税理士資格をとって会計事務所で数年勤務した後に、新しい仕事の可能性を求めて、事業会社へのキャリアチェンジを検討する方もいらっしゃるでしょう。今回は、税理士から事業会社へのキャリアチェンジ先として「経理部門」「税務部門」「その他部門」について詳しく解説していきます。
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税理士から事業会社にキャリアチェンジする際に選択する部門として、次の3部門が挙げられます。
1. 経理部門
2. 税務部門
3. その他部門
事業会社では、単独で税務部門がある会社は少なく、通常は経理部門に所属して税務業務を担当するケースが一般的です。後述するグローバルな大企業以外では、通年で専任するほどの税務業務が生じないため、税務業務と経理業務を兼任することになります。
そのため、事業会社への転職では、税務業務メインで経理業務全般にも携わるというスタンスで求人を探したほうが選択肢は広がるでしょう。とはいえ、専任の部門がなくとも、事業会社において税務面での課題解決ニーズは強く、そのような会社では税理士資格は高く評価されます。
どのような事業会社に転職するのがよいかは、担当していたクライアント企業の規模と業界、上場か非上場か、自らが強みとする業務領域によって決めるとよいでしょう。
たとえば、担当していたクライアントには中小企業が多く、決算や税務申告、経理業務の代行などを担当していたなら、そのような業務を外注ではなく社内で処理したいと考えている中小企業への転職がスムーズです。また、メーカーやサービス業など、長く担当したクライアント企業と同じ業界の事業会社に転職すれば、これまでの経験を活かせます。
前述したように、たいていの企業では税務業務を専任する税務部門はありませんが、海外に支社を展開するグローバルな大企業では、税務部門や税務専任のポジションが設置されています。
なかでも近年、BEPS【Base Erosion and Profit Shifting:税源侵食と利益移転】への対応ニーズから、大企業を中心に国際税務における求人が増加しています。国際税務とは、2国以上の国が携わる国際取引で発生する税務であり、各国の税法と租税条約などを踏まえて、課税権を持つ国と課税金額を判断する業務です。BEPSとは、各国の課税制度の違いを踏まえて、より税率の低い国へと所得を移動することで、法人税などの納税金額を最小限にする手法となります。
税理士試験では国際税務に関する出題はほとんどありませんが、法人税や消費税の知識は業務に活かせます。英語力はあれば望ましいですが、4大会計事務所や事業会社への入社後に、業務を通じて身につける方が多いようです。
大企業が税務部門での応募を行う際には、4大会計事務所の税理士を求めるケースが多いため、事業会社の税務部門で国際税務に携わりたい場合は、まず4大会計事務所への転職を検討する方法もあります。
税理士から事業会社にキャリアチェンジする際の選択肢としては、経理・税務部門が代表的な例ですが、中には企画や営業、マーケティングなど、税務会計とそれほど関係がない部門に転職する方もいます。
会計事務所で、税理士として多くの企業の税務会計やコンサルティングを担当していると、外部だから見える課題に気がつくことがあります。そうした課題を改善した新たなビジネスを立ち上げたくなり、足りないスキルを補えるキャリアチェンジのために転職する方も少なくありません。
失敗したとしても、税理士資格をもっていれば、税理士業界への再転職はほかの業界に比べて容易です。そのため、あえて税理士資格に頼らないチャレンジができる点も、税理士資格の魅力といえます。
税理士から事業会社へのキャリアチェンジにおいて、気になるのは年収です。
経理部門や企画などその他部門への転職に際しては、雇用条件が資格をもたない一般的な従業員と同じになってしまうことも多いです。つまり、税理士資格の有無よりも企業規模に年収が左右されます。最も多い年収帯は500〜600万円です。
税務部門が設置されているような大企業では、給与水準自体が高いため転職時の年収帯も高い傾向があります。さらに、キャリアを重ねていけば年収1,000万円も十分可能です。
税理士から事業会社へとキャリアチェンジする際の選択肢として、経理・税務・その他の部門を紹介しました。事業会社を選ぶうえでは、会計事務所で税理士として担当していたクライアント企業の規模や業界、自らの強みなどの自己分析が大切です。
とはいえ、自らの経験や強みを客観的に分析するのは難しいと悩む方も多いでしょう。そんなときには、税理士に特化した専門エージェントに相談することで、転職の可能性をぜひ広げてみてください。
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