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ファクタリングってどんな仕組み?2種類のファクタリングについてわかりやすく解説!

HUPRO 編集部
ファクタリングってどんな仕組み?2種類のファクタリングについてわかりやすく解説!

ファクタリング(Factoring)とは、売掛債権の譲渡などの方法を通じて資金調達を可能とする金融サービスのことです。特に中小企業において昨今注目を集めている資金調達方法で、スピード感をもって資金を獲得できることなどに魅力があるとされています。

そこで今回は、ファクタリングの仕組みや手法、メリット・デメリットなどを総合的に説明します。資金繰りでお悩みの事業主の方は、ぜひご参考ください。

ファクタリングの仕組みについて!どのようなニーズを満たす?

まずは、ファクタリングの概要について説明します。

ファクタリングとは?

冒頭で述べたように、ファクタリングとは、売掛債権を活用した形での資金調達方法です。売掛債権とは、当該企業が顧客に対して有する金銭債権で、未だ履行期の到来していないものを指します。

ファクタリングに対するニーズとは?

売掛債権は、そもそも履行期が到来しない限り、これを現金化することはできません。なぜなら、債務者は債務の履行期が到来するまでは、金銭の支払義務を履行する必要がないからです。つまり、売掛債権を保有しているということは、「履行期が到来したときに、債権価額に応じた金銭を受け取ることができる権利を持っている」ということを意味するに留まります。

本来であれば、履行期の到来を待って金銭債権の実現を狙えば良いだけなのですが、経営基盤としての資金繰りが万全ではない企業にとっては、履行期が到来するまでに困った事態が生じかねません。例えば、急遽資金繰りが悪化した、まとまった現金が必要なのに銀行からの融資を止められてしまったというように、売掛債権の履行期まで待てないという状況が少なからず生じうるでしょう。

そのような窮状において活用されるのがファクタリングです。売掛債権を売却する、つまり、「履行期において債務者から債権価額に応じた現金を受け取ることができる権利」を今の時点で売却することによって、早期の資金繰りを達成できるのです。融資や借り入れとは全く異なる手法です。これによって、緊急的なショートリスクに対応することが可能となります。

入金までの期間が長い建設業や運送業、為替相場の影響を受けやすい貿易業などについては、債権が充足されるまでに新規事業の工費を調達必要があったり、債務者の状況次第では、そもそも債権の回収リスクが高まる可能性があります。したがって、この種の業界において、積極的にファクタリングによる資金調達が行われています。

ファクタリングにおける注意点

ただし、ファクタリングは、あくまでも債権譲渡、債権売買です。民間のファクタリング会社も多く参入していることから、手数料や債権評価額に関してかなり曖昧な点が否めません。悪質業者との取引によってトラブルも少なからず見られるために、実際にファクタリングによって資金調達をする際には、注意が必要です。

売掛金についてはこちらのコラムでも紹介しているので、ぜひご参考ください。

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ファクタリングの種類は2つ

ファクタリングの種類は2つ

ファクタリングは、基本的に以下の2つの方法に分類できます。

・買取ファクタリング
・保証ファクタリング

それぞれについて、以下で説明します。

買取ファクタリングについて

まずは、最も活用されている買取ファクタリングについて説明します。

買取ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことによって、その代金を受け取る形で資金調達を行う方法です。債権額から一定の手数料が引かれる点には注意が必要です。

買取ファクタリングは、債権売買が成立した段階で現金を受け取ることができる点に特徴があります。すぐに資金調達をしたいという中小企業においてよく活用されるものです。また、債権売買が成立する際に一定の審査が行われますが、その審査の対象は、売掛債権の信用力、つまり、売掛債権に係る債務者の信用力です。買取ファクタリングを希望する債権者側の信用力はほとんど問われないので、利用のハードルが低いのも中小企業にとって魅力的です。

なお、当該売掛債権に関して、債務譲渡禁止特約が付されている場合には、買取ファクタリングを利用することはできません。ファクタリング会社は当然買い取ってくれませんし、万が一その特約に反して売却した場合には、債務不履行責任を問われかねませんのでご注意ください。

