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雇用保険追加給付について詳しく解説します!

社会保険労務士 蓑田真吾
雇用保険追加給付について詳しく解説します!

国が行う統計調査には基幹統計調査という調査があります。これは、最も重要な統計調査と位置付けられている統計であり、統計法で指定された統計調査です。内訳は、労働力調査や毎月勤労統計調査などです。中でも、毎月勤労統計調査は、失業者や育児休業者、被災労働者への給付の基となる重要な統計であり、労働者等への生活へ与える影響が大きい調査と言えでしょう。

そこで、厚生労働省が所管する毎月勤労統計調査において、長年に渡り不適切な調査が行われていることがわかりました。そこで、再発防止に努めると同時に、一定の支給を受けた方々に対して不足支給がある場合、追加給付を行うことが決定しています。今回は雇用保険の追加給付にフォーカスをあて、解説していきます。

雇用保険追加給付の対象

雇用保険追加給付の対象となるのは以下の手当です。(一例)

・基本手当(いわゆる失業保険など)
・再就職手当
・高年齢雇用継続給付
・育児休業給付

上記の手当てを平成16年8月以降に受給された方のうち、一定の条件を満たす方が対象となります。

追加のお支払いの対象となるのは、「基本手当」、「再就職手当」、「高年齢雇用継続給付」、「育児休業給付」などの雇用保険給付を、平成16年8月以降に受給された方のうち、一定の条件を満たす方です。また、厚生労働省のホームページに不足分の計算のロジックや概算での支給額が計算できるツールも掲載されています。

給付全体での「1人1手当当たりの平均額」は令和元年10月末現在、1,300円程度です。尚、主な給付ごとの平均額は、以下の通りです。

参考:毎月勤労統計調査に係る雇用保険の追加給付に関するQ&A|厚生労働省

・ 基本手当(付随する延長給付等を含む。)  約1,380円
・ 高年齢求職者給付金  約420円
・ 特例一時金  約490円
・ 教育訓練支援給付金  約1,230円
・ 高年齢雇用継続基本給付金  約10,660円
・ 育児休業給付  約3,210円
・ 介護休業給付  約1,370円

あくまで平均となるために、実際の支給額が上記の額を上回ることも下回ることもあります。そして、考え方としては、過去に支給した分との「不足差額」がある場合に支給対象となります。そして、過去に受給していたことがあっても場合によっては対象とならないこともあるということです。

また、以下の給付は対象とならない給付です。

・技能習得手当(通所手当、受講手当)、寄宿手当
・移転費、求職活動支援費(広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役)
・教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金
・日雇求職者給付金

雇用保険は幅広い給付が整備されています。失業中の収入を補填する基本手当を筆頭に、育児休業中の収入を補填する育児休業給付金などです。自身がどの手当を受給していたのか不明瞭なこともあるでしょう。その場合は、お問合せ可能な専用窓口が設けられています。

1.雇用保険追加給付の対象

自身が対象か否かの確認方法は?

対象者(対象となる可能性のある方を含む)に対しては、厚生労働省で把握している住所宛に、2019年10月末以降順次お知らせをお送りすることと発表されています。よって、住所が変わっている方で、前述の手当てを受給していた(受給していた可能性がある)場合は専用窓口へお問合せしてみる価値はあると言えます。

尚、お知らせは追加支給がある方(対象となる可能性のある方を含む)に対して行われます。よって、対象とならない方に対しては、お知らせはありません。また、住所が変更となり、その後雇用保険に加入していない場合は「郵送できていない」場合もあり得ます。

また、お知らせを紛失してしまった場合は専用窓口へ問い合わせをし、再送の手続きがとられるとこととなります。

追加給付の流れとリスク管理

お知らせの中に封入されている口座情報や氏名、生年月日、性別、受給時期等の情報が間違いないか確認をします。

また、今回の追加給付は、本来、当初からお支払いすべきであったことから返送期限は特段設けられていません。しかし、返送を受け付けた後にハローワークで支払い額や口座の確認などがあること、返送自体を失念してしまう可能性もあるため、早めに返送することが望ましいと言えます。

尚、雇用保険の失業等給付は、雇用保険法第12条により非課税となっています。控除対象配偶者に該当するか否かの合計所得金額に含める必要はありません。しかし、健康保険などの社会保険では、取り扱いが異なります。

健康保険・厚生年金において、被扶養者となるためには、被扶養者の認定がされた日以降の年間の収入見込み額が130万円未満であることが必要です。今回の追加給付は、あくまで過去分の支給が現在生じたものであり、過去の被扶養者認定に影響を与えるものではありません。

また、追加給付を受給したことにより、年金額が減額されることもありません。
そして、このような追加給付を逆手に取った詐欺(還付金詐欺)が起こっている点にも注意しなければなりません。もし疑わしい場合は、口座情報などの個人情報を郵送する前に専用窓口に問い合わせをして裏付けをとるなどの防衛策は必要と言えます。

なお、専用ダイアルは時間帯によっては混雑が予想されます。繋がらない場合は、朝の早時時間帯(例えば受付開始後すぐに問い合わせをする)など、時間帯を変えることなども得策です。

この記事を書いたライター

大学卒業後、一般企業を経て都内の医療機関に就職。医師、看護師をはじめ、多職種の労務管理に従事しながら一念発起し社会保険労務士の資格を取得。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等
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