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監査法人からの転職 / 監査法人への転職についてわかりやすく解説します!

HUPRO 編集部
監査法人からの転職 / 監査法人への転職についてわかりやすく解説します!

監査法人は、一般の会社ではしていないことを業務として行なうことができるので、珍しい経験ができる職場です。そのため、監査法人に転職したいという人も数多くいます。一方で監査法人からの転職を考える人もいます。この記事では、そんな監査法人からの転職 / 監査法人への転職についてわかりやすく解説します。

監査法人が置かれている状況

2021年現在、これまで監査法人は売り手市場ということもあって、公認会計士試験を突破した人の多くが監査法人への就職を希望していました。それに伴って、監査法人への転職者も増加傾向にありました。しかし、新型コロナウイルスの影響もあって、少なくとも今後数年間は、監査法人への就職希望者、転職者は減少傾向に向かうと考えられます。こうした考えは、過去の経験則から来るものです。

2008年以降、監査法人は、リーマンショック後の景気悪化で新規上場企業が急減し、企業から受け取る報酬の引き下げ要請もあって収益が悪化していました。その後、アベノミクスなどの景気対策のおかげもあって、新規上場企業も増え、上場企業から得られる報酬も安定してきていました。しかし、今般の新型コロナウイルスによる世界的な景気後退は、確実に監査法人業界にも負の影響を与えると予想されます。

加えて、2014年には、AI(人工知能)が既存の職業をどのように変えるかを論じたイギリス・オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授の論文の中で、94%の確率で10年後になくなるとされた専門職の1つが会計監査の仕事であるとされました。

監査法人の主な収益源は監査業務です。監査業務の一つのプロセスである監査手続きは、債権債務の残高確認や再計算、棚卸しの立ち会いなどの「定型業務」と、経営者とのコミュニケーションやリスクの特定などの「非定型業務」に大きく分けることができますが、定型業務については、どんどんAIの活用が進むと考え得られており、ドローンを活用して棚卸しを確認するなどの事例は出てきています。

監査業務では、請求書や注文書、入金データなどの監査証拠を集め、その証拠に基づいて会計士が心証を得て、問題があるかどうかを判断しています。ただし、時間的にも人員的にも制約があり、すべての監査証拠に目を通すことは不可能です。そこで、実際には「試査」という形でサンプルを取り出して公認会計士が一部の監査証拠をチェックしています。

したがって、今後、監査法人において、定型的な業務は人から機械などへ置き換えられていくと考えられます。ということは、今後、監査法人においては、AIに置き換えられる業務ほど早く無くなっていくと考えることができます。こうした影響もあって、監査法人で働きたいという人の数は減少傾向にあります。

監査法人の業務内容

監査法人は、数多くの会社や学校法人等に対して監査を実施しており、監査の契約種類別にも金融商品取引法監査及び会社法監査を中心に、学校法人監査や労働組合監査はもとより、その他の法定監査ならびに任意監査まで幅広く監査証明業務を提供しています。

監査証明業務に加えて、IFRS導入支援サービスやIPO(株式公開)支援サービスをはじめ不正対策・係争サポートサービス、財務会計アドバイザリーサービス、気候変動・サステナビリティサービスなど幅広いアドバイザリーサービスを行っており、金融・公会計、医療福祉、不動産等を含む様々な分野において業種に即したアドバイザリーサービスを提供しています。

監査法人からの転職

監査法人は、非常に激務であるということもあって、比較的離職率の高い職場です。監査法人で働いていた実績は、転職市場においても高く評価されるということもあって、監査法人から引き抜かれるかたちで様々な業界へ転職していきます。

監査法人は監査を主な業務としており、大手企業の監査のほとんどは大手の監査法人が担っているので、監査法人から転職してしまうと監査に携わる機会はほとんどなくなります。しかし、その専門性の高さを生かして、様々な業界で活躍することが可能です。

監査法人で働く公認会計士の場合、5年程度監査法人で働いて監査業務を経験したのち、その後は非監査業務を行なう監査法人のグループ会社に転職することが多いです。大手の監査法人には、各種アドバイザリーサービスを提供するグループ企業があるので、転職後、その専門性を生かして非監査業務を提供することに従事している人が数多くいます。

監査法人では、アドバイザリーサービスとして、IFRS導入支援サービスやIPO(株式公開)支援サービスをはじめ不正対策・係争サポートサービス、財務会計アドバイザリーサービス、気候変動・サステナビリティサービスなど幅広いアドバイザリーサービスを行っているので、こうした非監査業務に携わるグループ企業に転職していく人が多いです。そうすることで、自身の専門性を高めることもでき、キャリアップにつなげることができるからです。

