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4大監査法人でのコンサルとしての仕事

公認会計士 大国光大
4大監査法人でのコンサルとしての仕事

監査法人の仕事として真っ先に思い浮かぶのが監査の仕事でしょう。これは事実として監査法人に入所するとほとんどの人が監査の仕事を一から学び、仕事をすることとなります。それ以外にもよく言われる「コンサル」という仕事があります。では4大監査法人におけるコンサルというのはどのような仕事か、解説します。

監査法人での監査とコンサルの同時提供禁止

4大監査法人であれば超有名企業の監査もしている為、そのつながりでコンサルティングも行えば収益構造も倍々ゲームで膨らむと思う人もいるでしょう。

しかし、監査証明は独立した第三者として行わなければならず、仮にコンサルで多額の金銭を貰っているとしたら独立した第三者なのではないかと世間から疑念に思われるかもしれませんし、本人もある程度のことに目をつぶってしまうリスクがあります。

よって、監査証明を提出している会社に同時にコンサルティング業務は原則禁止とされていて、限られたコンサルティングのみ限定的に行うことが許されています。よって、監査法人は他のコンサル会社よりも若干制限の中での業務提供となります。

4大監査法人におけるコンサル業務

では、監査法人としてのコンサル業務としてはどのようなものがあるのでしょうか。それぞれの内容と向いている人物像を紹介します。

内部統制コンサル

日本の上場企業では、自ら内部統制を構築し、自社で内部統制の有効性を評価し、その上で監査人によって内部統制の評価を受けることになります。内部統制というのは簡単に言えば社内で不正が起こらないように相互に監視、牽制する仕組みを言います。

このような仕組みを自社で一から作ろうと思ってもどのようなことをすればよいのか、また内部統制をどうやって評価していいのかわからないことも多いです。この点、公認会計士は色々な会社の内部統制やその評価方法を見てきている為、内部統制構築とその運用評価のコンサルをすることがあります。

内部統制コンサルは企業の業務の流れを順番に把握していくことや規程の有無、規程通りの運用がされているかどうか等細かいことも一つずつ潰していく忍耐力が必要となります。

4大監査法人におけるコンサル業務

国際財務報告基準(IFRS)コンサル

国際財務報告基準、通称IFRS【International Financial Reporting Standards】は上場企業であれば日本基準の代わりに任意適用をすることができます。最近IFRSにする会社が増えているのは、国際的にIFRS適用会社が増えていることもあり、財務諸表を比較しやすいものにするためです。

外国人投資家からしても、日本基準で作られた財務諸表よりもIFRSで作られた財務諸表の方が意思決定がしやすい為、投資家の中にはIFRSであれば投資をする、というポリシーを持っている機関もあります。

IFRSコンサルは企業の内情、会計処理について詳しくなるだけではなく、論点が網羅的につぶされているかどうか、IFRSの原文はどうなっているか等の多方面からの視点が問われます。また、IFRSは年々新しい基準が出ていますので、新しい基準に対する勉強も欠かせません。

よって、物事を大局的に見れる視点といつまでも勉強をする精神力、原文を読む英語力が必要です。現在では株式公開をしてすぐにIFRS適用している会社もあるほどで、これからもますます必要なスキルであると言えるでしょう。

IPOコンサル

IPO【Initial Public Offering】(株式公開)をしようとしている会社は中小企業と上場企業の間の規模であることが多く、ある程度組織になりつつあるも会計処理や規程類は中小企業特有のものであることが多いです。よって、短期間で様々なものを作ったり変えたりする作業が必要になってきます。

IPO経験者でマンパワーもある会社であれば良いですが、なかなかそのような人材がいないとなると他者の手を借りたくなるものです。

そこで、公認会計士として諸規定の整備や内部統制の整備、上場会社としての会計処理や連結財務諸表作成支援などのコンサルを行う場合があります。IPOコンサルはコンサルといいつつも手を動かす作業も多くなるため、細かい作業もいとわないことが重要となります。

ディスクローズコンサル

最近は海外の投資家も増えてきたこともあり、英文財務諸表や英語での情報公開をする企業も増えてきています。そこで、財務諸表の英訳や円建ての決算書をドル建てに変更して公開することも多くなっています。企業がグローバル化しても経理人員は英語に抵抗感があったり、英語は得意でも専門用語には抵抗感があったりする場合も多いです。

そこで、英語が得意であれば公認会計士として翻訳やドル建てに変換することも仕事の一つとなります。英語が得意であっても文字の打ち間違いや数字の変換ミス等をすると企業の公開する財務諸表そのものの信頼性が薄らいでしまうため、ミスを極力防ぎながら仕事をするスキルが求められます

まとめ

4大監査法人では監査以外にも色々なコンサル業務があります。監査そのものに飽きてしまってもこれらのコンサル業務が面白くて監査法人に残る人もたくさんいます。自身のキャリアの一つとして、コンサルティングも含めてみるのはいかがでしょうか。

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この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
カテゴリ:コラム・学び

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