公認会計士になると、多くの人は監査法人に勤めますが、その後転職する人もたくさんいます。公認会計士は会計のスペシャリストとして様々な業種で活躍が期待されますが、実際転職動向についてはどのようになっているでしょうか。今回は、そんな公認会計士の転職動向について解説します。
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皆さんが公認会計士の転職動向を調べようとすると、もしかしたら古い情報がそのまま鵜呑みにされているかもしれません。
現在の内部統制評価、いわゆるJ-SOXが制度化される以前は、公認会計士の転職といえば監査法人からコンサルへの転職や税理士業務をしながら独立、というのが一般的でした。これは、監査を一通り経験したらいつかは独立する、という公認会計士が多かったので、すぐに独立するか、独立するための準備として転職先を選んでいることが多かったからでしょう。
では現在の公認会計士の転職動向はどうでしょうか。
以前に比べて公認会計士の人数も相当増えました。これは、先ほどお話した内部統制評価が制度化されたことによって、公認会計士の需要が一気に高まり、大量合格を生み出した時代が一因ともされています。
今までは公認会計士というと物珍しそうにされていたのが、気づけば結構な人数となっています。ただ、最近は働き方改革の一環や監査に求められる調書も膨大になっていることから、公認会計士の需要は減ることはなく、なかなか合格者を絞ることはできないのが現状です。
公認会計士がコンサル業界に転職することは今までも多くありました。ただ、内容が以前とは変わってきています。
以前はコンサルというと、株価算定や事業再生等でしたが、現在のトレンドとしてはM&Aに関連する業務と言えるでしょう。団塊の世代がちょうど世代交代の時期ということもあり、後継者不足や業績不振による企業の売買が加速しています。よって、通常の企業価値の算定からはじまり、買収の仲介業(通称FA)等公認会計士に期待される役割は幅広くなってきています。
また、国際会計等の普及もあり、単純に監査の経験を積んできただけではなく、英語やIPO等の専門化が進んでいるといってよいでしょう。
ですので、監査ができるというのは大前提として、プラスアルファの能力があると転職市場でも重宝されることでしょう。
根強く残っているのが、公認会計士が会計事務所(税理士事務所)に転職することです。
以前から公認会計士は独立するために税務の勉強をしようと会計事務所に転職するケースは多かったです。現在は独立志向が昔より低下している傾向にありますが、それでも独立する絶対数はそれほど減っているとは言えません。
ただ、会計事務所では支払う給与とその効果をシビアに見ますので、公認会計士となるとオーバースペックで敬遠されることもあると言います。公認会計士に高い給与を払うくらいであれば、もう少し給与が低くても実務経験豊富な無資格者を選ぶ事務所もたくさんあります。
とはいえ、現在は資産税の多様化や、海外子会社を使った複雑な節税案件、企業のグローバル化も進んでいることから特に大手の事務所では公認会計士のニーズはまだまだあると言えます。
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公認会計士の転職でもここ最近幅広くなっているのが一般企業への転職です。
以前は公認会計士が一般企業へ転職することはあまりなく、コンサルや会計事務所等へ転職をして、将来の独立に備えるというのが一般的でした。
ところが先にお話した通り内部統制評価が制度化されてたあたりから企業内での会計知識の必要性が高まり、公認会計士が転職してその役割を担うことも多くなってきました。
また、最近では国際会計基準の導入や、企業のグローバル化による複雑な連結会計、ホールディングス会社の連結納税制度等、どんどん会計が複雑になってきています。また、IPOが少し前と比べて若干ニーズが高まってきており、公認会計士のスキルが直結する仕事も増えています。
こういった背景もあり、企業における公認会計士のニーズがますます高まっていて、公認会計士が一般事業会社へ転職するケースが増えています。
また、監査法人における監査の水準もどんどん上がっていて、働き方改革とはいいつつもまだまだ激務であることには変わりません。そこで、比較的波が安定している一般事業会社への転職のニーズがますます増えていると言えるでしょう。
これからの公認会計士の転職の展望としては、オールマイティ型の経理担当だけではなく、英語や国際会計に特化した人材、IPO支援などのプレイヤーが他の人材、複雑な経理のまとめ役など、通常のスキルにプラスアルファの能力がますます求められていくことでしょう。
公認会計士の転職動向は5年から10年の間でどんどん変わってきています。国際化や会計の複雑化を考えると、そのスパンはさらに短くなっていくことが予想されます。
専門知識を蓄えることも重要ですが、基礎的な知識をしっかりと身に着けて、どんな動向にも対応できることが一番大事なことではないでしょうか。
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