公認会計士として監査法人で働いている人のなかで、早期に転職を考える人はその激務に耐えられない場合がほとんどです。大手の監査法人は都会の一等地にオフィスを構えていますが、そのオフィス内で実際に業務をするということはあまり多くありません。むしろ、クライアントの企業に訪問し、実際にそこで作業をしたり、地方のグループ企業などに出向いて監査業務などを行なう機会が多いです。そのため、出張も多く、休みもあまり取れないことから、転職を考えるようになります。

他にも、監査業務で様々な会社のビジネスに実際に触れてみて、興味のある業界に転職するという人も少なくありません。監査業務を通じて、様々な経営者と実際に話をする機会がたくさんありますし、そこで素晴らしいビジネスモデルを目にすることもたくさんあります。

新しいビジネスを始めようとしている優秀な経営者に出会うこともあります。そうした経験によって、監査業務ではなく、実際に自分で起業したり、引き抜きにあったりして監査法人から転職していきます。監査法人の中でも、監査報告書にサインする「パートナー」と呼ばれる幹部に上り詰めるのはほんの一握りだけで、入社10年以内に約9割が退職してコンサルティング会社や事業会社などに転職しているが、景気が悪化して採用が絞られると転職がしにくくなるので注意が必要です。

監査法人への転職

監査法人は、大手・中小ともに採用を活発に行っています。

公認会計士法第一条において、公認会計士は「国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする」と定められています。多くの公認会計士が所属する監査法人は、企業等の事業環境が飛躍的にグローバル化、デジタル化し、こうした変化への対応が重要な経営課題となるなかで、グローバル化、デジタル化に乗り遅れることなく、むしろ先駆的な取組みを通じて信頼を高めることによって、企業等の公正な事業活動に信用を付与し、投資家及び債権者の保護等を図り、そして国民経済の健全な発展に寄与することが求められています。

昨今、監査法人には監査証明業務だけではなく、非監査業務という監査業務以外のサービスの提供がも求められるようになっています。監査法人は、これらの社会からの要請に応えるために、公認会計士のような監査の専門家だけではなく、公認会計士の資格を持っていなくとも、何らかの分野の専門家を積極的に採用しようとしています。

たとえば、昨今の企業は単に利益の獲得を目指すだけではなく、環境・社会・ガバナンスに対する取り組みが必要となっています。環境に配慮した活動し、どのような活動をしたのかは、ステークホルダーにもきちんと説明しなければなりません。こうしたアカウンタビリティを果たすことも企業の重要な役割の一つとなっています。

しかし、ステークホルダーに対してアカウンタビリティを果たそうと思っても、その専門家を雇っているわけではない企業は、利用できるリソースが限られています。そのため、企業外部にいるその分野を専門とする専門家にコンサルして、ステークホルダーの様々なニーズに応えるようにしています。そんなときに頼られる存在となるのが監査法人です。したがって、監査法人は、こうしたサービスを提供できるようにするために、様々な分野の専門家を採用しようとしているわけです。

そのため、監査法人にへ転職を考えている場合には、特定の分野でコンサルティングサービスを提供できるようにするだけの実績を備えていなければなりません。この場合、監査業務を提供するわけではないので、必ずしも公認会計士の資格を有している必要はありません。もちろん、監査法人への転職にあたっては公認会計士の資格を有していた方が有利ではありますが、転職の必須要件というわけではありません。

たとえば、MBAのような学位を持っていたり、経営学修士や経営学博士の学位を持っているなど、専門性の高さをアピールできる資格があれば、転職活動は有利に運ぶことができるはずです。弁護士や弁理士、不動産鑑定士、税理士のような資格も、自身の専門性の高さをアピールすることができます。つまり、監査法人への転職にあたっては、何らかの特定の分野において突出して高い専門性、もしくは過去の実績が必要になります。

監査法人へ転職を目指す人に求められているのは高い専門性です。監査法人は、多くの規模の大きい会社と関わっています。したがって、監査法人のアドバイザリーサービスで求められるのは、自社では賄いきれない専門性の高い業務です。そういった難しいテーマについて、監査法人で働く他の人々と協力しながらチームで課題を解決していくことが求められます。そのための中途採用ということになるので、監査法人への転職を考えている人は、高い専門性をアピールできるように実績を積んでおく必要があります。

まとめ: 慎重に考えて転職しよう!

監査法人へ転職する場合でも、監査法人でから転職する場合でも、自身のキャリアをきちんと考えてから転職することが大切です。キャリアを考えずに転職してしまうと、自分の能力を十分に活かすことができなくなってしまいます。監査法人へ転職する場合には、自身の専門性の高さを活かすことができる業務ができるかをまずは考えなければなりません。

監査法人から転職する場合は、監査業務をすることは基本的になくなるということを理解しておかなければなりません。どちらの場合でもあっても、事前にキャリアコンサルタントなどに相談して、慎重に自身のキャリアについて考えから転職をすることが大切です。

この記事を書いたライター

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