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みなし役員も社会保険加入必要?加入しない?役員の加入条件を解説!

Hupro Magazine編集部 剱持
みなし役員も社会保険加入必要?加入しない?役員の加入条件を解説!

社会保険(厚生年金・健康保険・40歳以上の介護保険)は事業所ごとの強制適用であり、そこに使用される人は強制加入となります。

そして役員も従業員と同様、基本的には社会保険に加入義務があるのです。本記事では、みなし役員など役員のタイプ別に社会保険料の加入義務について解説します。

みなし役員も社会保険加入必要?加入しない?

みなし役員も社会保険加入必要?加入しない?

みなし役員も基本的には社会保険の加入が必要です。

みなし役員とは、会社法が定める役員である、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人以外でありながら、経営に従事しており、その報酬が法人税法上役員とみなされる立場にある人のことを差します。

みなし役員となるのは、会社の相談役や顧問、同族会社の使用人で株式所有割合が高い人などです。

つまり、みなし役員は基本的には社会保険加入の対象であり、役員の基準に準じます。非常勤顧問などであれば非常勤役員の基準に準じることになります。

役員も社会保険強制加入が基本

社会保険(厚生年金・健康保険・40歳以上の介護保険)については、以下の条件に当てはまる場合は事業所で強制加入となります。

つまり、役員だからという理由で社会保険に加入しないという事は基本的にはありません。

強制適用事業所は、次の(1)か(2)に該当する事業所(事務所を含む、以下同じ)で、法律により、事業主や従業員の意思に関係なく、健康保険・厚生年金保険への加入が定められています。

(1)次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所
a製造業b土木建築業c鉱業d電気ガス事業e運送業f清掃業g物品販売業h金融保険業i保管賃貸業j媒介周旋業k集金案内広告業l教育研究調査業m医療保健業n通信報道業など

(2)国又は法人の事業所
常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所

出典:適用事業所とは?|全国健康保険協会HP

これは、従業員がいない代表取締役のみの会社でも同様です。
ただし、役員は会社に雇用はされていないので、社会保険手続きとして一緒に行われる事の多い労働保険(雇用保険・労働保険)は加入対象外になります。

役員報酬がゼロ円でも社会保険加入は必要?

前項で、社会保険加入は事業所ごとに強制加入といいましたが、厚生年金の掛け金と健康保険料は報酬がある場合に定められた保険料率をかけて算出し、対象と会社で折半して支払う仕組みとなっています。

それでは、もともとの報酬がゼロの場合だとどうなるのでしょうか。以下の2パターンに分けてそれぞれ解説します。

  • (1)最初から役員報酬ゼロで会社を始める場合
  • (2)途中で役員報酬をゼロにする場合

(1)最初から役員報酬ゼロで会社を始める場合

最初から役員報酬ゼロで会社を始める場合は、社会保険加入の資格がないため加入を断られてしまいます。もちろん、給料がゼロであったとしても法令違反などではありません。

しかし、社会保険に加入できない場合は、「国民健康保険」と「国民年金」に加入する必要があります。

役員報酬をゼロにして、会社の利益を出すと今度は法人税をその分支払わなくてはなりません。役員報酬との兼ね合いについては税理士など専門家に相談することをおすすめします。

(2)途中で役員報酬をゼロにする場合

途中で役員報酬をゼロにする場合に関して、厚生年金と健康保険のそれぞれの標準報酬月額の最低額である1等級に該当するのでゼロにはなりません。標準報酬月額の1等級の保険料を払う必要があります。

しかし、会社の経営状況から見て役員報酬をずっと0にせざるを得ないような事情がある場合は、社会保険そのものから脱退するということもできます。

役員を兼任している場合の社会保険加入はどうなる?

複数の会社の役員を兼務している場合、社会保険の加入義務の判断は各事業所ごとに行います。

それぞれの事業所が加入事業所の場合、報酬がゼロでない限り社会保険の加入義務が生じます。
その場合は「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を提出し、複数の会社で支払われている役員報酬を合算した金額での社会保険料の計算が必要です。

例えばA社で40万円、B社で50万円の役員報酬をもらっている場合、社会保険については、報酬を合算した90万円で標準月額報酬から保険料を求め、でそれぞれの勤務先で按分した保険料を控除することになります。

非常勤役員の社会保険加入はどうなる?

非常勤役員については、社会保険料の被保険者の対象外になります。

代表権のある役員と監査役以外は登記の必要がありませんので、非常勤役員かどうかを証明するものはありません。

非常勤役員については実態が非常勤として不自然ではないか、が目安となりますので、具体的な判断基準は社会保険事務所に一任されます。

  • 勤務の実態がどの程度なのか(目安として常勤の3/4程度以下)
  • 経営に携わる重要性をどれだけ有しているか
  • 役員としての業務執行権を有しているか(代表権があるか、通常の取締役か)
  • 役員会議へ出席しているかどうか
  • 報酬額は他の常勤取締役と比較して低めか

社会保険料の支払いを軽減させようという目的で、非常勤役員とするにしても、実情が常勤役員と変わらない場合は社会保険事務所に認められない場合があるので注意が必要です。

この記事を書いたライター

株式会社ヒュープロにてオウンドメディア「Hupro Magazine」のライティングなどを担当。大学法学部法律学科卒業後、銀行にてエネルギーや金属など"コモディティ"の取引、司法試験を中心とした資格試験予備校にてWEBマーケターとしての記事ディレクションなどを経て現職。法令や金融、資格試験の知識も活かしつつ、分かりやすくもためになる記事の作成に注力しています!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェント「ヒュープロ」をご活用ください!
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