働き方改革で長時間労働の是正をすべきと言われて久しいですが、実務は減るどころか増える一方。なかでも業務負担が高いのが、勤怠管理や給与計算など細かい作業が多い労務管理ではないでしょうか。本記事ではソフト導入で効率化が可能な労務管理業務について解説します。
労務管理業務は近年「働き方改革」の影響もあり、その業務範囲は広がる一方です。
例えば残業申請を未だに紙で届出し、勤怠時間管理を手計算しているところは少ないと思いますが、Excelなどで対応しているところは多いのではないでしょうか?
しかし、36協定など残業も含む労働時間管理に加え、有給休暇取得の消化状況、社員の入退社時の手続の管理やハローワークや税務署へわざわざ出向いての各種手続きなど、労務管理にはすべきことがたくさんあります。それらをちゃんと消化しているかを確認ながら進めていても手作業では抜けもれが生じることは避けられません。
こうした作業や手間の軽減を行うことができるのが、労務管理のシステム化です。特に最近では、データを作成するだけでなく、そのまま電子申請できるソフトに注目が集まっています。
労務管理のシステム化を可能にしてくれるソフトウェア導入により、効率化できる業務は以下の通りです。労務管理の領域は幅広いため、それぞれの業務にたいしてソフトがありますが、ソフトウェアの種類によっては連携して使うことが可能なものもあります。
従業員の入退社時に手続きが必要な社会保険(厚生年金・健康保険)や労働保険(雇用保険・労災保険)については、書類の作成もそうですが、年金事務所はハローワークなどに出向いて窓口で申請する必要があります。
所要時間を考えると労務管理ソフトの導入において優先順位の高い業務と言えるでしょう。
労務管理ソフトの導入により、必要項目を入力することで書類を作成、電子申請を行うことが可能です。
定期的に生じる給与・賞与と源泉徴収、また年末調整については、計算ミスが許されません。特に年末調整については扶養申請や保険の控除証明書などの必要書類を従業員からキチンと集める必要があり、年に1度のことなので、何度周知しても書類の書き方についての質問対応に時間を割かれてしまいます。
労務管理ソフトであれば、従業員が個々に必要情報を入力すれば書類が完成しますので、後は証明書などの回収を行うだけ。ドキュメントのチェックの手間も大きく軽減できます。
有給休暇の付与・取得状況や、残業時間を含めた勤務時間の把握など、給与計算の元となる情報だけでなく、労働基準法改正に伴う、労働時間の「客観的な把握」に役立つ勤怠管理ソフト。
Excelなどで管理しているところも多いと思いますが、集計結果はわかっても、それをどう運用すれば良いかとなると、ソフトウェアの方が便利です。
「働き方改革」における有給休暇の付与や労働時間管理については以下の記事でも解説しています。併せてぜひご一読ください。
・有給休暇の付与タイミングと日数について
・「有給休暇取得の義務化」について知っておきたいこと
・労働時間の管理が義務化されます
従業員の所属や入社年月、住所家連絡先、マイナンバーや扶養家族の情報などの個人情報については、厳格に管理する一方、必要に応じてさっと取り出せるようにしておく必要があります。ソフトによってデータベース化して管理することで、最新情報へのアップデートも簡単に行うことができます。
労務管理をシステム化してくれるソフトウェアについては、近年改善が進み、新しいタイプのシステムが続々登場しています。
ソフトによってインターフェースや操作性の違いがありますが、直感的に好みの問題もあるので、比較検討して選ぶのが望ましいです。
また、最近は経理ソフトと同様、法改正に関する変更がリアルタイムで行われるクラウド環境の労務管理ソフトがシェアを高めています。
サブスクリプション契約になりますが、法改正の都度追加料金を支払うよりも毎月(毎年)の支払いを一定額にして経費の見込みを立てやすいというメリットもあります。
それでは、具体的にいくつか紹介していきましょう。
クラウドで労務管理を行うソフトのシェアでNO.1を誇るソフトです。テレビ朝日やメルカリなど多くの有名企業で採用されています。。
入社手続きについては、従業員が自分で直接入力するシステムなどを取り入れており、オプション機能や外部サービスと連携することで、自社にあった使い方にカスタマイズできます。
もちろん「e-Gov」の電子申請も可能です。
こちらもクラウドで労務管理を行うことができるソフト。労務手続き、年末調整、有休管理、Web給与明細、マイナンバー管理機能を持つシステムで、オールインワンで使うことができるのが魅力です。119種類の帳票に対応しており、もちろん「e-Gov」の電子申請も可能です。
労務管理における社会保険手続きを簡単にするソフトです。既に他社の社会保険システムを使っている場合でも、そのデータを取り込むだけで電子申請に簡単に移行できるのが特徴。また、専用ソフトなだけあって、社労士の導入も多くあり、社労士検索などもできます。
これからも労務管理業務は、管理項目が増えることはあっても減ることはないでしょう。つまり、アナログで業務を行っている場合は、その都度変更を迫られてしまい、担当者にかかる負担が大きくなります。労務管理ソフトであれば、アップデートによって法改正の導入や計算も自分で変更する必要はありません。もしITが苦手であっても、導入者向けサポートが充実しているものを選ぶことで、業務の棚卸と効率化を図ることができるでしょう。