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社労士試験に独学で合格できる?最適な勉強方法とは?

ヒュープロ編集部 川辺
社労士試験に独学で合格できる?最適な勉強方法とは?

**社労士試験は決して簡単な試験ではないため、独学で合格するのは無理だと考えている方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな社労士試験の独学での合格を目指すにあたって、合格できる可能性や独学のメリット、オススメのテキストやスケジュールなどについて解説します。

社労士試験の概要と難易度

社労士試験は国家試験の一つであり、年に一回実施されます。試験は選択式択一式に分かれていますが、いずれもマークシート形式で記述式ではありません。

選択式について

選択式は8つの設問が出題され、各設問の文中の空欄に当てはまる適切な語句を選択肢から選ぶ方式です。設問ごとに5つの空欄があるため、40個の回答を記入することになります。試験時間は80分です。

択一式について

択一式は70問出題され、5つの選択肢から正しい回答を選ぶ方式です。試験時間は210分あり問題量も膨大なため、高い集中力が求められます

社労士試験の難易度

社労士試験の難易度は高いとされています。実際に合格率を見てみても例年6%前後を推移しており、2024年の試験でも6.9%と非常に低い数字でした。その理由として、8科目ある試験科目のそれぞれに合格基準点があるため、不得意科目を作らないようなまんべんない勉強や対策が必要なことが挙げられます。

社労士試験合格に必要な勉強時間

上記のように、各科目を網羅的に習得しなければ合格できないため、一般的には1,000時間ほどの勉強時間が必要だとされています。
過去に労務関係の仕事をしていたかどうか、法律の勉強に慣れているかどうか、勉強に集中できる環境が整っているかどうか、社会人として働きながら社労士試験合格を目指しているかどうかなど、受験生の状況によってこの数字は上下するものの、思い立ってすぐ合格できるような試験ではないことが分かります。

社労士試験の独学での合格は可能だが難しい!その理由とは?

2024年の社労士試験では2,974名の合格者がいらっしゃいました。そのうち10%程度は独学で合格していると想定されているため、独学での合格が全く不可能というわけではありません

ただし、先ほどご紹介したように合格率が6.9%の試験なので、受験者全体の0.69%しか独学での合格者がいないことを考えるとやはりかなりレアなケースであり、険しい道のりであるといえます。
ここでは、そんな社労士試験の独学での合格が難しい理由について、解説します。

効率的な勉強方法を教えてもらえない

先述したように、社労士試験は全ての試験科目に合格基準点が設けられているため、それぞれの科目をまんべんなく、かつ効率的に勉強する必要があります。通信講座や予備校など独学以外の場合では、集積されたデータに基づいた効率的な勉強方法で進められます。

一方、独学の場合は問題集や参考書などで勉強することになりますが、それをどのような順序でどのように活用するのかについては、自身で模索することになるでしょう。

法改正に自身で対応しなければならない

社労士の試験範囲である年金や保険に関する法律や制度は、我々の生活とも深く関係していることもあり、法改正が頻繁に行われます。そのため、最新の法改正も自分で随時チェックしておく必要があります

試験本番と同様の形式での採点・演習が困難

社労士試験は問題量に対して試験時間が十分に余裕があるとはいえないため、受験前に何度も練習をしておくことが一般的です。

問題ごとの難易度にもばらつきがあるため、どの問題にどのくらいの時間を費やすべきかという感覚を養う必要があります。そのために答案練習(通称:答練)を解くことになりますが、独学では第三者に採点してもらってフィードバックをもらうことが難しくなるでしょう。
また、そもそも答練は専門学校などで提供されることも多いため、手に入れづらいというのも合格が難しい一因となっています。

モチベーションを保つのが難しい

独学の場合、予備校のように同じ目標を目指す仲間がいないため、モチベーションを保ちにくいことがあります。社労士試験の勉強は最低でも1年以上かかる長期戦です。そこで発生した不安や疑問を一人で抱えるのは辛いと感じることもあるでしょう。

独学で社労士を目指すメリットはある?

