IPO準備企業は、他では味わい難い経験ができることから、転職先の選択肢として密かに注目を集めています。今回はそんなIPO準備会社で働くメリットやデメリットを解説します。上場準備企業の中からどんな企業を選ぶのがいいのか、どのような人材が求められているのかについても紹介していきます。
▶︎ 士業・管理部門でスピード内定|HUPRO はこちら
IPO準備企業に転職したいと考える方の理由として、「自身の市場価値を上げたい」と考えている方も多いのではないでしょうか?特に、IPOはどこでもできる経験ではないため、その瞬間に立ち会うことができれば、自ずと市場価値も上がるだろうと思ってしまいます。
ですが、結論からお伝えすると「IPO準備企業に入る=市場価値が上がる」訳ではありません。
確かにIPOに挑戦するということは非常に貴重な経験ですし、既に上場している大手企業や出来立てのドベンチャー企業ではできないため、そのIPO準備に携わったという経験は非常に価値の高い経験です。ですが、あくまでもその中で自身がどのような活躍をし、何を得たのかが重要です。
特に、「市場価値を高めたい」という言葉の裏側には、「年収を上げたい」「次の転職で有利に動きたい」という思いがあることが多いため、次の転職までを見越しているのであれば、より一層、IPO準備経験の中でどのようなスキルや知識を身に着けるのかが重要になります。
いきなり厳しい言葉をお伝えしましたが、IPO準備に携わった経験は転職に有利に働くことが多いです。当社ヒュープロは士業・管理部門に特化した転職サイトですので、経理職や公認会計士の転職を多数ご支援していますが、中でもCFOなどのハイクラスポジションの求人では、IPO経験が応募資格の中で必須経験とされている求人もあります。
その他の職種でもIPO準備を経験していることで転職に有利になることがありますが、やはり同じIPOを目指す企業ではIPOを1度経験している人材はなんとしても欲しい人材となります。
また、IPOに挑戦しない企業への転職においても、IPO経験を通して身につくスキルや知識は幅広い環境で活かせるため、その経験を上手く伝えることができれば、転職活動では有利に動くことができます。
IPO準備会社に転職することで得られるメリットはほかの会社では味わいにくいものばかりです。主なメリットを3つ紹介していきます。
IPOができる会社の共通点は、社内に熱気や活気があり、成長のチャンスが多いことです。上場企業はある種完成した状態ですので、社員の数も多く、会社全体で同じ方向を向いて戦うという雰囲気はあまりないです。熱気をもって一生懸命仕事をし、その分成長したい方には大きなメリットとなります。
また、IPO準備中の企業はまだまだ発展途上のため、幅広い業務を1人で担当する可能性が高いです。もちろんその分大変にはなりますが、様々な仕事を裁量を持って進められるというのは、裏を返せば成長のチャンスが多くあるということです。
IPOできる会社は、年に100社~200社程度です。日本には数多くのスタートアップがありますが、実際にIPOできる会社は限られているのです。IPO準備会社に転職し実際にIPOを体験することができれば、一生にあるかないかのことであり、得難い体験となること間違いなしです。
転職後、ストックオプションをもらえることができれば、上場した際に多額の株式売却益が手に入る可能性があります。ただし、転職してすぐにストックオプションが付与されるケースは稀で、継続して勤務することなどが付与の条件として付されることが通常です。そのため、ストックオプションによる報酬を狙うのであれば、IPO直前期の会社よりも、少しIPOに時間がかかる会社の方がお勧めです。IPO準備会社にすぐに転職し、継続勤務し、高いバリュエーションによりIPOされれば、一攫千金も夢ではありません。
IPO準備会社に転職することで、上記のとおり、大きなメリットを享受できる可能性があります。一方で、IPO準備会社ならではのデメリットも見逃せません。メリットとデメリットをよく検討したうえで、IPO準備会社への転職を進めるようにしてください。
IPO準備会社は、上場企業に比べて資金力が弱く、儲けも多くはありません。そのため、人件費に多くの予算をかけることができません。そのため、必然的にベース報酬は低く設定されるケースが多くなります。
IPO準備会社といえども、例えば新型コロナウィルスのような有事の際は、大きな影響を受け、追加の資金調達ができなければ破産に追い込まれるリスクがあります。安定的な雇用を望むのであれば、デメリットの方が大きいため、IPO準備会社への転職は基本的にはお勧めできません。
