相続に関わる仕事といえばみなさんはどういった職業を思い浮かべるでしょうか?
弁護士、税理士、司法書士、銀行員、ファイナンシャルプランナーといったように普段でもよく耳にする職業も相続と関連する業務を行なっていたりします。
今回は、その中でもあまり聞き慣れない相続診断士というお仕事について詳しく解説いたします。
相続診断士とはその名の通り、「相続に関する知識を持っている人」を認定するための資格です。
ただ、弁護士や税理士、あるいは司法書士のように必ず資格を取得しておかなければ、相続診断士として仕事を行うことができないというものではありません。
相続に関することについて相談をする場合、弁護士だと法律に関する相談、税理士だと税金に関する相談、司法書士だと登記に関する相談といったようにそれぞれの専門分野に合わせてアドバイスを行います。
これに対して相続診断士は何かの専門に特化しているわけではなく、相続が発生したけどまず何をしていいのかわからないという人達に向けてアドバイスをすることが多いです。
そのため、銀行員やファイナンシャルプランナーといった人達が+αとしてより相続に関する知識を深めるため、資格を取得するというケースが多いです。
次に資格取得に関して、試験概要を含めて解説して行きます。
・一般社団法人 相続診断協会という団体が年に複数回実施しています。
・また受験には、個人と団体方式が用意されています。申し込み方法は異なるので詳細に関しては相続診断協会のHPをご確認ください。
・初回受験:誰でも受験できます。
・再受験:申込期限はありませんが、本試験を受験した方に限ります。
CBT方式とは、コンピュータ試験による全国会場型随時試験のことを言います。
全国197ヶ所以上の会場で、好きな会場、好きな時間に随時受験できることができます。
ただし、試験予約の際は会員登録(無料)が必要となりますので、ご注意ください。
初回受験については受験申込日の21日目以降〜3ヶ月先を受験日として予約することができます。
また、再受験については申込内容により、申込期限が異なります。
・クレジットカード/受験チケット決済:試験日の1営業日前の17時が申込期限となります(17時を過ぎますと翌日扱いとなります)
・コンビニエンスストア/ペイジー決済:試験日の4営業日前の17時が申込期限となります(17時を過ぎますと翌日扱いとなります)
試験内容についてはOX問題、三肢択一、穴埋め形式となっており、問題数は全部で60問
制限時間は60分になります。
主な出題範囲としては以下になります。
合格率は90%以上、受験された方の8割以上が初学者と言われており、非常に高いです。
ただ、学習者の大半は相続分野や民法といった前提知識を持った人がほとんどであり、全く勉強しなくても合格できるわけでは決してありません。
合格するには100点満点中70点の得点をとる必要があります。
相続に関する幅広い知識を問われるため、初学者であれば3ヶ月〜6ヶ月ほどの勉強期間を設けてしっかりと対策をすることをオススメします。
CBT方式の試験の場合、結果は受験後にその場でわかります。
上記で述べたように相続診断士の合格率は90%以上とかなり高いですが、しっかりと対策しておかなければ当然合格はできません。
具体的な対策としては、まずどういった試験なのかを把握することです。上記の出題範囲に加えて、相続診断協会の[公式HP(リンクにする)]にアクセスすると練習問題集がありますので、それを確認しましょう。
なお、相続診断士資格試験は基本的に自主学習となります。受験料を支払った後にテキストと解説DVDが送られてくるので、1日1時間程度、数ヶ月間勉強を続けていけば合格ラインに到達できることが出来るでしょう。
無事に試験に合格出来たら、「相続診断士」として活動するための準備に入りましょう。
しかし、具体的な活動方法がわからないという方が多いと思います。そんなときは、相続診断協会が実施をする「相続診断士としての第一歩セミナー」を受講することもできます。(相続診断士の認定日より3ヶ月以内は無料にて受講できます。)相続診断協会の代表理事が実際の講師をされることもあるので、机上以上の事が学べ、より具体的な実務のイメージがつけられます。他にも、「相続診断の受け方セミナー~チェックシート活用方~」というセミナーでは現場で使う実際のツールの活用方法をワーク形式で学べるなど、充実した活動支援態勢が準備されています。
試験合格後の翌々月1日が認定日となり、認定証一式が届きます。認定期間のご案内等を良く読み、相続診断士資格を取得した事をアピールしましょう。アピールするためには、①相続診断士マイページ(相続診断士協会のページで開設できます)での情報の収集や、②名刺に記載、記章をつけてお渡しすること、また認定証一式の中には、③資格取得を大切な人にお知らせするための葉書5枚が同封されているので上手に活用して、相続診断士として活躍するスタートを勢いよく切れるように頑張りましょう。
その名の通り、「相続の診断をする」が仕事の内容になります。相続に関する知識と取り巻く諸問題の理解を深め、一般の方への啓蒙活動、診断を行います。相続人との関係構築を大切にし、ヒアリングを重ねることで問題を把握して、必要な専門家へと橋渡しをしていくことが相続診断士の大切な役割になっています。上記でも述べたように、相続診断士とは相続に関する幅広い知識を有している人であり、弁護士や税理士、司法書士といった専門家が行うような業務を請負うことはできません。そのため各種専門家とのネットワークを育む努力も欠かせません。
また相続というのは普段から頻繁に発生するような出来事ではありませんので、事業や商売を行なっている方達ならまだしもそうでない人達からすると、専門家に相談するのは少し抵抗があるという人もいらっしゃいます。
そんな方々にも寄り添い、「相続」が「争族」とならないようにお客様と一緒に相続と家族の問題に向きあって、解決の手助けをすることがこの仕事の醍醐味です。
相続診断士は資格有効期間が2年間となっています。更新手続は有効期間の3ヵ月前からできるので忘れないように注意が必要です。※有効期限を超えて6ヶ月後までは更新が可能ですが3ヵ月を超えると、別途手数料5,000円がかかるので忘れないように気を付けましょう。
少子高齢化の影響もあり、相続に関するニーズは今後ますます拡大していくと想定されます。上記記載の通り、相続は関わる機会があまりない中で、専門性が高く、センシティブな内容を含みます。そんな中で、「誰に相談していいかわからない。。」といったお客様の一番の相続の相談役ととして活躍することが期待されます。特に不動産業界や金融関係にお勤めの方にとっては今後必須の知識になるかもしれません。
そのため、キャリアアップの1つの選択肢として相続診断士の資格を取得してみてはいかがでしょうか。