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会計×ITデジタルの最先端!犯罪捜査に欠かせないフォレンジック業務とは?

HUPRO 編集部
会計×ITデジタルの最先端!犯罪捜査に欠かせないフォレンジック業務とは?

会計業界でにわかに注目度が高まりつつある「フォレンジック」。まだまだ一般的な業務ではないため、馴染みがないという方も多くいらっしゃることでしょう。しかし、これから耳にする機会も増えるはずです。「え、知らないの?」と思われないよう軽く勉強をしてみませんか。今回はフォレンジックについて簡単に解説していきます。

フォレンジックとは?

「フォレンジック」は犯罪捜査やそれに伴う分析、鑑識などで使用される言葉です。犯罪捜査のためのデータ分析やアクセスログの解析など、犯罪を立証するための情報収集や情報解析が該当します。情報セキュリティ、そして法律と深い関係のある言葉です。

アクセスログを追ったりインターネット上の痕跡を探したり、デジタル面から行われるフォレンジックのことを、「デジタル・フォレンジック」とも呼びます。

また一方、「フォレンジック会計」や「フォレンジック・アカウンティング」と呼ばれるフォレンジックも存在します。これは会計の知識を使ったフォレンジックのこと。ここからの章で詳しくみていきます。

フォレンジックの具体的な仕事内容

最もイメージしやすいフォレンジックの仕事は、第三者チームによる内部調査でしょう。ニュースなどで、企業で不正が発覚した際に第三者委員会が立ち上がったと聞いたことがあると思います。フォレンジックを行なっているのがこの第三者委員会です。

粉飾といった会計上の不正に加え、情報漏洩、着服・横領、独禁法違反、贈収賄、知的資産のライセンス違反等、様々な分野が対象となります。第三者委員会が行うのは事後調査ですが、不正を発見する調査や、不正防止体制を構築するコンサルティング業務などを行うこともあります。さらに、法的証拠として使用するためのデータの収集や損害額の算定、米国訴訟での電子証拠開示への対応など、係争支援業務もあります。

会計業界におけるフォレンジック

会計業界でフォレンジックというと、主にフォレンジック会計のことを指します。フォレンジック会計とは、会計の専門的な知識を使って、企業の犯罪や内部不正を明らかにしたり、裁判に耐えうるデータを集めたりすること

具体的には、粉飾決算や脱税、横領や賄賂などを見つけ出したり、その証拠を集めたりします。その内容の性質から、「法廷会計学」や「訴訟会計」と呼ばれることもあります。

フォレンジックは、日本より先に海外で発達した考え方です。アメリカの有名な粉飾決算事件であるワールドコム事件でも活用されていました。

会計業界におけるフォレンジック

フォレンジックと会計士の関係性

ではフォレンジックと会計士、この2つにはどのような関係があるのでしょうか?

フォレンジックは、インターネット上の情報を解析したり集めたりと、ITの専門的な技術を必要とします。そして、そのIT技術を駆使して取得したデータを会計的なデータと結び付けていくときに会計士が活躍することになります。

フォレンジックが取り扱う範囲は非常に幅広いものです。不正会計、粉飾決算、賄賂、詐欺、独占禁止法違反、知的財産権の侵害などといった多種多様な犯罪行為に関する知識が必要となってきます。これらを扱うためには、民事・刑事を問わず、法律に対する広くそして深い知識が必要なのです。

IT技術によって判明したデータの数値が不正会計によって生み出されたものではないか、または法律に反した会計処理がなされていないかなど、専門的な会計知識を活かした判断が必要となる場面でフォレンジックに対する専門的な知識を持つ会計士は必要とされています。

ITの専門家は、不正ログの解析やインターネットアクセスの追跡などはできますが、そこから出てきたデータを試算表や伝票、証言者の話などと結びつけることはできません。なぜなら、会計的な知識と法律の知識が必要となるからです。この2つを兼ね備えた存在がフォレンジック会計士。データと会計を結び付けるためにフォレンジック会計士は必要とされているのです。

フォレンジック業務に資格は必要?

フォレンジック業務を行うために、絶対に保有していなければならない資格はありません。しかし、その業務の専門性がゆえに、ハイレベルな資格を保持している方も多くいます。会計士資格、税理士資格、USCPAなどの会計系資格に加え、フォレンジック専門の資格保有者が業務にあたっているケースもあります。

フォレンジック専門の資格には、ITの資格である「デジタル・フォレンジック資格認定」、そして会計の資格である「公認フォレンジック会計士 (Certified Forensic Accountant)」や「公認不正検査士 (Certified Fraud Examiner)」などがあります。

フォレンジック業務に興味のある方にとっては見逃すことの出来ない資格。今から取得を目指されてみてはいかがでしょうか。

フォレンジックに活かせる経験

不正調査においてまず活かせるのは監査業務の経験でしょう。具体的には会計監査や内部統制監査等で得た知見やヒアリングスキルなどが挙げられます。ただ、監査ができれば問題ないとは言い切れません。監査で疑義が生じた部分から不正調査が入ることも多く、調査自体の難易度は上がりますし専門性もより高くなると言えるでしょう。

また、コンピュータやソフトウェアに関するある程度の知見も持っておくとベターです。コンピュータのログや履歴の収集がフォレンジックにおいては重要になります。IT系の専門スタッフがほとんどの場合は担当するとはいえ、不正の有無や事実関係判断のための材料として、コンピュータやソフトウェアのしくみへの理解はプラスに働きます。さらに、監査業務と比べるとより多くの量のデータを扱うため、事務処理能力としてのITスキルを習得しておくのがより良いといえます。

同様に、不正に対する疑義を発見できる程度の法務知識は持っておいた方がいいでしょう。知的財産法や著作権法、労働法などがこれに該当します。

まとめ

インターネットで出来ることが広がれば広がるほど、ITが生活と密接に関われば関わるほど、フォレンジックの重要性は増していきます。それと同時に、フォレンジック業務を専門的に行うことができる会計士の希少価値も上がっていきます。フォレンジック業務を行うことができる会計士は、一般的な会計業務に精通している会計士と比べるとまだまだ不足しています。

これからますますその需要が増してくると予測されるフォレンジック会計士。希少価値のあるこの知識、競合相手が少ないうちから情報収集を始めてみることをおすすめします。

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