ご紹介したように、独学での合格が決して簡単ではない社労士試験ですが、それでも一定数の人が独学で目指すのはそれなりのメリットがあるからです。ここでは、主なメリットを3つご紹介します。

費用が最小限に抑えられる

予備校や専門学校、通信講座の受講料はかなり高額です。一般的には20万円~30万円程度の費用がかかります。しかし、独学では必要な教材(テキストや問題集、過去問等)をそろえるだけなので約2~3万円以下で費用を抑えることが可能です。また、近年はYouTubeなどで無料で公開されている勉強方法もあるなど、様々な手段を活用すれば効率的に勉強することもできるでしょう。

自分の予定に合わせて勉強スケジュールを立てられる

時間の融通が利きやすいのもメリットの一つです。特に働きながら勉強をする場合、予備校のように決められた授業時間で学習するということが難しいこともあるでしょう。
独学であれば、自分の都合の良い時間に合わせて勉強スケジュールを組み、自分のペースで勉強を進めることができます。そのため、「ライフスタイルを変えたくない」、「自分で計画を立てたい」といった方には適しているでしょう。

自分に合った教材が選べる

予備校では配布される教材があらかじめ決まっているため、自分に合っていない参考書を使用する可能性があります。その場合、予備校に払った費用と別で参考書を購入する二重の出費となってしまいます。したがって最初から、自分で教材を取捨選択できることはメリットになります。

独学で社労士試験に合格するための勉強法

独学で社労士試験の合格を目指すにあたって、具体的にどのように勉強していくのが良いのか、具体的な方法について解説していきます。

1日あたりの勉強時間を割り出す

合格までに1,000時間の勉強をする場合、仮に1日2時間の勉強でも500日、つまり1.5年ほどかかります。1日3時間の勉強でも1年近です。
社労士試験の受験者・合格者ともに会社勤めの方が多いです。もし1年かけるとしたら毎日3時間の勉強時間を確保することを「決意」しないといけません。

例えば、平日と週末の勉強時間の差をつけるとすると、

・平日1時間・週末5時間だとすると週に1×5+5×2=15時間(週) 月で60時間 年間720時間
・平日2時間・週末5時間だとすると週に2×5+5×2=20時間(週) 月で80時間 年間960時間

となります。社労士試験は毎年の8月最終日曜日に行われます。そこから逆算して必要な勉強時間を割り出し、毎日の勉強計画に落とし込んでいきましょう。
特に、通勤時間や移動時間、お昼休み、入浴中など、数分単位の細切れの時間を有効に活用することが必要です。

前半は理解するための時間

まずは手元に用意したテキストの総ページを、受験までの日数の半分で割り「1日に進むべき範囲」を決めます。

例えば受験までに半年かける場合だと、前半3か月でテキストの内容を理解する必要があります。仮に1,200ページのテキストだと、1か月で400ページ、30日で割ると毎日13ページ~進まなければいけません。毎日、前日の復習+当日の学習とセットで行うことで理解と記憶を繰り返します。

しかし、あまりにも余裕のない日程でスケジュールを立ててしまうと、勉強予定の消化のために理解しないままに進んでしまうことになります。毎週1日はその週の勉強した分や、自分にとって理解が難しかったポイントの強化に充てられるようにスケジューリングしましょう。

後半は問題を解きながら知識の定着を図る

後半は、できれば教科書と同じシリーズの問題集を手に入れて、何周か繰り返して解いていきましょう。同じシリーズであれば、テキストと項目が準拠しているため見直しがしやすいためです。

理解が薄いと感じる部分はテキストに戻り、情報を整理します。実際に問題を解いてテキストで復習することで、知識の定着を図りましょう。

総仕上げは過去問題・予想問題にチャレンジ

最後は、予想問題集を入手して多くの問題に触れていきましょう。予想問題集は、試験の3~4か月前くらいから発売されます。苦手分野については、最後までテキストを振り返って勉強し、場合によっては特定分野のテキストを購入するなどして知識を深めます。

