相続に関わる仕事といえばみなさんはどういった職業を思い浮かべるでしょうか?
弁護士、税理士、司法書士、銀行員、ファイナンシャルプランナーといったように普段でもよく耳にする職業も相続と関連する業務を行なっていたりします。
今回は、その中でもあまり聞き慣れない相続診断士というお仕事について詳しく解説いたします。
相続診断士とはその名の通り、「相続に関する知識を持っている人」を認定するための資格です。
ただ、弁護士や税理士、あるいは司法書士のように必ず資格を取得しておかなければ、相続診断士として仕事を行うことができないというものではありません。
相続に関することについて相談をする場合、弁護士だと法律に関する相談、税理士だと税金に関する相談、司法書士だと登記に関する相談といったようにそれぞれの専門分野に合わせてアドバイスを行います。
これに対して相続診断士は何かの専門に特化しているわけではなく、相続が発生したけどまず何をしていいのかわからないという人達に向けてアドバイスをすることが多いです。
そのため、銀行員やファイナンシャルプランナーなどが+αとしてより相続に関する知識を深めるため、資格を取得するというケースが多いです。
次に資格取得に関して、試験概要を含めて解説して行きます。
相続士は、税理士、司法書士、弁護士、行政書士などの専門家とネットワークを組み、お客様に相続に関するアドバイスや支援を行います。そのため、基本的には相続が決まっている方に向けて、紹介するのが多いです。相続診断士は、これから相続問題で気になることがあるなどのことを解消するのが、中心となっています。また、上級相続診断士は、相続診断士が行う業務に加えて、相続士が行うようなアドバイスや支援も行えるイメージとなっています。
合格率は90%以上で、受験された方の8割以上が初学者と言われています。公式に開しているわけではないものの、難易度はかなり低いといわれています。ですが、全く勉強しなくても合格出来るわけでは決してありません。
合格するのには100満点中70点の点数以上を取る必要があります。相続の知識に関して幅広い知識を問われるため、2〜3ヶ月程度の勉強時間は必要となってくるでしょう。
試験内容についてはOX問題、三肢択一、穴埋め形式となっており、問題数は全部で60問
制限時間は60分になります。
主な出題範囲としては以下になります。
・初回受験:誰でも受験できます。
・再受験:申込期限はありませんが、本試験を受験した方に限ります。
初回受験については受験申込日の3日後から3ヶ月先を受験日として予約することができます。また、再受験については申込内容により、申込期限が異なります。
・クレジットカード/受験チケット決済:試験日の1営業日前の17時が申込期限となります(17時を過ぎますと翌日扱いとなります)
・コンビニエンスストア/ペイジー決済:試験日の4営業日前の17時が申込期限となります(17時を過ぎますと翌日扱いとなります)
CBT方式とは、コンピュータ試験による全国会場型随時試験のことを言います。
全国197ヶ所以上の会場で、好きな会場、好きな時間に随時受験することができます。
ただし、試験予約の際は会員登録(無料)が必要となりますので、ご注意ください。
CBT方式の試験の場合、結果は受験後にその場でわかります。
・一般社団法人 相続診断協会という団体が年に複数回実施しています。
・また受験には、個人と団体方式が用意されています。申し込み方法は異なるので詳細に関しては相続診断協会のHPをご確認ください。
相続診断士の資格を取得するメリットとして、活躍できる職場があるということです。相続診断士の資格を取得してすぐに転職などが出来るのはメリットなのではないでしょうか。また、相続診断士の資格は取得するハードルもそこまで高くなく、資格の勉強を初めから最短で3ヶ月で転職出来るので、今の現状を変えたい人にも非常にオススメの資格となっています。
相続診断士の資格を取得してから、活かせる職場について紹介していきます。
主な就職先としての一つ目は、不動産業界です。相続が発生したときに、必ずと言っていいほど家や土地などの不動産の遺産分配や売却が必要になるケースがほとんどです。そのため、相談者が不利益を被らないように、税法の観点からお客様をサポートすることができます。また、推奨されている年収は400〜600万円と比較的高くオススメです。
主な就職先としての二つ目は、生命保険業界です。保険会社であれば、生前対策や相続対策として保険を活用する方法を提案出来るので、お客様へのアプローチの幅が出ると同時に、お客様からの信頼度が向上するでしょう。
