税務調査と聞くと、どんなに正しく納税しているつもりでもドキっとしますよね。税理士でも同じで、税務調査をされて嬉しい!と思う人はいないでしょう。
でも、事前に準備しておけば大丈夫!今回は、税務調査に向けてチェックリスト形式でわかりやすく解説します。
税務調査の対象は、売上がとても伸びていたり不自然な赤字になっていたりしている企業や、完全にここ数年税務調査に入られていない企業など、様々な視点で抽出されます。ですので、脱税が疑われる企業はもちろんのこと、そうでない企業についても調査対象となります。
対象会社(個人)が選ばれると、税理士が関与している場合には税理士に、そうでない場合は納税者に直接日程調整の連絡が来ます。あくまでも調整ですので、こちらの都合がどうしても合わない場合は先の日付にしてもらったり、1日おきに来てもらったりなど、ある程度の配慮はしてくれます。
その後当日を迎え、最初の半日は社長に対して、創業の経緯から顧客情報、従業員の情報等をヒアリングします。半分以上雑談のように話されますが、実際のところ雑談から調査のポイントを探っています。例えば、雑談でゴルフが趣味ということを聞けば交際費に個人的なゴルフ代が含まれていないかとか、専業主婦の奥さんがいるという話であるのに多額の給与が支払われていないか等です。
その後会社規模に応じて数日間帳簿とその関連資料を閲覧します。帳簿だけではなく、製造業であれば行程表や、実際の現場視察も行います。
では、ここから全体的に何を用意すべきかをチェックリスト形式で紹介します。
税務調査が始まる前には会社全体を見渡しておきましょう。税務調査が入ってからではなく、普段から次のことには心がけておきましょう。
✔︎ 個人の私物や会社に関係のないものは極力会社に置いてないですか?
✔︎ 税務調査が入ることやその日付を税理士は知っていますか?
✔︎ 税務調査の期間中、誰も受け答えができない時間が無いようにしていますか?(経理担当もしくは税理士が立会をしているかどうか)
✔︎ 会社の成り立ちから得意先の名前、どのようにして顧客を獲得できるか言えますか?
✔︎ 従業員の構成、それぞれの仕事の役割、ある程度の勤務時間をタイムカードと矛盾なく言えますか?
✔︎ 役員報酬は株主総会後勝手に変更されていませんか?変更している場合は決算日後3か月以内に変更した議事録が残っていますか?
税務調査はヒアリング後基本的に帳簿を見せることとなります。あるべき帳簿や帳票が無いなんて慌てることの無いように、書類は整理整頓しておきましょう。
✔︎ 総勘定元帳は過去3年分紙ベースでありますか?
✔︎ 仕入帳、売掛帳、現金出納帳、預金出納帳、固定資産台帳等の帳簿はすぐに出せる状況ですか?(ソフト等でもすぐに見れる状態)
✔︎ 給与台帳と実際の人員は整合していますか?
✔︎ 従業員から扶養控除等申告書や年末調整書類を入手、保管していますか?
✔︎ 領収書、納品書、注文書、受領書等取引先とやり取りをしている書類は完備してすぐに出せる状態ですか?
✔︎ 総勘定元帳で抽出された項目の証憑類(領収書、請求書等)はすぐに見せられる状態になっていますか?
税務調査で一番問題になるのは売上等の収益が適切な金額を適切な時期に認識されていないことです。
✔︎ 期末日付近に請求した売上については適切に計上されていますか?
✔︎ 現金で受け取る先はありませんか?ある場合は漏れなく売上計上するために領収書の管理を適切にしていますか?(会社所定の領収書を連番管理する等)
✔︎ 製造業で、行程表上は作業が完了しているにも関わらず、売上が計上されていないものはありませんか?
✔︎ 製造の際に発生した作業くず、鉄くずなどを外部の業者に売った時、会社の口座に振り込まれて記帳されていますか?
✔︎ 会社に自動販売機が設置されている時、自動販売機設置料は会社の口座に振り込まれ、記帳されていますか?
費用が多額に計上されていたり、本来は翌期の費用であることが問題になったりすることも多いです。
✔︎ 領収書の無い費用が計上されていませんか?
✔︎ 自身や家族だけで飲み食いしたものが経費に落ちていませんか?
✔︎ 他人との交際費はどのような付き合いのある誰と行ったのか即座に説明できるようになっていますか?
✔︎ 売上が計上されていないにも関わらずかかった費用だけ先に計上されていませんか?
✔︎ 外注費として計上されている人物について、具体的な作業内容や住所氏名を即座に言えますか?従業員との違いを説明できますか?
税務調査は、調査が決まってから準備してもあまり結果は変わりません。ですので、常日頃から帳票類の整理はもちろんのこと、堂々と経費として落とせるかどうか、売上の計上漏れはないかどうかを毎期チェックすることが大切です。
また、税理士や経理担当者任せにするのは調査官からの印象も良くないため、社長が毅然とした態度である程度の事項は説明できるようにしておきましょう。