社労士試験に向けた知識をしっかり仕上げ、自信をもって本試験に挑めるように仕上げていきましょう。

社労士試験を独学で挑戦するコツ

落ち着いて勉強を積み重ねる

独学で社労士試験を目指すには落ち着いて勉強を積み重ねることが重要です。そのためには1年間で無理に合格水準まで到達しようとせず、一定の余裕をもって着実に合格を狙うのがポイントです。

「絶対に1年で合格しよう!」という気持ちで勉強を進めてしまうと、不安な気持ちや焦りに心が奪われ、勉強に集中できません。集中できずにただ机に向かっているだけでは、「勉強したつもり」になっているだけで、何も定着していないリスクさえ生じます。結局、確保した勉強時間が無駄になってしまいます。
このような状況に陥っても、独学では周りに気づいてもらえない可能性が高いでしょう。

したがって、確保した勉強時間は集中して学習することが重要ですし、集中して勉強できるように心にゆとりをもつことがポイントとなります。学習効果を高めて着実に合格水準に達するために、最初から独学期間を2年以上を目安に設定し、確実な成果を求めるのがおすすめです。

睡眠時間を削らない

仕事と勉強の両立を目指すのなら、勉強時間を捻出するために睡眠時間を減らすのは良くありません。なぜなら、睡眠で疲労を回復させることはとても大切だからです。勉強時間の確保を優先するあまり、睡眠を疎かにしてしまうと、結果的に勉強にも仕事にも悪影響が生じるからです。
そして、忘れてならないのは、睡眠は「記憶を固定させる」という重要な働きがあります。勉強したことをしっかり脳に記憶させるには、良質な睡眠をしっかり取ることが必要です。

独学の社労士試験合格におすすめのテキスト・問題集

おすすめのテキスト

TAC みんなが欲しかった! 社労士の教科書 2023年度

資格学校TACが、初学者・独学者用に開発したシリーズ。Amazonではトップの売上を誇ります。

2023年版 社労士 合格のトリセツ 基本テキスト 2023年版 社労士合格のトリセツシリーズ

「みんなが欲しかった! 社労士の教科書 2023年度」が「難しい」と感じた場合にはこちらから。わかりやすさを追求しイラストや図表を多用することで、視覚的に学習できるようになっています。

ごうかく社労士基本テキスト〈2023年版〉

社労士試験の過去問を詳細に分析し、頻出事項を完全網羅した定番基本テキストです。制度趣旨が図表でよくわかるようになっており、社会保険の適用拡大など新論点にも対応しています。さらに、法律ごとに出題傾向を踏まえた学習のポイントも示してあるため、合格への実力アップにおすすめです。

おすすめの問題集

TAC みんなが欲しかった! 社労士の問題集 2023年度

この問題集の特徴は、択一式問題、選択式問題、それぞれにつき、本試験と同じ形式で演習をすることができる点です。本試験と同じ形式で演習をすることによって、より実践的な力を身につけることができます。

2023年版 社労士 合格のトリセツ 基本問題集

こちらのテキストは、一問一答形式なので知識が定着しやすく、効率的に学習することが可能です。また、問題の解説には、基本テキストの対応ページを記載しているので、間違えた問題や、再確認したいときにも、すぐに内容が確認できます。基本テキストと基本問題集を繰り返し使用することで、合格に必要な知識の定着が図れます。

模擬試験などを活用する

社労士試験では、厳しい制限時間の中で、かなりの数の問題数をクリアしなければいけません。また、社労士の試験の難しさとして科目ごとに合格基準点が設けられているので基準に満たしていない科目が一つでもあれば不合格となります。そのため、自分の苦手な科目を把握することが重要です。

