語ではManagement by Objectives and Self controlといい、その頭文字を取ってMBOとも呼ばれています。経営学で有名なピーター・ドラッガーが提唱したマネジメント手法のひとつです。

人事考課の期初に目標を立て、その達成度合いで人事考課を行う手法で、目標の達成についてはSelf controlとあるように、その目標は従業員自らが律することによってなされるというところに大きな意味があります。

いわゆるPDCAのプロセスを評価期間中に目標達成のために行うことで、企業だけでなく、人材の成長も盛り込まれたシステムです。

考課期間を終了した後に、期初に立てた目標に対して自己評価を行い、上長のフィードバック、部門長の承認を経て、人事部に提出されるというのがその流れ。人事部門ではその評価内容に対してスコアリングなどを行い、異動や昇級・昇格の資料としても使用します。

目標管理制度における目標の立て方

「目標管理制度」では、まずは社員が目標を立てなくてはなりません。以下、目標を立てるにあたって、考慮すべきポイントと具体例をまとめましたので参考にしてみてください。

(1)売上など数値化できる目標は、具体的に数値を設定する

一番立てやすいのが売上目標などの数値化できる目標です。目標には、営業売上のように、その企業の経営目標として達成を目指すものがあらかじめ決まっていることがあります。

売上のような数値目標をどのような施策を用いて達成するかという道筋を考えるのが目標設定のポイントです。

例えば、以下のような内容です。

・50件の新規顧客を獲得する
・見込み客を100件訪問する
・商品セミナーを月に1度開催する
・WEBサイトの流入を増やしアクセスを10倍にする

目標を決めたとしても、予算化などが必要な場合は提出前に上司に相談して、その手段を確保しておく必要があります。

・50件の新規顧客を獲得する→どうすれば獲得できるか?→新たなプロモーションを展開する→いつまでに?予算は?どうやって?→具体的に落とし込む

・見込み客を100件訪問する→訪問するだけでは意味がない、そこから何件もしくはいくらの成約を獲得するか?そのためにはどういった見込み客を開拓し、アタックすべきか?

・商品セミナーを月に1度開催する→セミナーによる具体的な切り口は?→過去データから成約率を考えると何名集客する必要があるか?→セミナー開催にかかる予算についてはどうする?

・WEBサイトの流入を増やしアクセスを10倍にする→流入を増やすためにどのような手段を用いるか?→WEBサイトのリニューアルをする場合の予算は?→サイト広告を打つための予算は?→どちらの方が収益が見込めるか?

具体的な数値設定を行うのは良いことですが、それを達成するための手段も具体化しておくことが重要です。

(2)バックオフィスの目標は取り組む内容+目標数値を絡める

事務などのバックオフィス部門は、数値化する目標が難しいと言われますが、業務の課題というのは常にあるはずです。例えば、以下のような事です

・書類不備が多い
・残業時間が多い
・経費がかかりすぎる

こうしたことを改善するにはどうすれば良いかを考え、その結果を数値化することで業務目標に替えることができます。

・書類不備率をカウントする→5%だった→不備の多い項目について社内での研修を徹底し2.5%まで引き下げる
・残業時間が多い→どの業務に時間がかかるか→ファイリングを効率化することで月の残業時間を10時間削減する
・経費が掛かりすぎる→仕入れ業者の見直し、もしくは仕入れ商品の見直し→消耗品費を5%削減

といった具合です。日頃からちょっとしたアイディアを貯めておくのが目標を立てるコツと言えるでしょう。

(3)自己啓発の内容も盛り込んでおく

目標を立てても、内容によっては自分の要因ではなく未達に終わる場合もあります。しかし、そうなった場合にリカバリーができる項目を入れておかないと、自分の当年度の成績が次年度以降の給与・昇格に大きな影響を及ぼしてしまいます。

そうならないように、資格試験の合格やTOEICスコアなど、業務外でも自分のためになるような項目を盛り込んでおきましょう。スキルアップして自分の評価も上がるので一石二鳥です。

まとめ

目標設定は、場合によっては、本人の努力ではどうしようもない数字が経営判断で降りてきてしまうこともありますが、基本的には本人が高いモチベーションを持ちながら業務に取り組めるように、設定することがポイントです。組織と本人の成長に役立つ目標を立てて達成するためには、本人もそうですが、マネジメント層の協力が欠かせません。

ともすれば面倒な作業で後回しにされがちですが、1年後の自分の昇格や給与を決める元となるものです。普段から目標に対する意識を持ち、納得感のある目標設定ができるように業務を見直してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたライター

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