退職した際に従業員が後日受け取る書類として「離職票」がありますが、従業員が離職票を請求するためには企業側からハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書(離職証明書)」の提出が必要です。本記事では、離職証明書について詳しく説明します。
離職証明書とは、正式名称を「雇用保険被保険者離職証明書」といい、退職が決まった社員に離職票を交付するために作成する書類です。
3枚複写になっており
・事業主控、
・ハローワーク提出用、
・雇用保険被保険者離職票-2の3枚複写になっています。
複写式の書類のため、サイトからダウンロードができません。書類はハローワークの窓口にあるので、そちらで受け取ってから起票するか、電子申請を行うことになります。
「離職証明書」については、「雇用保険被保険者資格喪失届」共に会社がハローワークに提出しますが、離職前に本人が記名押印又は自筆による署名をします。
ハローワークにて手続きが終わると、10日以内に「雇用保険被保険者離職票Ⅱ」と新たに発行された「離職票Ⅰ」が退職者に送られる流れです。
この手続きを経ているため、離職票は退職後しばらく日数を経てから退職者の手元に届くようになっています。既に退職済みのため、郵送で送られるケースが多いですが、会社によっては手渡しの場合もあるので、受取方法を確認しておきましょう。
失業給付の手続きに行くのは、書類がそろってからになります。
前述の通り、離職証明書は、ハローワークにて失業手当の手続きをするために必要な離職票を請求するための書類です。そのため、失業給付を受け取る予定でない場合は離職証明書の作成は不要となります。
会社によっては、退職者全員に発行したり、退職者に離職票の発行有無を聞いて希望がなければ特に発行しなかったりなど、対応方法が異なるので、手続きを行う方も、申し出する退職者もどうするのかを事前に確認しておきましょう。
なお、高年齢雇用継続給付の手続きが必要になる人は、退職前の賃金支払い状況が分かる「離職票−2」が必要になりますので、本人の希望にかかわらず、59歳以上の退職者には離職証明書を必ず提出しなければなりません。
雇用保険の手続き前に離職証明書の離職理由をチェック
失業手当を受給する場合には、住居を管轄するハローワークに行き、「求職の申込み」を行ったのち、手元に届いた「雇用保険被保険者離職票(-Ⅰ、Ⅱ)」を提出します。
この時、離職証明書(雇用保険被保険者離職票2)」を見てみましょう。離職証明書には、退職の理由が記入してありますが、⑦離職理由欄 に注意が必要です。
出典:ハローワークインターネットサービス
用紙の右側の部分には「離職理由」が記載されています。
この内容が、自分の退職事由と合致しているかどうかを確認しておきましょう。
というのも、例えばリストラなど会社都合による退職なのに「自己都合による退職」にされている場合があるのです。
それには、以下の理由が考えられます。
①会社都合による退職の場合、解雇予告通知書の発行や退職金の割り増しが必要になるケースがあるため、それを逃れようとしている
②会社都合の退職者が多い企業については、助成金を受けている場合に申請が出来なかったり、ハローワークに求人情報を公開できなかったりなど会社に不都合な事が起こるのを避けるため
あるいは、会社から事前に打診されて自己都合退職にされた方もいるかもしれません。
会社側は自己都合としても、本人は納得できない場合は、一番下の項目に「具体的事情記載欄」と「離職者本人の判断」欄がありますので、「異議『有り』」に〇を付け、ハローワークの窓口で申し出を行うことが可能です。
その際に、状況を説明できるような資料などを持っていくと、話がスムーズに進むでしょう。最終的にはハローワークが双方の申し出と事実関係を調査の上、正式に事由を判断します。
離職理由が自己都合であろうと会社都合であろうと、失業保険給付の手続はできますが、解雇などの会社都合による退社に対しては、一般的に手続き終了から8日目で失業給付が支給されるのに対し、自己都合の場合は最大3ヶ月の待ち期間が生じるという事が大きな違いです。
退職した理由によって雇用保険の失業給付の支給時期が最長で3カ月も変わってしまうことです。
そのため、退職理由が会社都合による解雇なのか自己都合による依頼退職なのか、会社側と話し合った上で退職する必要があります。
ただし、自己都合でも、病気などの以下の理由によって退職した場合は、特定理由離職者として失業手当の給付を
① 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
② 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第 20 条第 1 項の受給期間延長措置を受けた者
③ 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合
又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭
の事情が急変したことにより離職した者
④ 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
⑤ 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
ⅰ) 結婚に伴う住所の変更
ⅱ) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
ⅲ) 事業所の通勤困難な地への移転
ⅳ) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
ⅴ) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
ⅵ) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
ⅶ) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
⑥ その他、上記「特定受給資格者の範囲」のⅡの⑩に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者
の募集に応じて離職した者等
(※)給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。