したがって、普段自分で漫然と勉強をするのではなく、模擬試験などの機会を利用して、試験の戦略を作っておくのがポイントです。

つまづいたところにこだわり過ぎない

独学で勉強をしていると、理解できない箇所にぶつかることがあります。しかし、自分の力だけでクリアしようとすると、かなりの時間を要することもあるでしょう。

そんなときには、資格スクールや予備校、あるいはSNSなどを活用して、知識がある人のアドバイスを受けるようにしてください。自分だけの世界で勉強を重ねていると、時間の流れが掴めなくなります。他の人の視点からアドバイスをもらうことによって、効率的に勉強を進めましょう。

お金をかけることに躊躇しすぎない

独学で社労士試験に挑戦する場合には、参考書やテキスト代以外にはコストがかかりません。これは独学のメリットではありますが、その分、コストをかけないことにこだわり過ぎると効率性を失いかねないというリスクにもご注意ください。

「時間」と「お金」を天秤にかけ、どちらが大切かを見極めましょう。なぜなら、仕事と独学での勉強を両立するためには「勉強時間の確保」が必須だからです。

例えば、独学なら1,000時間必要ですが、資格予備校や通信スクールの実績あるノウハウを利用すれば、500時間で済む可能性があります。資格予備校には社会保険労務士試験に短期間で効率良く合格させるオリジナルのノウハウと実績があるので、適宜これを利用するのは悪くない選択です。

目的は「社会保険労務士試験に合格すること」です。そのために、利用できるものはすべて利用しましょう。独学と資格スクールの良いところを抽出すれば合格はぐっと近づくはずです。

独学で勉強するのに向いている人

どうしても独学で学習するのも向き不向きがあります。ここまでご紹介した内容も踏まえ、どのような人が独学で勉強するのに向いているのか、見ていきましょう。

とにかくコストを抑えたい人

働いていた会社を辞めて社労士試験の勉強に専念するという方もいらっしゃいますが、そのような人は給料をもらえなくなってしまうため、なるべくお金がかからない方法で合格を目指したいでしょう。そのような場合は、最も費用のかからない独学が適しています。

計画性がある人

ご紹介したように、独学ではどのようなスケジュールで勉強するかが合否のカギになり得ます。ゴールから逆算して今どんな勉強をすべきなのか、計画性を持って行動できる人には、独学が向いていると言えるでしょう。また、計画通りに行かなくても柔軟に修正してゴールに迎える人であれば、なおさら適性があるといえます。

社労士事務所などでの実務経験がある人

社労士事務所や社労士法人、企業の労務職などでの業務経験がある場合、社労士は持っていなくてもある程度の知識は仕事の中で身に付いているでしょう。その場合、これまで習得していない知識のインプット実務を通じて得た知識の確認を進めた上で答練を繰り返せば、独学でも合格できる可能性は十分にあるでしょう。

独学以外の方法で受験し不合格だった人

予備校や通信講座などで勉強を進めたものの不合格だった人についても、次の試験は独学で目指してもよいでしょう。
その理由として、通信講座などを再度受講しても法改正の部分以外は重複した内容になってしまうこと、また独学の方がご自身にマッチしている可能性があることが挙げられます。
年齢や受験回数の制限が無い試験ですので、様々な方法から合う勉強方法を見つけ出していくのがよいでしょう。

まとめ

今回は、社労士試験への独学での挑戦について解説しました。
独学以外の方法を利用する場合と比較したメリット・デメリットについてもご紹介しましたので、向いていると思える方法で勉強を進めていくのがよいでしょう。

社労士は、取得しておくと様々なキャリアに活かすことができるため、転職活動でも有利になりやすいでしょう。社労士事務所や事業会社の労務職など、社労士を活かした仕事にご興味がある方は、ぜひ士業・管理部門特化の転職エージェントである当社ヒュープロにご相談ください!

そのファーストステップとして、効率よく社労士試験への合格を目指していきましょう!

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINE編集部の川辺です。転職エージェントとして多くのご登録者様からご相談をいただく際に伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェントである、「ヒュープロ」をご活用ください!
カテゴリ:資格試験

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