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なぜ税理士には2年の実務経験が必要なのか?実務経験なしから税理士として活躍する方法!

HUPRO 編集部
なぜ税理士には2年の実務経験が必要なのか?実務経験なしから税理士として活躍する方法!

税理士として登録するためには2年間の実務経験が必要です。税理士試験を突破しただけでは税理士として登録することはできません。それでは、税理士試験突破後、どのようにして実務経験を積んでいけば良いでしょうか?この記事では、実務経験なしから税理士として活躍するために大切なことについて説明をしていきます。

税理士は実務経験がないとなれない?

税理士法では、税理士となる資格を有する者のうち、税理士試験に合格した者・免除された者については、2年以上の実務経験が必要であるとされています(税理士法第3条)。税理士試験に合格後、2年間の実務経験を経て、税理士に登録することができるというわけです。

この条件に該当しないのは、国税従事者における免除により税理士になった人だけです。国税従事者における免除の認定を受けることができるのは、10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者です。この場合は税法に属する科目が免除されます。さらに、23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除されます。

この両者を満たすと、実務経験なしで税理士として登録することができます。国税従事者が実務経験を免除されるのは、税理士登録に必要な2年の実務経験を免除を申請する時点で既に積んでいると考えられるからです。

したがって、通常は、税理士として登録するためには、誰でも税理士試験に合格したのち実務経験を積む必要があります。

それでは、実務経験のない税理士試験合格者はどのように実務経験を積んでいけば良いでしょうか?この記事では、税理士として活躍するための実務経験の積み方について丁寧に解説していきます。

税理士法における実務経験とは?

税理士法においては、実務経験とは「租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるもの」と規定されています。したがって、この規定に該当する実務経験でなければ、将来税理士として活躍することはできません。

それでは、より具体的にどのようなことを実務経験と呼ぶのでしょうか?規定によれば、実務経験に該当するか否かは、登録申請書及び在職証明書等が提出された後、税理士会の調査(面接等)の段階で個別に判断することになっています。

実務経験とは?

実務経験に該当する事務の内容としては、租税に関する事務所又は会計に関する事務で政令で定めるものと規定されています。「租税に関する事務」とは、税務官公署における事務のほか、その他の官公署及び会社等における税務に関する事務をいいます。

一方、会計に関する事務とは、貸借対照表勘定及び損益勘定を設けて計理する会計に関する事務(特別な判断を要しない機械的事務を除く)と定められており(税理士法施行令第1条の3)、簿記の原則にしたがって、会計帳簿等を記録し、その会計記録に基づいて決算を行い、財務諸表等を作成する過程において簿記会計に関する知識を必要とする事務と規定されています。

財務諸表等を作成する過程において簿記会計に関する知識を必要とする事務とは、より具体的に言えば以下のような事務のことを言います。

①簿記上の取引について、簿記の原則に従い取引仕訳を行う事務、
②仕訳帳等から各勘定への転記事務、
③元帳を整理し、日計表又は月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務、
④決算手続きに関する事務、
⑤財務諸表の作成に関する事務、
⑥帳簿組織を立案し、又は原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検する事務

と定義されています。

ここで、特別な判断を要しない機械的事務とは、簿記会計に関する知識がなくてもできる単純な作業のことをいい、電子計算機を使用して行う単純な入力作業のことを言います。これらの作業は実務経験には該当しないので注意が必要です。

会計事務所などの経理実務に携わっていても、簿記会計の知識がなくてもできるような単純な事務や、電卓を使用して行う単純な入出力の事務では、実務経験にはカウントされません。また、原則として対価の伴わない従事は、実務として認められていません。

実務経験期間の計算方法

実務の期間は、試験合格又は試験免除決定の前でも後でもかまいません。
①実務経験期間が通算して2年以上とは、正規の雇用関係があり、原則として通常の勤務時間内(時間外勤務は含まない)における税務又は会計に関する事務に従事していた期間を暦にしたがって計算し、2年以上になる場合です。

②従事した事務に実務経験に該当する事務以外のものが含まれている場合には、実務経験に該当する事務に従事した時間を抽出して積み上げ計算を行います。

③一箇所での勤務で実務経験が充足しない場合には、複数箇所での勤務期間を合算して実務経験とすることが可能です。

実務経験を積むためにはどうしたら良い?

税理士試験に合格後、税理士として登録する場合には、2年間の実務経験が必要です。2年間の実務経験とは、「租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるもの」と規定されているので、税理士事務所や会計事務所など、税務や会計に携わる仕事ができるところでフルタイムで働いて実務経験を積んでいくことになります。

税理士事務所や会計事務所では、現役の公認会計士や税理士、経験豊富な事務員の指導を受けながら、今後税理士として行わなければならない実際の業務を最も間近で見て学ぶことができます。

ただし、フルタイムで働く従業員でなくとも、実務経験を積むことは可能です

たとえば、会社で税務又は会計に関する事務にパート(アルバイト)として従事している期間を実務経験として参入することが可能です。務先が税理士事務所・会計事務所であること以外にも、税務署で勤務経験がある場合や、企業の経理部で税務書類を作成していた場合でも実務経験として含むことができます。

フルタイムの従業員でない場合には、税務又は会計に関する事務に従事していた時間を積上げ計算をする必要があるため、追加的に書類を税理士に登録する際に提出する必要があります。

①残業など正規の労働時間以外はカウントされないこと
②勤務時間に実務以外の業務が含まれている場合には、実務経験に該当する業務に従事した時間を抽出し、積み上げ計算を行う必要があること
③複数の事業所における実務経験の期間を足し合わせる場合は全ての勤務先に在籍証明を取る必要があること

などには、留意しておく必要があります。

時間外勤務や休日勤務の時間を実務経験に含めることは認められていません。これは、2年に満たない従事期間で2年相当の時間が積み上がってしまうという矛盾が生ずる可能性を防ぐためです。

勤務時間の積上げには、以下のような制限が設けられています。

①1日の従事時間は7時間を限度とする
②1月の従事時間は154時間を限度とする
③2年相当の従事期間は3,696時間(154時間×24月) (その従事が時間外勤務ではなかった場合でも、上記の限度を超える従事時間については、積み上げ対象から除かれることになります。)

実務経験を積めなくなる?