IPO準備会社に転職したのは良いものの、実際にIPOできる保証はどこにもありません。IPOできない場合は、低成長のまま経営を続ける、他企業にM&Aされる、破産してしまうといった選択肢がありますが、IPOを比べるとどれもハッピーではありません。どの企業も転職面接の際には、IPOに自信を持っていると言われるかもしれませんが、自分の目で確かめてIPOの可能性を冷静に見極めるようにしましょう。
IPO準備会社と言っても、まだまだ上場まで時間がかかる会社から、上場直前の会社まで様々な種類があります。また、金銭的な条件についても、IPO準備フェーズや業種によって異なります。
いわゆるユニコーンと呼ばれる企業は、成長性が高くエキサイティングな仕事をしたい方にお勧めです。クラウド会計のFreeeや名刺管理サービスのSansanはユニコーンのままIPOしました。成長性が高ければ高いほど、従業員数の拡大スピードも速く、新しいポストも空きやすくなります。また、成長性の高い企業でストックオプションを支給される場合などは、多額の株式売却益を得られる可能性が高まります。
IPO準備会社は上場会社と比べて財務基盤も弱く、一度経営が傾いた際には破綻してしまうリスクもあります。転職する際に、安定性も重視したい場合には、会社規模はもちろんのこと、差別化できる強みを持っているかどうかを確認しておくべきです。独自の技術などを持っているIPO準備会社は市場競争に巻き込まれづらくお勧めです。
IPOの達成をできるだけ早く味わいたい方は、IPO直前の企業で働くのがオススメです。
しかし、IPOをするタイミングについては事前に公表されているわけではないので、IPO直前の企業を様々な情報から見極める必要があります。
それでは、どうすれば上場直前かどうかを把握できるのでしょうか。
IPOをする際には、市場進出や新規事業の開始に伴う初期費用の発生、また事業拡大による運転資金の増大の影響で、大きな金額の資金調達が必要になります。その履歴である資金調達履歴で、過去に何度も資金調達をしており、かつシリーズD、シリーズEといった資金調達ラウンドであれば、IPOに近いと言えるでしょう。
IPOをするには監査法人や、証券会社の公開引受部門との折衝、社内管理体制の整備、上場準備書類の取りまとめなど、多くの対応が必要になり、それを社内で統括するのが上場準備責任者です。このポジションの有無によっても上場のフェーズが把握できます。
IPO準備が始まると同時に監査法人がショートレビューという予備調査を行います。まずこれが行われているかどうかでも、準備の段階が分かります。またショートレビューが実施された企業の中でも、レビューの指摘事項の多さや重さの程度によって、上場までの道のりが推測できます。
IPO準備企業は事業の拡大と企業の管理体制の整備を、同時かつ猛スピードで行っています。ですので、バックオフィスとよばれる管理部門にもフロントオフィスと呼ばれる事業部門にも、ニーズにマッチした人材をどんどん増やしたいのです。では、そんなIPO準備企業にはどんな人が向いているのでしょうか?
経験面で言うと、既にIPO経験のある人は非常にニーズが高いです。
上場前企業の管理部門は未経験の社員が担当していることも多く、上場企業に比べると管理体制がもろいことがあります。また、企業としても上場に向けて事業を成長させていくことを優先すべく、管理部門の採用が後回しになってしまいがちです。
ですが、管理体制が整っていないと担当の監査法人や証券会社からのゴーサインが出ないので、結果的には上場が遠のいてしまいます。そんな中、管理部門の経験者、特にIPO準備から達成までの経験を既にしている方はどのIPO準備企業も喉から手が出るほど獲得したいと思っているのです。
性格的な面は、以下の通りです。
想像しやすいかと思いますが、IPOは狙えばできるという訳ではなく、泥臭いことも多くあります。その中でも粘り強く会社全体で同じ目標に向けて挑戦を続けることができる方は、IPO準備企業の風土に性格が合っている可能性が高いです。
事業部門では同業種の経験よりもポテンシャルを重視することが多いです。経験はなくても、未来のリーダーを担えるような人柄や、数字にコミットできると判断できる経歴がある人を特に求めています。また、会社の成長とともに自分の成長が感じられる反面、ハードワークになることにも懸念が無いかは重視しています。
実はIPO準備企業の求人は非公開求人となっていることが多く、案外探すのが難しいです。また、IPO準備は貴重な経験であるがゆえに、周囲でIPO準備企業への転職経験がある方も多くはないかと思います。そんなIPO準備企業への転職には、転職エージェントの活用がオススメです。
