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税務調査はどのくらいの確率で来るのか?事前の対策と企業タイプ別の頻度

HUPRO 編集部
税務調査はどのくらいの確率で来るのか?事前の対策と企業タイプ別の頻度

個人事業主の方や経営者にとって、税務調査と聞くと多額の税金を払う必要があるのでないかと怖いイメージがあるかと思います。では実際のところ、税務調査はどのくらいの確率で来るのでしょうか。事前の対策が必要かどうかに言及しながら説明していきます。

税務調査の実際の確率とは

税務調査はどのくらいの確率で来るのか気になっている人が多いかと思いますが、ケースバイケースです。一般的に言えることは、大きな利益を出しており多額の税金を納めている人ほど税務調査が入りやすくなっています。税務調査の人件費は国による税金であり、税務調査を実施したにも関わらず何も追徴課税がなければ、税金の無駄遣いとも言われてしまいます。そのため、効率的な税務調査のためには、大きな利益を出している個人事業主や企業を狙うのです。

利益を継続して出している大規模会社に税務調査が入る確率

上場しているような大規模会社で継続的に利益を出している会社は、法人税等の額も多額です。税務署から見れば、毎年多額の税金を納めてくれる優良顧客と言うこともできるでしょう。このような企業は、過去の税務署できちんと対応していて、脱税など不正の過去がなければ税務調査の頻度が少なくなる傾向にあります。きちんとした開示データはありませんが、5年に1度くらいのペースとも言われています。税務調査などせずとも誠実に多額の税金を納めているという信用があるためです。もちろん、過去に不正や海外を通じた節税取引を多く実施している場合は、5年に1度ではなくもっと多くなる可能性が高いです。

利益がほとんど出ていない個人事業主、企業に税務調査が入る確率

利益がほとんど出ていなければ、税務調査の確率は限りなく低いと言えるでしょう。個人商店を営んでいるが頑張っても利益が出ず税金もほとんど納めていない個人事業主など、税務調査の心配は無用です。ただし、利益が出ているという噂がある、テレビなどで紹介されて有名企業となった、といった場合は、税務署は脱税を疑い税務調査を行う可能性が高まります。「自分が儲かっているけどかなり節税している」、といった話を他人にしてしまうと、税務署に情報提供される恐れがありますので、間違っても税金関係のことは大きな声で話すことは避けましょう。

短期的に大きな利益を出した個人事業主に税務調査が入る確率

例えば不動産を売却し多額の売却益が出ている、大富豪だった父親が死亡し多額の財産を相続した、仮想通貨で大儲けをした、万馬券をとったなど場合には、数年以内に税務調査が入る確率は通常より高くなります。これらの取引や税金の仕組みは複雑で税金計算を誤る可能性が高いため、税務署に目をつけられやすいです。多額の利益が出ているため、追徴課税の金額も馬鹿になりません。仮に多額の売却益や相続税の発生など短期的に多額の税金が発生した場合は、申告前にきちんと対策を立てておきましょう。何の対策もなしに全て自分でやろうとすると、税務調査が入るかもしれないという心理的なストレスがかかってしまいます。何から手を付けたら良いか分からない場合には、まずは税理士に相談するべきです。

個人事業主でなく法人に税務調査が入る確率

ベンチャー企業を経営していて今は利益が出ていない場合、税務調査が入る確率は著しく低いです。入る場合は税務署の担当者が新人で、その研修として派遣されるような場合でしょう。一方で企業経営が軌道に乗り利益を出せるようになってくると数年以内に税務調査が入る確率が高まります。利益が出る前にきちんと顧問税理士と相談し、正確な税務申告書を作成するように心がけておきましょう。

個人事業主でなく法人に税務調査が入る確率

合併、買収など組織再編取引を行った場合

組織再編取引は税務における論点が多岐にわたり、税理士や会計士などのプロフェッショナルでさえすぐに即答できるわけではありません。そのため、税務に関する誤りが多く発生するため、税務署の格好のターゲットとされがちです。合併や買収はニュースになる場合も多く、税務署は簡単にその事実を突き止めることができます。このような場合には税務調査が入る確率はかなり高まります。組織再編した年に税務調査が入らなかったから大丈夫だろうと安心することも難しく、数年以内に入るかもしれません。組織再編を行う場合は、きちんとその道に詳しいプロフェッショナルに相談しておきたいところです。

毎年、多額の消費税還付を行っている企業

受け取っている消費税よりも支払っている消費税の方が多い場合は、消費税の還付を受けることができます。税務署にとって、消費税還付も税務署の目に留まりやすいアクションとなります。海外取引を通して脱税を図る企業も少なからずおり、税務署の立場からだときちんと調査せざるを得ません。

税務調査が入る可能性が高い場合、事前の対策が必要かどうか

以上のようなケースに該当し、自分で税務調査が入る確率が高いのではと考えている場合、事前の対策は必要なのでしょうか。まずは顧問税理士や税務調査に詳しい税理士などプロフェッショナルに相談してみることをお勧めいたします。事前の対策は過去の申告書をレビューし、大きな誤りがあれば税務調査の前に自ら修正申告を出すということが考えられます。自らという点がポイントで、税務署の信頼も得ることができ罰則もないため、全体として追徴課税の額を抑えられるかもしれません。ただし、税務申告書のレビューは時間がかかるうえにコストもそれなりにかかるため、状況によって有効な場合もあれば必要ない場合もあるでしょう。税務調査が入る確率はどのくらいで、どの程度追徴課税を課される可能性があるのかを事前に把握しておくことは困難であり、経営者にとっては悩みのつきないテーマです。

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