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【雇用保険の喪失手続き】「雇用保険被保険者資格喪失届」を解説

HUPRO 編集部
【雇用保険の喪失手続き】「雇用保険被保険者資格喪失届」を解説

社員が「入社」するときは「資格取得届」を提出し、雇用保険に「加入」する手続きを行いますが、社員が「退職」するときなどは、今まで加入していた雇用保険から「脱退」する手続きが必要になり「資格喪失届」などを提出しなければなりません。
今回は「雇用保険被保険者資格喪失届」の手続きなどについて解説していきます。

「雇用保険被保険者資格喪失届」の基礎知識

ここでは「雇用保険被保険者資格喪失届」に係わる基礎知識をご紹介致します。

「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する場合

「雇用保険被保険者資格喪失届」は会社を退職する時だけではなく、「雇用保険から脱退する時」に提出が必要となるもので、以下のケースが考えられます。

「雇用保険被保険者資格喪失届」の入手方法

「雇用保険被保険者資格喪失届」は、雇用保険に加入したときにハローワークから受け取ります。

「雇用保険被保険者資格喪失届」を紛失した場合

紛失された場合にはハローワークのホームページからダウンロードできます。

参考:ハローワークインターネットサービス 「雇用保険被保険者資格喪失届」

光学式文字読取装置(OCR)で読み取りを行うため、提出時に「3点の■」の基準マークが欠けていたりかすれていたりすると受理されません。
以下の「帳票印刷のポイント」に注意しましょう。

参考:ハローワークインターネットサービス 「帳票印刷のポイント」

退職者の「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する場合

退職者の「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する場合

※1 退職者が離職票を希望せず雇用保険被保険者資格喪失届のみを提出する場合、添付書類は不要となります。

退職者が離職票を希望する場合

上記書類に加え以下の提出も必要となります。
また、退職者が59歳以上の場合には必ず離職票を交付しなければなりません。

※転職先が決まっている場合は不要です。
※「雇用保険被保険者離職証明書」は、退職者本人に署名してもらうところがあります。
トラブルにならないためにも、退職前に退職者本人に記載内容を確認してもらい、「署名欄」に直筆署名と押印をしてもらいましょう

「雇用保険被保険者資格喪失届」の書き方

ここでは「雇用保険被保険者資格喪失届」の具体的な書き方について説明します。

退職等に係わる事項を記入します

被保険者番号など加入時に取得した情報が既に入力されているので、離職等年月日など「退職等に係わる事項を記入する」ことになります。

鉛筆記入箇所があります

「雇用保険被保険者資格喪失届」は、機械(OCR)に読み取らせて処理を行っているので、□□□□の記入枠の部分は鉛筆(HB程度)を使用し、それ以外の部分はボールペン・ゴム印等を使い記入します。

参考:厚生労働省 「雇用保険被保険者資格喪失届」

記入事項

ここでは「退職等に係わる事項」について、届出様式にどのように記入するのか具体的に見ていきましょう。

「氏名変更届」を二重線で消しましょう

「雇用保険被保険者資格喪失届」は「雇用保険被保険者氏名変更届」も兼ねる用紙になります。

一番上に雇用保険被保険者「資格喪失届」と「氏名変更届」が併記されていますので、「氏名変更届」は二重線で消してください。

個人番号(マイナンバー)が必要です

平成28年1月から「雇用保険被保険者資格喪失届」の記入欄に「1.個人番号(=マイナンバー)」が追加されました。

おそらく会社勤めの皆さまは、平成27年の年末調整に係わる連絡で「マイナンバーを教えてください」と案内がきたかもしれませんが、年末調整だけではなく、この「雇用保険被保険者資格喪失届」にも必要な情報だったのです。

マイナンバー項目追加前に雇用保険の資格を取得した場合、雇用保険加入時に受け取った雇用保険被保険者資格喪失届には記入欄がありません

・「個人番号登録・変更届」が届出済の場合には、余白に「マイナンバー届出済み」と記載してください。
・「個人番号登録・変更届」が未提出の場合には「届出する必要」がありますのでご注意ください。

実務上、ハローワークによっては余白に「マイナンバー」も併せて記載するようお願いされるところもあるので、一度管轄のハローワークに電話確認をしてみることをおすすめします。

離職等年月日

ここには被保険者であった最後の日(最終在籍日)を記入します。
退職した場合は最後に就労した日、死亡の場合は死亡年月日となります。

被保険者の資格喪失日(原則、退職日の翌日)を記入しませんよう注意してください。

喪失原因

3つの中から該当する番号を記入します。
一般的な喪失原因は「2」を選ぶことが多いですが、主な該当事例を以下に記載しました。

離職票交付希望

離職票の交付を希望するかについて労働者本人に確認し、必要であれば「1:有」と記入します。
なお、退職後に基本手当を受給する場合には離職票が必要となります。

1週間の所定労働時間

1週間の所定労働時間を記入します。

補充採用予定の有無

労働者を採用する見込みがあれば「1」と記入し、なければ空白にします。

被保険者でなくなったことの原因

記載内容によって退職後に受給する基本手当の内容が変わるので「本人から転職先が見つかったので退職したいと申し出があった」など具体的に記入しましょう。

電子申請の義務化

2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されることになりました。
この「雇用保険被保険者資格喪失届」も電子申請の対象となりますので、電子申請・届出を行う場合は「電子政府の総合窓口(e-Gov)」を利用することができます。

参考:厚生労働省 「電子政府の総合窓口(e-Gov)」
参考:厚生労働省 「電子申請の義務化」

補足情報

「雇用保険」の「手続き」のなかにある「※1」の記載事項について補足します。
退職者が離職票を希望せず雇用保険被保険者資格喪失届のみを提出する場合に「添付書類が不要となる」のは「実務上」のことで、ハローワークに再確認したところやはり「添付不要」との回答でした。しかし、以下条文上は添付書類が必要となりますのでご注意ください。

雇用保険法施行規則 第七条
事業主は、法第七条の規定により、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなったことについて、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届(様式第四号。以下「資格喪失届」という。)に労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳その他の当該適用事業に係る被保険者でなくなったことの事実及びその事実のあつた年月日を証明することができる書類を添えてその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。

最後に

いかがでしたか?会社が「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出を怠ると、雇用保険法の「事業主の罰則」が適用され「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科されてしまいます。提出の期限の順守を徹底するようにしてください。

この記事を書いたライター

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