前述でもご紹介したように、当社ヒュープロは士業・会計業界に特化した転職エージェントですので、経理や公認会計士でIPO準備企業への転職を検討している方は、是非一度ヒュープロへご相談ください。
ここで、ヒュープロで掲載している求人の中から、IPO準備企業の求人例と、IPO準備企業へ転職された方の転職事例をそれぞれご紹介します。
仕事内容 | <詳細業務> 業務フローの確立・経理体制の整備 ◎バックオフィス立上げ後 メンバーとして以下業務を担当いただく予定です 1.デイリーの経理処理(伝票入力を含む) 2.債権債務管理 3.業績管理 4.営業事務の日々の管理・指導 【仕事の魅力】 洋上風力発電にも現在は注力、またM&Aも積極的に行っております。安定した経営基盤のもと、IPOに向け0→1のフェーズで拡大し続ける事業を間近で感じることができます。 |
ポジション | グループ会社の経理統括/IPO準備中 |
応募資格 | <学歴> 大学院 大学 <業務経験> 【必須業務経験】 ◆上場企業または上場企業グループ会社における経理ご経験を5年以上お持ちの方 ◆北海道への長期出張対応が可能な方(本社勤務を基本としつつも、出張ベースでグループ会社の体制整備を行うことを想定) 【歓迎業務経験】 ◆コミュニケーション能力のある方 |
給与 | 年収600〜750万円 |
福利厚生 | ◆退職金有 ◆健康保険 厚生年金保険 雇用保険 労災保険 ◆寮・社宅有 ◆家族手当 ◆福利厚生施設有 ◆資格取得補助 ◆慶弔見舞金制度 ◆永年勤続表彰制度 |
Kさんは、ヒュープロへご相談いただいた当時は上場企業の経理として6年勤めており、部下のマネジメントも行っていらっしゃいました。その時点でも十分に経験やスキルをお持ちではいらっしゃいましたが、このまま同じ安定した環境に身を置き続けることに対して漠然とした不安を抱えていらっしゃいました。
そこで、将来的にCFOなどの経営にも携わるようなポジションに就きたいと考え、そのための第一歩として、IPO準備企業への転職を目指し、弊社へご相談いただきました。上場企業でのご経験の長さから、安定した案働き方や充実した福利厚生を手放すことに対して不安を抱えていらっしゃいましたが、「これだけは譲れない」という条件を決め、その条件に見合った求人をご紹介しました。そして、これまでの経理経験の中で培ってきたスキルと、敢えて上場企業からIPO準備企業に転職したい理由を一緒に棚卸しすることで、希望の条件に見合った企業に無事内定が決まり、理想の転職を実現することができました。
最後に、IPO準備企業に関してよくある質問を2つピックアップし、それぞれ回答していきます。
やはり、IPO準備企業に転職を考えている方の1番の懸念点として、「IPO準備企業は激務なのか」という疑問があるのではないでしょうか?
「激務」の捉え方は人それぞれですが、実際に業務量は多くなる傾向にあります。職種によってもことなりますが、基本的にIPO準備企業は業務の分担などの環境整備が整っていない所も多く、1人で何役もこなすということはざらにあります。これは、企業の成長に伴って分業が進んでいくと解消されますが、その際は新しい部署の立ち上げメンバーとしての活躍を求められるかもしれません。
そのため、こういった忙しさやごちゃごちゃ感を楽しめる方には、うってつけともいえるかもしれません。
こちらも企業規模や職種、役職によって様々ですが、デメリットの章でご説明したように、上場企業と比べるとベースの給料は低くなる傾向になあります。ですが、IPOに挑戦するほどには勢いのある企業ですので、成果を出せばその分報酬として返ってくることも多いです。
また、基本的にIPO準備企業ではある程度ハイクラスポジションでの募集を行っている企業が多いため、IPO準備企業に転職をしようとなると、年収相場は比較的高くなりやすい傾向があります。経理に限ってお伝えをすると、IPO準備企業の年収相場としては一般経理は300万~500万円、経理部長などのハイクラスポジションでは700万~1,000万円程となっています。
いかがでしたでしょうか。
IPO準備企業はそこでしか味わえないやりがいやメリットがあります。全ての方にマッチしているとは言えないかもしれませんが、もし興味があるなら一度は働いてみるのをオススメします。
ヒュープロではIPO準備企業の管理部門の求人も多く取り扱っております。履歴書添削や面接日程の調整は勿論、企業ごとの面接対策などの手厚いサービスで、転職のご支援を無料でさせていただいております。
お気軽なご相談を心よりお待ちしております。
▶︎ 士業・管理部門でスピード内定|HUPRO はこちら