税理士試験は非常に難易度が高い試験であることがよく知られています。しかし、きちんと計画的に継続して勉強していけば、誰でも合格できるチャンスはあります。税理士試験は長い期間にわたって勉強することになりますが、試験科目の中でも簿記論・財務諸表論の2科目に、まずは合格する必要があります。なぜなら、税理士試験において簿財に合格できるか否かが登竜門となるからです。この記事では、税理士試験における簿財の難易度について説明した上で、簿財の試験に合格するためのポイントについて、わかりやすく解説していきます。
税理士試験では、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。)に合格しなければなりません。
試験の合格基準点は、各科目とも満点の60%であり、会計学に属する科目2科目及び税法に属する科目3科目の合計5科目に合格すると税理士試験を突破することができます。税理士試験は科目合格制を採用しているので、受験者は5科目について一度に合格する必要はありません。1科目ずつ受験することも可能です。
税理士試験全体の難易度や合格率については、こちらのコラムで詳しくご紹介していますので是非ご覧ください。
令和5年(第73回)税理士試験において、簿記論の合格率は17.4%で、財務諸表論は28.1%となっていました。令和4年度の合格率は簿記論が23.0%、財務諸表論の合格率は14.8%でした。合格率の変化幅が他の科目に比べて大きい傾向にありますが、第73回試験から受験資格が変わったこともあり、今後も注視する必要があります。
税理士試験科目のなかでも、簿記論及び財務諸表論は、税法に属する科目と比較すると一般的には難易度は低いといわれています。税理士試験において、簿記論、財務諸表論が登竜門であると言われる理由は、必須科目であることの他に、会計学に属する科目に合格できない人が、より難易度が高い税法に属する科目に合格できないと考えられているからです。
2024年8月6日に税理士試験の第1日程として、簿記論と財務諸表論の試験がありました。そんな中で特に財務諸表論が難しかったという声が多かったので、実際の声を見ていきましょう。
このように、財務諸表論で苦戦したという声がX(旧Twitter)で多く見つかりました。財務諸表論は、税理士試験の科目の中で比較的合格率が高いほうであり、そのギャップから多くの受験生が苦しめられたのではないかと考えられます。
今回の財務諸表論では、計算問題のボリュームが普段よりも多かったことから、解き終わらない受験生が多く、難化したという声が多く上がりました。
また、このような声も多くあり、財務諸表論は例年に比べ、分量だけでなく実際の問題の難易度も上がったことは間違いありません。こういった今までより多い分量だったり、出題傾向が違ったりといった問題は、どの受験生も同じように感じています。そのため、これから試験合格に向けて勉強をする人は、ゆとりをもって合格できるようにできるだけ早くから勉強に取り掛かりましょう。
会計科目と税法科目では勉強方法が少し違ってきます。簿記論と財務諸表論に合格しても、税法科目でつまずいてしまう人が多いため、税理士になろうと思ったら、まずは簿財についてできるだけ早く合格しておくのがベストでしょう。簿財という2科目は関連性が高いことから、同じ年に同時に受験するという人も多いです。
簿記論は計算問題が出題されますが、計算にはスピードが求められます。本試験の問題をすべて計算できない年もあるほど、簿記論は問題量が多いからです。
一方で財務諸表論については、税理士試験のなかでも問題がパターン化されていることが多いので、簿記論よりも演習の成果が出やすい傾向にあります。そのため、まずはきちんと基礎的な問題を落とさずに得点できるようにしておくことが大切です。財務諸表論については計算問題だけではなく、理論の問題も出題されます。しかし、あくまで計算問題が中心なので、試験の半年前からまとめて覚え始めても試験には間に合うという合格者の声が多いです。簿財はとにかくスピーディに計算問題が解けることが合格の条件となるので、十分に時間をかけて問題のパターンを頭に入れておくことが勉強のポイントとなります。
簿記論と財務諸表論は関連性が高いため、両方一度に合格を目指す方もよくいらっしゃいます。しかし、どちらもボリュームが多いため、まずは片方からといった方も多いのではないでしょうか。そういった方は、簿記論→財務諸表論といった流れで勉強することをオススメします。簿記論は日々の会計処理が主な試験内容で、財務諸表論は簿記論で行った会計処理を踏まえて財務諸表を作成する内容が問われます。財務諸表論が簿記論の範囲を基盤とした試験範囲となっているので、先に簿記論を勉強した方が効率よく勉強が進められます。
