労災とよくいいますが、正式には「労働災害補償保険法」と言います。労災でどんなことが補償されるのか、あまり詳しく知らない人も多いでしょう。労災に関する法律やどんな補償が行われるのかをわかりやすく知っておくとおすすめです。労働災害補償保険法(労災)の内容と活用法について解説します。
労災で知っている人も多くいますが、労働災害補償保険法とはどんな目的で作られたものかについてまずご紹介します。
労働災害補償保険法は、労働基準法に基づいて作られたものです。労働者が業務災害や通勤災害にあった場合の保険給付や社会復帰の促進、遺族の援護などを行う目的で作られたものです。事業所などの使用者が労働者に対して負う災害補償責任を、保険で行うものです。
基本的に労働者を一人でも雇用する全ての事業に適用可能な保険となっています。保険料は事業主が負担し、平成30年現在で329万事業所が加盟しています。正社員だけでなく、パート、アルバイトも労働者として加入できます。
また、労災の保険料を支払っていない事業所でも、労働者は労災が受けられるようになっています。事業主が労災に入っていないから、労災の適用外だと言うことがあったりしても、保険の適用となります。事業主があとで国から保険の給付金を請求される場合がありますが、労働者には労災が適用されることを知っておくといいでしょう。
ただし、公務員に関しては別に「公務員災害補償法」があり、労災とは別になります。
労災が活用される具体的なケースについてもご紹介します。
労災による給付金名 | 労災内容 |
療養(補償)給付 | 労働による病気で、医療機関で療養、通院、手術 |
傷病(補償)給付 | 長期療養が必要の場合 |
休業(補償)給付 | 病気やケガで働くことができない場合 |
障害(補償)給付 | 労働によるケガや病気で障害が残ってしまった場合 |
介護(補償)給付 | 介護が必要になった場合 |
遺族(補償)給付、葬祭給付 | 死亡した際 |
通勤災害保護制度 | 通勤中で事故にあい、負傷、疾病、障害または死亡した場合 |
労働災害補償保険法(労災)の活用の仕方ですが、よくこのくらいでは労災にならないと事業主から言われてしまうケースも多く聞かれます。労働によるケガや病気などの場合には、事業主の判断ではなく労働基準監督署長の判断で認められますので、活用することができます。
労働者は、労働基準法によって守られていますので、療養(補償)給付などがきちんと受けられ、労働基準監督署に申請することができます。
また、業務中にケガや病気になった場合に労災が使えますが、療養(補償)給付と休業(補償)給付のどちらを使ったらいいのだろうと思う人も多くいます。
例えば、ケガや病気をして働けない場合に、療養(補償)給付では、病院での治療費を補償してくれます。また、休業(補償)給付では、休業中の賃金の補償をしてくれます。
どちらも労災として使えますが、療養(補償)給付では、仕事によるケガや病気の際の病院での診察料、薬、手術などの経費が給付され、仕事を休まなくても給付されます。
それに対して、休業(補償)給付は、4日以上仕事を休んだ場合に使えるようになっています。休む前の直前の3ヶ月の賃金平均の80%の日額が計算して支払われます。
4日以上仕事を休んだ場合には療養(補償)給付と休業(補償)給付の両方が受けられるようになると考えておくといいでしょう。
通勤災害もよく労災が適用になります。家から仕事に行く際の往復間での事故、就業場所から就業場所への移動などの場合の事故に、通勤災害から補償が行われます。
通勤災害でも、療養(補償)給付と4日目から休業(補償)給付の両方を受けることができます。
ただし、通勤途中であることが大切で、通勤に関係している場合に補償されます。
事業所が労災に入っておくメリットですが、労災に入っておくことで、補償に上限額がありませんので、労働者は保険金額を気にせずに治療できます。
休業(補償)給付についても、平均賃金の8割程度の補償を受けることができ労働者も安心して休むことができます。
保険料を事務所が100%負担することにはなりますが、事務所としても労災に入ることで大きな補償と安心を労働者に与えられます。保険料率は業種によって災害の発生率が異なるため4.5/1000~118/1000と変わりますが、多くの事業所が安心のために入っています。
労働災害補償保険法(労災)について、あまり知らない人も意外と多くいます。事業所が労災に入っていないと言って諦めている人やパート、アルバイトだから受けられないという人や、労災のことを知らされない人もいるでしょう。労働者自身が労災についてよく知っておくことが大切です。
そして、事業所も労災についてきちんと説明しておくこともお互いの安心に繋がります。