普段共働きで収入が多いと配偶者控除を意識することはないかもしれません。
しかし育休中で収入が減れば配偶者控除・配偶者特別控除が使え節税できるかもしれません。そうだとしても条件や手続きの方法について知っている人は少ないかもしれません。この記事では、配偶者控除・配偶者特別控除の制度や手続き方法にについて解説します。
配偶者控除、配偶者特別控除とは、配偶者の収入が少ない場合、一定金額に達するまでは世帯主が納める税金を軽くする制度です。
2017年までは、夫が配偶者控除で満額38万円の控除を受けるためには、妻は給与収入を103万円以下に抑える必要がありました。また、配偶者特別控除を受けるためには、141万円以下に抑える必要がありました。
しかし女性の就労を促進するために2018年に、妻の給与収入の上限に変更がありました。
妻の給与収入が150万円までは満額の38万円の控除を夫が受けられるようになりました。
さらに、配偶者特別控除での上限は201万円以下までとなり、対象者が拡大されました。
配偶者控除・配偶者特別控除を利用できるかどうかを把握するために、まず育休に入る前の給与額を計算してください。
給料額の計算期間は1月1日から12月31日です。
出産育児一時金、出産手当金、育児休業給付金は非課税扱いになりますので計算する必要はありません。
また給料額は手取り金額ではなく税引き前の金額で計算してください。
共働きの場合には、夫婦ともにそれぞれ収入があるため配偶者控除を利用していないケースがあると思います。育休中には収入が減るため、控除が利用できる可能性があります。
所得税の課税はありませんので、もし給料から所得税が源泉されていたらその分は還付されます。勤務先の会社を通じて例年通り年末調整を行います。
配偶者の給料が年収103万円を超えても、配偶者控除を利用することができます。
住民税や所得税がかかる可能性がありますが、自治体によっては、住民税を減額・免除する制度を設けている場合もあります。
また配偶者特別控除の利用が可能です。勤務先で年末調整を通常通り行います。
年の後半から産休に入る場合に多いケースですが、年間の収入の合計が201万円を超えた場合には、配偶者控除・配偶者特別控除共に受けることができません。
この場合は勤務先に年末調整のみしてもらうことになります。
配偶者控除・配偶者特別控除を受けるためには、「年末調整」を利用します。
妻の給料額が配偶者控除・配偶者特別控除を受けるための要件を満たしている場合には、夫の勤務先に配偶者控除・配偶者特別控除の対象になる旨を伝えます。
例年11月頃に年末調整のための書類が配られますので、「扶養申告書」と「配偶者控除等申告書」に記載して手続きを行います。
自分の正確な収入額がわからない場合は源泉徴収票で確認をして下さい。源泉徴収票の「支払金額」の項目をみればわかります。
自分の勤務先から源泉徴収票が発行されるより、夫の会社の年末調整の締め切り早い場合には、勤務先の賃金台帳で確認することも可能です。
もし夫の年末調整の締め切りに間に合わなかった場合には、2月中旬から始まる確定申告で処理をすることになります。
自分が年末調整の処理をされているかわからない場合も、源泉徴収票を確認すれば処理の有無がわかります。
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」と「所得控除の額の合計額」の項目に記入がない場合は年末調整がされていません。
年末調整は勤務先が通常行いますが、何らかの事情によりなされていないこともあります。
そういうときには自ら確定申告をする方法を選択した方がよいでしょう。
なお、正確には「還付申告」と言います。
納めすぎた税金を返してもらう(還付)ためのもので、確定申告期間(2月16日~3月15日)とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間行うことができます。
そのため、過去の年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除を受けていなかった場合も、5年間さかのぼれます。
会社員として会社から給料の支払を受けて生活をしてる人は、フリーランスなどの個人事業主と違いなかなか節税を意識する機会はないでしょう。
しかし、このようにちょっとした情報を知っていることで会社員であっても節税できる場合があるのです。
妊娠・出産に引き続き育休を取得した場合には、配偶者控除・配偶者特別控除を利用できないか調べて下さい。