結論から申し上げますと、簿記論の方が、簿記1級よりも難しいといわれています。試験範囲でいうと、簿記論と簿記1級は8割がかぶっています。しかし、試験問題の難易度が高く、簿記1級取得者が簿記論を取得するために、最低でも200時間、多くて450時間もかかるといわれています。試験範囲がほとんどかぶっているのに、ここまでの勉強時間が必要ということだけでも、簿記論の方が難しいことが伝わると思います。
税理士試験の合格を目指す人たちにとって、簿記論も財務諸表論も欠かすことはできません。どちらも必修科目として定められているためです。
簿財では計算問題だけではなく、理論問題も出題されますが、まずは計算問題をスピーディーに解答できるようにしなければなりません。問題の解答スピードを上げるためには、過去問に時間をかけて取り組み、問題の回答パターンを頭に入れておかなければなりません。簿財の計算問題や理論問題は膨大な範囲のなかから出題されることになるので、十分に試験勉強の時間を確保する必要があります。
効率的に勉強するためには、大原やTACのような大手予備校などに通うことも視野に入れておく必要があります。予備校に通う最大のメリットは、試験問題に直結する問題演習を大量に行えることです。
このトレーニングを通じて、徹底的に問題のパターンを身体が覚えるまで身に付けていきます。税理士試験は独学で合格することも可能ですが、社会人など、時間がないなかで効率的に勉強をしたいという人にとっては、予備校はとても心強い味方になってくれるでしょう。膨大な試験範囲をきちんとカバーすることを前提として、まずは計画を立て環境を整えて、勉強に取り組むことが大切です。
また、数年前に発売された参考書を独学用に買ったら新しい法律に対応していない内容だった、というのはよくある話です。そういった最新のルールに沿った勉強が常にできるというのも大きなメリットといえます。
税理士試験の勉強をしている方の中には、学生や働かずに受験勉強に専念している方がいる一方で、社会人として働きながら勉強している方も多くいらっしゃいます。ただ、上述したような予備校や専門学校などに通って勉強できる環境が、全ての職場にあるわけではありません。また、簿記論および財務諸表論だけでも1,000時間程度の勉強が必要とも言われているため、残業などで働いている場合は合格までの時間がかかってしまうでしょう。
そんな中で、税理士事務所や税理士法人はスタッフの税理士資格取得を応援する環境が整っている傾向にあります。今回は、その中でも税理士試験を勉強しながら働きやすいオススメの税理士法人として、税理士法人G-Crewをご紹介させて頂きます。
税理士法人G-Crewは東京都渋谷区にある税理士法人です。令和元年(2019年)に設立され、顧問先も成長企業が多く、税務・会計業務サービスの他にも、各種コンサルティング、IPOや内部監査の支援サービス、経理アウトソーシング、資金調達、M&Aに関する特殊業務など幅広い業務を行っています。
税理士試験勉強をする方の中には、時間に融通を利かせて専門学校に通いたいという方も多いと思いますが、税理士法人G-Crewはフレックス制度の導入を近々行う予定であるため、仕事終わりに通学を検討している方にも働きやすい環境といえます。また、みなし残業ではないため、効率よく働いて残業時間を最小限にすることも可能です。試験前休暇制度があり、実際に在籍している科目合格者が少ない残業時間で仕事と勉強を両立していることからも、その働きやすさがお分かりいただけるのではないでしょうか?
税理士法人G-Crewについて詳しい会社案内を確認されたい方は、以下より事務所様のサイトをご覧ください。
税理士法人G-Crew│HP
今回は税理士試験の中でも最初に受験する方が多い科目である、簿記論と財務諸表論についてその難易度や合格するためのポイント、勉強をしながら働きやすい職場などについて紹介しました。試験勉強中の方にとって、税理士取得までは長い道のりにはなりますが、1科目ずつ階段を昇るように着実に合格していきましょう。
転職でキャリアアップに資格を活かそうとしている方でしたら、一部科目を持っている段階でも非常に市場価値は高いです。ご紹介した税理士法人G-Crewのような勉強と仕事が両立しやすい職場に転職して、残りの科目の勉強をしていくのも良いでしょう。
《関連記事》
簿財合格後に会計事務所に転職したほうが有利なのか