「ハードルレート」という言葉を知っていますか?投資評価をする際の基準の一つとして使われる言葉です。今回はハードルレートの意味とどんな数値なのかについてご紹介します。
投資の際に、ハードルレートを使って利回りの判断をしてみることができます。ハードルレートの意味と活用法について参考にして下さい。
「ハードルレート」とは、英語でhurdle rateと書き、必要利回り、投資判断における必要最低限の収益率を意味します。投資をする上での判断基準となるもので、これよりも収益率が低いと投資されないという基準です。
ハードルhurdleは障害や関門と訳されますので、投資の関門となるレートとなります。ハードルレートがどのように使われているかについて詳しく見ていきます。
投資判断の基準となるハードルレートに使う数値とはどんな数値なのでしょうか。数値の出し方も気になります。
通常、企業のハードルレートには「資本コストWACC(Weighted Average Cost of Capital)」をもとに考えることが多くなっています。「資本コスト」とは何かですが資金調達のために企業が必要なコストのことです。資本調達のために借入をする際に利息の支払いが発生したり、社債を発行したり、株式を発行したりする際の配当金のコストなどの費用です。
企業運営のために必要な資金を得るために、負債をかかえたり、資本を作ったりしますが、そのために金利や配当金を払う必要があります。これらの資金調達のためのコストを「資本コストWACC」と呼びます。それらがどのくらいになるのか、それを上回る収益があるかないかを元にハードルレートが考えられます。
資本コストWACCを考える際にキャッシュフローが上回っていることが、投資の判断基準になります。キャッシュフローが資本コストWACCより低いとリスクが大きいと判断されてしまいます。すなわち、キャッシュフローが大切に考えられます。
この「資本コストWACC」に「リスクプレミアム」を上乗せした上でのレートがハードルレートとなります。
「リスクプレミアム」とは、リスクなしでリターンが得られるものを指し、収益率がリスクフリーのレートを上回ることが必要です。リスクなしと言うことで長期国債などの利回りを考えて比較します。リスクなしの国債を買った場合の利回り以上の収益が上がらなければ、投資が難しい判断になります。
ハードルレートの計算式は下記のようになります。
計算式:資本コスト+リスクプレミアム=資本コスト+長期国債の利回り+α
この資本コストWACCを計算する方法ですが、企業を運営するための株主資本に関するコストと負債に関わるコストを時価で計算して加重平均します。
資本コストWACCの計算式は下記のように計算して%を出します。
計算式:株主資本コスト×株主資本/(有利子負債+株主資本)+負債コスト×(1-実効税率)×有利子負債/(有利子負債+株主資本)
企業の投資判断としては、「正味現在価値NPV(Net Present Value)」も使われます。その際にも資本コストWACCが活用されます。
「正味現在価値NPV」とは、投資でどれだけの利益が得られるか、将来どれだけお金が得られるかの現時点での価値を示します。
計算式は、下記のようになります。
計算式: PV(現在価値)-投資額
投資で将来得られるキャッシュフローの現在価値から投資額を引いた計算式になります。将来のキャッシュフローの数字が投資額に対して大きくなければ、投資されないでしょう。
PV(現在価値)の計算方法については次の通りです。
PV(現在価値)の計算式:将来受け取る金額 / (1 + 利率・割引率)^n年後
この割引率に資本コスト(WACC)が関係します。
投資ファンドなどでは、投資をした際のリターンを考える際に内部収益率IRR(Internal Rate of Return)でよく考えます。内部収益率IRRは、投資から得られる将来のキャッシュフローの現在価値と投資額の現在価値が同じになる際の割引率となります。
つまり、内部収益率IRRがハードルレートよりも大きい場合は、そのファンドに投資した方が良く、小さい場合は厳しくなります。正味現在価値NPVもご紹介しましたが、内部収益率IRRとともに投資ファンドの収益率を考える際に使われますが、それぞれに特徴があります。
内部収益率IRRは、利回りを見ることが中心で利益の大きさ自体があまりよくわかりません。正味現在価値NPVは、投資のお金の規模がある時に活用するのがおすすめで、それぞれに活用してみるといいでしょう。
ハードルレートを基準にして、様々な投資判断ができるようになりますので便利です。ハードルレートは、資本コストWACCをもとに投資判断基準となります。まずはハードルレートの数値の出し方を知って、いろいろと活用してみるといいでしょう。