以下では、買取ファクタリングの2つの方法について説明します。

2社間における買取ファクタリングについて

まずは、買取ファクタリングを成立させるための契約当事者が2社間の場合についてです。

2社間、つまり、売掛債権の債権者とファクタリング業者だけで売掛債権の売買が行われます。具体的な流れは以下の通りです。

・売掛債権の債権者がファクタリング業者に対して売掛債権を譲渡
・ファクタリング業者が債権者に対して売掛債権に対する評価額から手数料を差し引いた金額を支払う
・売掛債権の債務者が売掛債権の債権者に対して売掛金を支払う
・債権者がファクタリング業者に対して売掛金を支払う

このように、2社間におけるファクタリングは、売掛債権の債務者がファクタリングの当事者ではありません。したがって、*売掛債権の事実を債務者に知られることなく資金調達を行う*ことができます。

中小企業にとって活用しやすい2社間のファクタリングですが、敷居が低い分、デメリットもあります。1点目は、ファクタリング業者に支払う手数料が比較的高額という点です。債権の現金化がスピーディーに行える代償として、通常の5倍もの手数料を支払わなければいけません。2点目は、大手のファクタリング業者ではサービス対象外という点です。大手業者は、以下の3社間ファクタリングが原則形態なので、必然的に中小業者に依頼しなければいけません。業者選びを間違えると、違法業者などと取引することになり、想定外のトラブルに巻き込まれるリスクが生じます。

3社間における買取ファクタリングについて

次は、3社間における買取ファクタリングについてです。大手のファクタリング業者がメインで採用している買取ファクタリング方式です。具体的な流れは以下の通りです。

1. 売掛債権の債権者がファクタリング業者と契約
2. 売掛債権の債権者が債務者と契約
3. 売掛債権の債権者と債務者との間で支払予定金額を確認
4. ファクタリング業者が債権者に対して売掛債権評価額から手数料を差し引いた金額を支払い
5. ファクタリング業者と債務者との間で支払金額を確認
6. 債務者がファクタリング業者に対して債務を履行

債務者がファクタリングに巻き込まれることから、2社間におけるファクタリングよりもスピード感に欠けるというデメリットが生じます。また、債務者に対して債権譲渡の理由などを説明する必要も生じるため、万が一承諾を得られない場合には、ファクタリングが成功しません

他方、大手業者を利用できるので、手続の透明性も確保でき、安心度は高まります。2社間のファクタリングに比べると手数料も低額に抑えることができるので、これらの点に関しては債権者にとってメリットが大きいと言えるでしょう。

保証ファクタリング

保証ファクタリングは、早期の現金化が主たる目的とされるのではなく、売掛債権の実効性を確保することが主たる目的のファクタリング方式です。万が一債権が回収できなかった場合に備えて、ファクタリング業者に保険をかけてもらうイメージです。

今は資金繰りに問題はなく売掛債権を早期に実現する必要はない場合であっても、当該売掛債権が焦げ付いてしまうと困ると考える企業は少なくはありません。倒産や支払遅延などの回収リスクに対応するため、保証ファクタリングが利用されます。

一般的に、保証ファクタリングはある程度高額な債権にしか利用できません。そのため、小口の債権をいくつも保有しているようなケースでは業者が対応してくれないので注意が必要です。

ただ、債務者に知られることなく売掛債権の実現保証をできるという点と、業者が債務者の与信調査をしてくれる点はメリットと考えられます。

日本の企業間の取引では、先に商品やサービスを提供し、後から売掛金の回収をする信用取引が一般的に行われていることから、現金化するまでのスピードが遅く、資金繰りに困る企業というのは数多くあります。

そんな時、中小企業だと役員が出資又はお金を貸したり、銀行をはじめとした金融機関の借り入れを行ったりするケースがほとんどです。そのため、今後もファクタリングは、新たな資金調達方法方法として、より広く活用されていくと考えられています。

まとめ

以上が、ファクタリングによる資金調達です。現在、日本の企業間取引では、先に商品やサービスを提供し、あとから代金などの支払が行われるという取引慣行が前提とされています。結果として、商品やサービスを提供する側は、常に資金調達の必要性にかられ、中には役員が出資したり、あらゆる金融機関から借入れを行わなければならないという事態に追い込まれることが少なくありません。

このような状況にあって、特に中小企業にとっては、ファクタリングは魅力的な資金調達方法でしょう。悪質な業者を上手く見極めながら、積極的にご活用ください。

この記事を書いたライター

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