主な就職先としての三つ目は、相続業務を取り扱っている会計事務所です。この会計事務所では、お客様との初回面談から、財産評価、分割協議、申告・納税、名義変更まで相続税申告の一連の業務を行っています。資格を取ることで専門性を発揮でき、相性のいい職場となっています。
転職するなら転職エージェントがオススメです。ヒュープロでは士業・管理部門に特化しているため、業界最大級に求人を紹介することが可能となっています。無料で相談できますので気になる方は是非下のリンクから登録してみてください。
上記で述べたように相続診断士の合格率は90%以上とかなり高いですが、しっかりと対策しておかなければ当然合格はできません。
相続診断士資格試験は基本的に自主学習となります。受験料を支払った後にテキストと解説DVDが送られてくるので、1日1時間程度、数ヶ月間勉強を続けていけば合格ラインに到達できることが出来るでしょう。また、他に市販の参考書が出回っていません。そのことを逆手に取ると、受け取ったテキストをしっかりとこなせば合格できる資格となっています。
送られてきたテキストだけでは不安といった人がいると思います。その方に向けての具体的な対策としては、本番に似た実践的な問題を解くことです。相続診断協会の公式HPにアクセスすると練習問題集をダウンロードすることが可能になっていますので、そちらで自身の苦手な分野を確認してみるのもよいでしょう。
無事に試験に合格出来たら、「相続診断士」として活動するための準備に入りましょう。
しかし、具体的な活動方法がわからないという方が多いと思います。そんなときは、相続診断協会が実施をする「相続診断士としての第一歩セミナー」を受講することもできます。(相続診断士の認定日より3ヶ月以内は無料にて受講できます。)相続診断協会の代表理事が実際の講師をされることもあるので、机上以上の事が学べ、より具体的な実務のイメージがつけられます。他にも、「相続診断の受け方セミナー〜チェックシート活用法〜」というセミナーでは現場で使う実際のツールの活用方法をワーク形式で学べるなど、充実した活動支援態勢が準備されています。
試験合格後の翌々月1日が認定日となり、認定証一式が届きます。認定期間のご案内等を良く読み、相続診断士資格を取得した事をアピールしましょう。アピールするためには、①相続診断士マイページ(相続診断士協会のページで開設できます)での情報の収集や、②名刺に記載、記章をつけてお渡しすること、また認定証一式の中には、③資格取得を大切な人にお知らせするための葉書5枚が同封されているので上手に活用して、相続診断士として活躍するスタートを勢いよく切れるように頑張りましょう。
その名の通り、「相続の診断をする」が仕事の内容になります。相続に関する知識と取り巻く諸問題の理解を深め、一般の方への啓蒙活動、診断を行います。相続人との関係構築を大切にし、ヒアリングを重ねることで問題を把握して、必要な専門家へと橋渡しをしていくことが相続診断士の大切な役割になっています。上記でも述べたように、相続診断士とは相続に関する幅広い知識を有している人であり、弁護士や税理士、司法書士といった専門家が行うような業務を請け負うことはできません。そのため各種専門家とのネットワークを育む努力も欠かせません。
また相続というのは普段から頻繁に発生するような出来事ではありませんので、事業や商売を行なっている方達ならまだしもそうでない人達からすると、専門家に相談するのは少し抵抗があるという人もいらっしゃいます。
そんな方々にも寄り添い、「相続」が「争族」とならないようにお客様と一緒に相続と家族の問題に向きあって、解決の手助けをすることがこの仕事の醍醐味です。
相続診断士は資格有効期間が2年間となっています。更新手続は有効期間の3ヵ月前からできるので忘れないように注意が必要です。※有効期限を超えて6ヶ月後までは更新が可能ですが3ヵ月を超えると、別途手数料5,000円がかかるので忘れないように気を付けましょう。
少子高齢化の影響もあり、相続に関するニーズは今後ますます拡大していくと想定されます。上記記載の通り、相続は関わる機会があまりない中で、専門性が高く、センシティブな内容を含みます。そんな中で、「誰に相談していいかわからない。。」といったお客様の一番の相続の相談役として活躍することが期待されます。特に不動産業界や金融関係にお勤めの方にとっては今後必須の知識になるかもしれません。
そのため、キャリアアップの1つの選択肢として相続診断士の資格を取得してみてはいかがでしょうか。