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流動負債とは?貸借対照表の勘定科目について詳しく解説!

HUPRO 編集部
流動負債とは?貸借対照表の勘定科目について詳しく解説!

流動負債とは、貸借対照表の「負債の部」の項目の一つです。固定負債と相対する概念で、主に、1年以内の短期間に支払わなければならない債務や引当金、繰り延べられた収益や未払い費用が含まれます。この記事では、流動負債と固定負債の違いや、該当する勘定科目の項目について解説します。

流動負債とは?

「負債」というと、返済しなければならない借入金や、支払期日のある商品代金など「お金」を思い浮かべる方が多いかもしれません。会計における「負債」とは、お金以外にも、商品やサービスなどの「提供すべき義務」も含まれます。

そして、負債には種類が2つあります。「固定負債」と「流動負債」です。
この2つを分けるルールは2つあり「営業循環基準」と「ワン・イヤー・ルール(1年基準)」と呼ばれています。

流動負債は営業循環基準と1年基準を満たす負債

流動負債は、営業循環基と、ワン・イヤー・ルール(1年基準)に当てはまる負債のことです。

営業循環基準とは、原料購入から製造、販売を経て売り上げを回収するという、営業の循環過程において生じる負債のことを指します。

ワン・イヤー・ルール(1年基準)とは、1年を基準として、1年以内に返済期限が到来するものは流動負債、それ以上のものは固定負債とする考えです。

貸借対照表上では、支払期限がより短いもの順に表記するという決まりがあります。
流動負債と固定負債の違いについては、以下の記事も併せてご覧ください。

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流動負債に該当する勘定科目

流動負債には、どのような勘定科目が該当するのでしょうか。実は、会社計算規則第75条によって、流動負債に分類されるべき負債が定められています。順に見ていきましょう。

支払手形

手形とは、記載された金額を、支払期日に相手方へ支払うと約束した証書です。
支払手形とは、通常の掛け取引によって商品を購入した場合の、代金を支払う義務(債務)のことを指します。

手形取引について、詳しくは以下の記事もご覧ください。

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買掛金

買掛金とは、企業が「掛取引」を通じて商品の購入をした場合や、サービスの提供を受けた場合に支払いをしなければならない債務のことです。

買掛金について、詳しくは以下の記事もご覧ください。

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未払金 

未払金とは、あとで代金を支払う義務という意味では「買掛金」と同じ性質を持っていますが、本来の営業取引以外の非継続的な取引から生じる代金を表すための勘定科目です。

未払金について、詳しくは以下の記事もご覧ください。

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前受金 

前受金とは、注文を受けてから、顧客に商品を納品する前に代金の一部または全部として受領した金銭のことです。前金・手付金・内金と呼ばれることもあります。

すでにお金を受け取ってはいますが、商品・サービスが未提供であることから、流動負債に分類されます。

前受金について、詳しくは以下の記事もご覧ください。

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引当金 

引当金とは、賞与や退職金など、将来発生する特定の費用、または取り立て不能な売掛金などの損失を、あらかじめ当期の負債として計上するときに使う勘定科目です。
流動負債に関する引当金は、資産に係る引当金と、一年内に使用されないと認められるものを除きます。

引当金について、詳しくは以下の記事もご覧ください。

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通常の取引に関連して発生する未払金又は預り金で一般の取引慣行として発生後短期間に支払われるもの

長い名称ですが、実は財務諸表で一般的に用いられる勘定科目です。
内容を分解してみてみましょう。
まず、「通常の取引に関連して発生する未払金」についてですが、「通常の取引なら買掛金ではないか?」と思うかもしれませんね。ですが、買掛金の対象となるのは商品であり、例えば商品購入以外でも営業費用に対する債務は「未払金」として処理されます。

次に「預り金」ですが、こちらは「一時的に預かっているお金」で、後日返金または納付しなくてはならないものです。例えば、源泉所得税や社会保険料、後日返金すべき保証金などが該当します。

未払費用

未払費用は、サービスの提供を継続的に受けている取引が対象です。未払金とよく似ています、契約の全てが完了しておらず、かつ支払いが終っていないものが該当します。

例えば、利息や家賃、保険料やリース料などです。

未払費用について、詳しくは以下の記事もご覧ください。

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前受収益

前受収益とは、継続的なサービス代金の翌期分を当期に受け取ったものです。例えば、未経過の受取利息や翌期分の受取家賃・地代が該当します。
本来であれば翌期の売上分なので、決算時に繰り延べるための勘定科目として使い、翌期の機首に「営業外収益」として再度仕訳が必要です。

ファイナンス・リース取引におけるリース債務のうち、一年内に期限が到来するもの

ファイナンス・リース取引とは、リース期間の途中で解約ができないリース取引のことです。リース債務は基本的に固定負債ですが、貸借対照表日後1年以内に支払期限が到来するものについては、流動負債への振替が必要となります。

資産除去債務のうち、一年内に履行されると認められるもの

資産除去債務とは「有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるもの」と定義されています。
少し難しいですが、有形固定資産を取得したら、将来その除去にかかるであろう費用を見積もって、その現在価値を債務として計上できるというものです。

その他の負債であって、一年内に支払われ、又は返済されると認められるもの

そのほかの負債でも、1年基準にのっとり、1年以内に返済するものはすべて流動負債として分類します。

参考:会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)第七十五条2

まとめ

流動負債について、その意味と勘定科目を細かく見てみました。流動負債と固定負債の違いについては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。

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