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コンプライアンス違反とは?事例をもとに解説

HUPRO 編集部
コンプライアンス違反とは?事例をもとに解説

コンプライアンスは、いまや企業を存続させるための必要条件となっています。従来の企業経営のやり方では通用しない時代になっているため、誰もが知る大企業がコンプライアンス違反で摘発されることも珍しくなくなってきました。今回は、コンプライアンスについてあらためて事例を元に解説します。

コンプライアンスとは

コンプライアンス(Compliance)の英単語自体には「要求や命令への服従」といった意味がありますが、ビジネス上において「コンプライアンス」というときは、「法令遵守」のことを差します。

コンプライアンスという場合は、「法令」だけでなく、行政機関の定める規制や、企業における就業規則、さらには、社会的通念上の常識や社会規範・倫理を守ることも含まれるのが一般的です。

もともとはコーポレートガバナンス(企業統治)のひとつとして欧米の企業で発達した概念ですが、日本でも企業不祥事が相次いだことをきっかけに重要視されるようになりました。

企業経営において、法令をはじめとしたルールを守る経営を「コンプライアンス経営」といいます。
これは単に、法令や社会倫理・規範といった決まり事を守るだけでなく、コンプライアンス違反にまつわる将来的なリスクを排除するために、社内規則や業務マニュアルなどに細かく決まり事を定めたり、研修などで従業員に周知徹底するような、ガバナンスを強化する施策をおこなうことも含むものです。

コンプライアンス違反事例

それでは、何がコンプライアンス違反に該当するのでしょうか。コンプライアンス違反の具体的な事例を挙げてみましょう。

(1)電通の過労とハラスメントによる新入社員自殺

企業が従業員に対しておこなうコンプライアンス違反については、労災や職業病、過労死や雇用の差別、様々なハラスメントがあります。

中でも有名なのは2015年のクリスマスに起きた電通女性社員の自殺ではないでしょうか。同年に入社したばかりの新入社員が、毎月100時間を超える残業と、上司のパワーハラスメントに耐えかね、自ら命を絶ってしまったという事件です。

電通はもともと残業を前提とする社風もあり、過去にも過重労働による従業員の自殺を起こしています。この事件によって一気に「ブラック企業」としてのイメージがついてしまいました。

(2)大成建設と鹿島建設のリニア談合事件

企業の公正な競争を阻害するような法令違反は重いコンプライアンス違反です。例えば独占禁止法違反や贈収賄、知的財産権の心外などが該当します。

リニア談合事件は、2027年の開業を予定しているリニア中央新幹線の品川・名古屋両駅の新設工事の入札にて、事前に受注予定業者を決めるなどして競争を制限したとして、独占禁止法違反の疑いで「大成建設」の元常務と「鹿島建設」の専任部長が2019年に逮捕された事件です。

2020年6月に裁判を経て判決がなされ、「国家的プロジェクトで不当な利益を確保しようとする身勝手かつ私欲的な犯行だ」として検察側は2被告に懲役2年、両社にはそれぞれ罰金3億円を求刑しています。(9月9日に弁護側が最終弁論し、結審する予定)

(3)ガンホー「パズドラ」で景品表示法違反

企業が販売する商品やサービスについて、消費者が不利益を被るような法令違反や社会的規範の違反には、有害だったり欠陥のある商品を販売したり、虚偽広告や誇大広告を展開するといったものがあります。
いずれにしても企業の社会的な信頼を大きく損ねるものです。

ガンホーはスマートフォン向けゲームで人気の「パズル&ドラゴンズ」について、2017年に景品表示法違反をしたとして、消費者庁により課徴金5020万円の納付を命じられています。

有料ガチャで入手できるモンスターの究極進化について、全13体におこなわれるように表示していながら、実際は2体だったもので、この表記により、13日間で約3億4700万円の売上をあげていたものです。

景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制する法律です。このケースは虚偽の内容で課金を促したとして優良誤認に当たります。

(4)東芝の粉飾決算

企業の業績を偽ったり、利益供与したり、インサイダー取引をおこなうなど、投資の公正な経済活動を阻害するような行為もコンプライアンス違反です。

企業の粉飾決算で検索すると真っ先に出てくる「東芝」もそのケースに該当します。実際にはない利益を水増しし、その額は合計で2306億円にのぼりました。
経営不振の実態を隠蔽しようと、経営陣が不正会計をくりかえした結果です。証券取引等監視委員会の立入調査を受け、役員が何人も引責辞任をしています。

コンプライアンス違反をするとどうなる?最悪倒産も

2020年4月に帝国データバンクにて発表された「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2019年度)」では、2019年にはコンプライアンス違反による倒産は225件、そのうち78件が粉飾によるものと判明しています。

コンプライアンス違反をするとどうなる?最悪倒産も

出典:コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2019 年度)|帝国データバンク

コンプライアンス違反は、自社の利益を得るための不正を企業がおこなうもののように見えますが、社員の行動一つ一つの小さな積み重ねが、やがては企業を揺るがすような大問題となるのです。

企業のコンプライアンスに対する姿勢をチェックしよう

企業の不祥事は、事例にあげたような大がかりなものから、社員のいたずら心でSNSに書き込んだりしたものまで、経営に大きく影響を与える可能性があります。

一番重要なのは、経営層が、コンプライアンス違反を許さない確固たる姿勢を示すこと。今回あげたようなケースは、むしろ経営層がコンプライアンス違反についての認識が甘かったり、法令や規則を守ることをあえて無視した結果おこったことです。

これだけコンプライアンス違反が大問題になっても、違反も仕方ないといった社風があり、小手先の改善案や、対外的なポーズのみをおこなっている企業は決して少なくありません。

せっかく就職・転職した先がコンプライアンス違反をおこなっている企業だったら大変です。企業研究の際には、企業のコンプライアンスに対する取り組みもしっかりと確認しておくようにしましょう。

この記事を書いたライター

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