2020年現在、税理士の登録に必要となる2年間の実務経験を積むことは容易ではなくなっています。その理由は、特に財務諸表等を作成する過程において簿記会計に関する知識を必要とする事務が、自動化されてしまっているからです。

昨今では、手書きで仕訳をするということはほとんどなくなっています。この傾向は、大きな会社であればあるほど顕著です。ほとんどの会計実務が会計ソフトを用いたり、社内の会計システムを使って行われていることから、税理士として登録する際に必要となる実務経験を積むことが難しくなりつつあります。

しかも、この傾向は今後も続くものと考えられています。なぜなら、それは主に記帳業務について、AIが誕生しているからです。AIの誕生によって、記帳業務を行っている人のほとんどの業務は取って代わられると考えられています。これは遠い未来の話ではなく、近い未来の話です。自動でAIが取引の仕訳を行い、転記を行って試算表を作成し、財務諸表等を作成することができるようになっています。

仕訳などにAIが活用されるようになれば、そもそも記帳業務を人間がする必要はなくなります。もっとAIが苦手としている個別の状況に最適な解を導き出すという人間にしかできない業務をできるようにしておくことが大切です。

より良い実務経験を積むために

税理士は、あくまで自分の力で実務経験を積む税理士事務所・会計事務所を探し、2年間の実務を積んで、所属している組織の所長の証明印をもらわなければなりません。登録する際の申請書類には、事務所長が書類を作成し捺印した在職証明が無ければ税理士登録することができないので、よりよい職場で経験を積んでおかなければなりません。

実務経験は、税理士に登録するための条件ではあるものの、将来的に税理士として活躍するために必要なスキルを身につけることが目的となります。したがって、会計ソフトや会計システムを使ったルーティンワークではなく、非ルーティンワークを経験することが大切です。

近年では、実務経験を積むことも大変難しい状況が続いています。税理士試験に合格したばかりの人が最初の業務は、記帳代行業務といった比較的簡単で誰でもできる業務です。こうした業務は、AIが最も得意とするものでもあります。AIは機械ですから、人間と違って疲れませんし、定められたルールを適用するだけなので間違えることもほとんどありません。

人間は疲れるので休まなければなりませんし、ルールの適用を間違えてしまう可能性もあります。したがって、新人は絶対にAIにはかなわないということができます。それでは、税理士として登録するために、どのような点について気をつけて実務経験を積むのが良いと考えられるでしょうか?

まず、より良い実務経験を積むためには、できるだけ大きな税理士事務所や会計事務所を選択することが大切です。そうした税理士事務所や会計事務所は多くの顧客を抱えているので、多くの公認会計士や税理士を抱えています。

したがって、税理士としての素養を磨くための環境が整っていると言えます。大手の税理士事務所や会計事務所には、様々なクライアントから、多種多様な仕事の依頼があります。そのため、将来的に税理士として活躍するための素地を整えることができます。

だから、できるだけ大きな税理士事務所や会計事務所で実務経験を積むことが大切です。**経験豊富な公認会計士や税理士がいれば、その分だけ充実した指導を受けられる可能性があるというメリットもあります。

1人の人に依存せずに済むので、様々な仕事の仕方を学ぶことができることもメリットです。実務経験を積む目的は、将来良い税理士になるためですから、単に任された仕事を実務経験としてこなすことを目指すのではなく、積極的に自ら業務を引き受けていくことが大切です。

さらに、税理士試験合格後の実務経験の期間は、税理士として仕事をするために必要となるスキルを身につけることだけが目的ではありません。

たとえば、無事に2年間の実務経験を積んで、税理士として登録を行い、税理士事務所を開業したとしても、すぐに仕事が舞い込んでくるわけではありません。一般に、税理士としての仕事は、クライアントとの信頼関係によって成り立つものですから、信頼関係がないところに仕事が舞い込んでくるということはありません。

したがって、税理士の実務経験は、同じ税理士同士のつながりを作ると同時に、働いている期間にできたクライアントとのつながりを作るという意味もあります。

まとめ

2年間という時間をかけて、税理士事務所や会計事務所の先輩である従業員の働きぶりをみながら、クライアントとの距離の近づけ方を確認することができます。税理士登録上の規定を満たすために実務を経験するだけでは意味がありません。

将来、税理士として登録をしたときのことを考えながら、実務に取り組まなければなりません。実務経験を積むことによって、税理士事務所を開業後、スムーズに仕事をスタートすることができるようになるというわけです。

会計事務所や税理士事務所では、様々なバックグラウンドを持ち、年齢を重ねた人が働いています。そのような環境のなかで税理士として生きていくことは大変です。そのような環境のなかで、本当に自分が税理士として働くことに意義を感じることができるか、それを試す場としても実務経験期間は存在しています

単に経験を積むためだけに税理士事務所や会計事務所に所属するのではなく、自ら目的意識を持って実務経験を積んでいくことが、将来税理士として活躍するための近道です。

カテゴリ:キャリア

この記事を書いたライター

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