従業員の労働環境を管理する労務管理の仕事は、どの企業にも必要な仕事です。昨今は「働き方改革」により、労働基準法の知識がある人材が重宝されるようになってきました。本記事では、労務管理の資格として今注目を集めている「労務管理士」について、「社会保険労務士」との違いも交えて解説します。
労務管理という仕事は業務の領域が広いですが、労働基準法などの基本となる知識や、就業規則の運用など実践的な内容を把握しているかどうかを言うことを証明してくれるのが「労務管理士」です。英文表記ではLabor Management Adviser (LMA)と訳されます。
労務管理士は一般社団法人日本人材育成協会が資格試験を実施している民間資格です。
労務管理士は、20歳以上の者であれば性別・学歴・職業・経験は不問となっており、以下の(1)~(4)のいずれかの方法で資格認定されます。
全国主要都市において順次開催されている公開認定講座に参加して、その場で行われる資格認定試験に合格すれば、労務管理士資格を取得する事ができます。
講師から直接最新の法律知識と出題内容を実地で学ぶことができる方法です。
受講料及び受験料 10,000円(税込)
公開認定講座に出席することが難しい場合は、所定の通信研修(基礎課程)を履修することにより、通信による到達度試験を受けて合格すれば、労務管理士として登録できます。
受講料及び受験料 20,000円(税込)
実務経験を重視し、試験ではなく経歴と課題論文により審査する方法です。
以下の2点が必要になります。
・最低でも労務管理に関する3年以上実務経験の証明(経歴書または在職中の者は事業所の職務証明が必要)
・労務管理士資格取得者からの推薦
提出後に協会審査委員会で審査を行い、資格登録の合否を決定します。
審査料 20,000円(税込)
インターネット上でパソコン・タブレット・ スマートフォンを利用し、資格を取得する方法です。所定の研修(基礎課程)をeラーニングで履修することにより、インターネット上で資格認定試験(Web資格認定試験)を受験することが出来ます。
日時や場所を選びませんので、忙しい方でも受験が可能なうえ、受講料及び受験料が最も安価な方法です。
受講料及び受験料 8,000円(税込)
労務管理士は、現在労務管理の仕事についていない人でも、基本的なことから勉強できますので、充分合格が狙える資格です。
さて、労務管理の資格と聞いて、まず浮かぶのが「社会保険労務士(社労士)」という方も多いのではないでしょうか。
しかし、社労士は国家資格なので、ここでご紹介している民間資格である労務管理士とは大きな違いがあります。
以下のように名称こそ似ていますが、全く異なる資格のため、混同しないよう気を付けましょう。
※ 社労士の受験資格については以下の記事でも解説しています。併せてぜひご一読ください。
関連記事:社労士受験資格についてわかりやすく解説します
労務管理の仕事については、どの企業でも必要なため、経理担当者と並んで企業からの需要が高い業務です。
しかし、国家資格である社労士は超難関ですし、そもそも独立が前提の資格。企業が社労士の人を社員として採用することは難しいでしょう。
そういった企業の求人ニーズを満たすのが労務管理士です。
労務管理に関する知識があることがわかる人を採用したい企業にとって、労務管理士の資格を取得している人材であれば、基礎教育の手間も省けます。
経理担当者は簿記検定や税理士試験の科目合格といった、知名度の高い資格もあるのですが、労務管理担当については、今までは担当者同士の引継ぎなどで業務を回していたというところも少なくありません。
「働き方改革」により労務管理のあり方が問われるようになっている今、転職を希望している人に取っ手、労務管理士は非常にコスパの良い資格であるといえるのではないでしょうか。