近年の「働き方改革」の推進により、さまざまな企業で注目されている労務。労務担当として社員を守り、会社を守るためにどんな知識や資格が必要なのか。また、転職活動において有利な資格は何か。未経験でも資格を取れば転職に有利なのか。今回は労務の転職活動における資格について解説していきます。
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人事業務の中で「採用や研修は分かりやすいけど労務は難しそう」「労務は敷居が高そう」そう感じている方も多いのではないでしょうか。
確かに労務はスペシャリストの側面が強く、採用や研修と違って資格も専門のもので難しいという印象があるかもしれません。
しかし身に着けておけば転職にも有利ですし、自身のキャリアアップにもなります。では、労務とはどんな業務なのでしょうか。
一般的に労務の仕事内容は、社会保険・雇用保険の加入や喪失手続き、社会保険料の変更、給与計算、給与報告書の作成、健康診断の手配、就業規則や各種規定の作成など、「社員が安心して働けるための手続きや環境作り」が仕事です。
企業によっては給与計算を経理が行っているところもありますが、社会保険料と給与は密接な関係があるため労務でも把握しておく必要があります。
その他にも労災保険など、会社側が加入している保険関係も労務の業務です。
また、労務担当として大切なこととして、社員のメンタルヘルスケアもあります。
ストレスチェックや健康診断、産業医との面談設定なども労務の業務ですし、ここ数年話題になっている「働き方改革」も労務の業務範疇と考えてよいでしょう。
社員が入社した時、出産した時、業務以外の理由の傷病で休むときにどのような補償があり手続きが必要なのかをしっかりと理解しておくことが労務には求められます。
雇用保険に関しても同様で、入社、出産・育児、業務上の傷病、老齢、退職・失業など、さまざまな制度や仕組みがあります。
また、上記に関わってくるのが給与計算です。
皆さんのお給料から引かれている社会保険料や雇用保険料は、給与の額によって異なります。給与が変更された際に保険料の変更手続きをするのも労務の仕事です。
これらの仕組みを理解して、社員のライフイベントや会社のさまざまな節目ごとに的確に業務を行うことが労務担当に求められるスキルです。
そして何よりも大切なスキルとして、「労働基準法の知識」が必要です。
社会保険や雇用保険、給与計算は手続きや仕組みを知ることがメインですが、根底には「労基法」と呼ばれる法律があり、そしてその労基法の上にすべての労務業務が成り立っているのです。
労基法を理解し、遵守ことが社員を守ることになり、結果的に会社の存続、繁栄に役立ってきます。
このことを理解してスキルを身に着けている労務担当者は、経験や資格の有無によらず転職市場でも優遇されることが多いのです。
では、労務に必要な資格、転職に有利に資格は何なのでしょうか。
実は社会保険手続きや雇用保険手続きを行うには資格は必要ありません。
給与計算も同じです。
しかし、実務経験の上に「正しい知識」があることが労務にとってはとても重要なことですので、取得する・しないに関わらず学んでおいた方がよい資格があります。
それは「社会保険労務士(社労士)」です。
国家資格であり、合格率6%前後の難関資格ですので、簡単に合格するものではありませんが、この資格を学ぶことにより正しい労務知識と労働基準法などの法律が身に付きますし、勉強することで体系的に理解ができるので、転職する際の大きなアドバンテージになります。
もちろん資格を取ったから必ず転職できる、というわけではないですが、社労士は労務業務が未経験でも資格を取ってからそれを活かして転職する方が多いので、転職に有利なのは間違いありません。
企業への転職であっても、社労士資格の有資格者は優遇されることが少なくないのです。
その他にも、労務管理士、中小企業診断士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、衛生管理者なども労務担当には人気の資格です。
労務の資格を活かしてのキャリアアップの最たるものは、社労士です。
難関の国家資格ということもありますが、転職ではなく独立して自身で事務所を立ち上げることも可能なため、憧れの独立開業を目指せます。
開業した社労士は労務のプロフェッショナルとして企業と契約、労務事務だけではなくコンサルティング業務も行います。
もちろん企業内社労士として活躍する方や、資格を活かして転職をする方も多くいらっしゃいます。
企業の人事部は外部の社労士に顧問料を払って労務コンサルティングを依頼していることが多いですので、自社内に社労士資格を持つ者がいれば社外に依頼しないで済みますし、社員自身も会社に貢献しているという大きなやりがいを持つことができます。
そのことからも、労務の最強の資格は「社労士」でしょう。
今回は労務に必要な資格、そしてその資格を取る(勉強する)ことで転職に有利になる点、資格取得におけるキャリアアップについて解説しました。
人事の中でも地味な印象が強い労務ですが、実は会社や企業の根幹を支えるスペシャリストであることがお分かりいただけたかと思います。
自分の将来を見据えて資格を学ぶ、転職をするために参考にしてください。