社会保険労務士試験を受験するためには、1.学歴、2.実務経験、3.厚生労働大臣の認めた国家試験合格のいずれかの受験資格が必要です。それぞれ、受験資格を証明するための書面が必要になりますが、本記事では実務経験で社労士試験を受験する場合の「実務経験証明書」について解説します。
社会保険労務士を受験するにあたって必要な受験資格のうち、「実務経験」は以下の5つのカテゴリーに分けられます 。
出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト:社会保険労務士試験の受験資格
社労士試験を受験する際は、例えば学歴の場合は、学校の卒業証書、試験合格については合格証書など、受験資格を有することを証明できる書面の提出が必要です。
社労士試験の受験資格については以下の記事でも解説しています。併せてぜひご一読ください。
前述の通り、学校や試験の合格のような卒業証書や合格証書がある場合は、その写しを提出すれば良いのですが、実務経験の場合はどのように証明すれば良いのでしょうか?
実務経験については、専用の書面「実務経験証明書」がありますので、そちらに記入・押印する必要があります。
印鑑は直接押印する必要がありますが、必要項目の記入についてはパソコンでおこなっても構いません。
もし、手書きで内容を修正したい場合は、訂正箇所を二重院で消し、必ず証明者の訂正印(証明印と同じもの)を押印する必要があります。
また、卒業証書や合格証書とは異なり、「実務経験証明書」はコピー不可。作成した原本そのものの提出が必要です。
以下、様式と一般の会社の場合の記入例をご覧ください。
出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト:社会保険労務士試験の受験資格:様式1号(受験資格証明書用の「実務経験証明書」)【受験資格コード:08、09、11、12、13用】より
実務経験の証明者は原則として代表者・事業者・任命権者のいずれかです。
証明印は「社判」と「代表者の役職印(個人の印鑑ではありません)」の2つが必要になります。
なお、会社名及び役職名が一つの印で確認できる場合(「○○株式会社代表取締役之印」など)は一つの証明印で構いません。
職歴が長く、所属部署が多い場合で、1つの会社等の証明書が複数ページになる場合は、証明者が1名であっても、それぞれのページに証明印を押印します。そして、同じ会社の証明書の左側に箇所をホチキスで留め、各ページの間全てに証明書の割印が必要です。
他の受験資格の場合も、社会保険労務士試験オフィシャルサイト:社会保険労務士試験の受験資格に記入例がありますので、ご参考にしてください。
受験者の実務経験については代表者が証明することになっています。
それでは法人等の代表者もしくは個人事業主本人が受験する場合は、どうすれば良いかというと、以下の通り、本人以外の人から2名以上の証明書が必要になります。
法人代表者の場合:他の役員2名以上の証明
個人事業主の場合:他の従業者2名以上の証明
2名以上で証明書を作成する場合は
・1枚の証明書に連名で記名押印したもの
もしくは
・証明者1名ごとにそれぞれ1枚ずつ証明書を作成します。
受験者が元の会社から別会社に出向している場合は、*出向先*会社の代表者等にて「実務経験証明書」の記名・押印が必要です。
派遣社員の場合は、出向社員とは異なり、派遣元の人材派遣事業者の代表者にて「実務経験証明書」の記名・押印が必要です。
実務経験の証明は、通常はその会社や団体の代表者による押印が必要になりますが、会社倒産などでかつての職場がすでに存在しない場合は、実務経験を証明してくれる2名以上の証明があれば社会保険労務士試験の受験資格証明が可能です。
会社という組織を離れても、当時の代表者や上司、同僚などとは交流が続いているようであれば相談してみましょう。
その場合の記入は以下の通りになります。
①会社等の所在地:証明者の現住所・電話番号を明記する
② 役職:「元○○株式会社 代表取締役社長 ○○」とする
③ 印鑑:証明者の個人印を押印する
社労士試験においては、実務経験という言葉が受験時と登録時の2回にわたって出てきます。 受験資格の実務経験と、社労士試験合格後に社会保険労務士としての登録に必要な「2年の実務経験」については別物です。
試験合格後に、社労士として登録するためには「2年間の実務経験(従事期間証明書)」が必要となっています。
実務経験なく学歴などで受験された方の場合は、試験に合格しても実務経験がありませんので社労士としての登録ができません。
この場合は、「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」を受講することによって、登録要件に替えることができます。
こちらはあくまで、試験合格後に行われるものです。
受験資格として実務経験を選択される方は、所定の実務を行った証明として「実務経験証明書」の提出が必要になりますので、ご注意ください。
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