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会計事務所で働く上で日商簿記1級は必要か?わかりやすく解説!

HUPRO 編集部
会計事務所で働く上で日商簿記1級は必要か?わかりやすく解説!

会計事務所で働くなら日商簿記試験1級に合格していないとダメなのでは?と多くの人が思っています。しかし、結論から言えば、会計事務所で働くのに日商簿記1級の知識は必要ありません。2級程度の知識で事足ります。今回はなぜ会計事務所で働くのに日商簿記2程度の知識で済むのか、その理由を解説します。

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会計事務所の主な業務を考える

会計事務所では、主にどのような業務が行われているのでしょうか?会計事務所が主に行っているのは監査業務ではありません。現在では、PCが普及して久しい時代となり、便利な会計ソフトが数多く市場に出回っています。弥生会計などはその代表です。こうした会計ソフトの簿記上の取引に該当する取引を入力すれば、後はソフトが自動的に仕訳を行い、集計(転記)をしてくれます。

また、記帳代行を毎月行い、決算期が来ると、一定の会計期間を締めくくる決算手続きが行われますが、この手続も会計ソフトを活用すれば比較的簡単に行うことができます。こうした一連の入力作業は、一般に「記帳代行業務」と呼ばれるもので、会計事務所では、この業務が主な収入源となっています

日商簿記1級の試験レベル

日商簿記試験1級は、「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル」の試験です。

日商簿記1級は、3級、2級と比べると学習範囲がとても広いうえ、難易度は非常に高く、いわゆる難関資格に分類される資格試験といえます。日商簿記試験1級の合格率は、毎回およそ10%程度で、合格者数に換算すれば1,000名程度となります。3級、2級の学習を進めてきた方が受験した中での約10%ですから、稀少性が高く、極めて価値の高い資格であることがわかります。

日商簿記1級は合格すると税理士試験の受験資格が得られる程度の知識を身につけるためのものですから、一般的には、会計事務所で働くならこのレベルの知識が必要なのではと考える人も少なくありません。しかし、会計事務所で働いていくうえでは、日商簿記試験1級程度の知識がなければ仕訳ができないということはほとんどありません

もちろん、日商簿記試験1級は、誰でも合格できるような試験ではありませんから、会計事務所でそこで学んだ知識を活かせる場面は数多くあります。しかし、日商簿記試験1級程度の知識がなければ業務ができないかと言われればそのようなことはありません。日商簿記試験1級では、なぜその会計基準やルールが当てはまるのか、その背景を理解することが重要となります。

日商簿記試験1級は、学問的な要素も持ち合わせているので丸暗記やパターン学習はほとんど通用しません。日商簿記試験1級の内容を理解するということは、ビジネス・シーンにおいて直面した問題を解決するための応用力や実践力を身につけるということです。しかし、こうした知識が実際に会計事務所で必要とされるかと言えば、そうではありません。

日商簿記1級の試験レベル

近年では、会計事務所で働く場合であっても、記帳代行業務において自らの手で仕訳を仕訳帳に書いて、転記をして試算表を作成してという作業をするわけではありません。会計ソフトを使用すれば、簡単に仕訳を行うことができるようになっています。したがって、会計事務所で業務をするにあたっては、高度な会計判断が求められることもほとんどなくなっています。

会計ソフトに基本的な仕訳さえできれば、あとは自動的にソフトが転記をして試算表まで作成してくれます。したがって、日商簿記試験1級で求められるほどの高度な知識がなくとも業務を行うことができてしまいます。だから、公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門的な位置づけにある日商簿記試験1級ほどの知識は、会計事務所で働く上では必須というわけではありません。

日商簿記試験2級の試験レベル

日商簿記試験1級とは異なり、日商簿記試験2級は『現在のビジネスパーソンが仕事で使う実務レベルの簿記』を習得することを目的とした資格試験です。「高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル」が日商簿記試験2級のレベルです。

2018年度に大幅な試験範囲の改定が終了して、より現代の会計実務に合う試験となりました。日商簿記試験2級からは、3級で理解した簿記一巡の手続きを土台としながらも、中規模な株式会社の会計処理を対象とする商業簿記を学ぶことになります。

昨今のグループ企業としての財務状況、国際情勢の変化に伴い、国内企業合併や外国企業とのM&A、資本提携などが進められていますが、改定を経て日商簿記試験2級はこれに対応したものとなりました。さらに、日商簿記試験2級では、工業簿記の基礎が試験範囲となりますから、製造業における原価計算の基本的な仕組みも学ぶことになります。

したがって、会計事務所で働くのであれば、2級程度の知識があり、会計ソフトの手を借りれば、会計事務所で行われている記帳代行業務についてはほとんどできてしまうというわけです。だから、会計事務所で働こうと思ったら、日商簿記試験1級程度の知識が求められる機会はほとんどありません。実務として仕訳をするうえでは、日商簿記試験2級程度の知識と会計ソフトのサポートがあれば、ほとんど困らずに業務を行うことができてしまうというわけです。

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この記事を書いたライター

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