近年、米国公認会計士(USCPA)の資格に注目が集まっています。USCPAの合格率は近年どのように変改しているのでしょうか?そこで今回の記事ではUSCPA試験の合格率の推移や他資格の合格率との比較をしていきます。USCPA取得を検討されている方は是非ご覧ください!
USCPAはFAR (財務会計)、AUD (監査論)、BEC (企業経営環境・経営概念)、REG (商法・税法)の4科目があり、それぞれの試験に75点以上の得点を取ることで合格することができます。
USCPAの登録には4科目すべての合格が必要となり、1科目ごとの合格有効期間は18か月です。試験は1年に4回の試験日程が設定されており、どの科目を受験することもできるため、自由度の高い資格試験です。
予備校のUSCPAのパンフレットには**合格率50%</span>といった宣伝言葉が記載されることもありますが、実際に全世界の受験者の科目ごとの合格率は50%を超える年も多いです。また、USCPAは記述式の試験ではなく、マークシート式の試験**ということもあり、日本の公認会計士などと比べて受験しやすいシステムとなっています。
それではUSCPAの難易度推移を考えるにあたり、年度別の合格率の推移を確認していきましょう。USCPAの合格率はAICPA(American Institute of Certified Public Accountants)のホームページから確認することができます。年、四半期ごとに合格率を確認することができますが、ここでは年の累積合格率を見ていきます。
2017年 FAR 44%、AUD 49%、BEC 53%、REG 47%
2018年 FAR 46%、AUD 51%、BEC 59%、REG 53%
2019年 FAR 48%、AUD 52%、BEC 60%、REG 56%
2020年 FAR 50%、AUD 53%、BEC 66%、REG 62%
2021年 FAR 45%、AUD 48%、BEC 62%、REG 60%
USCPAの試験は、75点以上取れば合格するため相対評価でなく絶対評価 だと思われます。そのため、受験者のレベルが上がれば上がるほど合格率は高くなる傾向にあります。試験の絶対的な難易度については、もちろん年によってばらつきはありますが基本的には大きな変化はありません。
SNSや動画などでUSCPAの効率的な合格方法などのノウハウが広まり、受験者のレベルが上がったことで、USCPAの合格率が増加傾向にあるものと考えられます。2020年において合格率が異常に高いのは新型コロナウイルスの影響でロックダウンやリモートワークが導入された結果、受験生がたくさんの勉強時間を割くことができたからではないでしょうか。
また、科目ごとにも合格率はバラバラで、FARの合格率が一番低く、BECの合格率が高い傾向があり毎年変化はありません。BEC (企業経営環境・経営概念)は大学の授業でどの学部もそれなりに勉強することが多く、馴染みの深い科目であること、逆にFAR (財務会計)は取っつきにくい科目であることが要因の一つでしょう。
ここでは、USCPAのほかにも簿記1級、公認会計士、弁護士の合格率の推移を確認してみます。
簿記1級
8.8%(2017年6月)
5.9%(2017年11月)
13.4%(2018年6月)
9.0%(2018年11月)
8.5%(2019年6月)
公認会計士
11.2%(2017年)
11.1%(2018年)
10.7%(2019年)
弁護士
25.9%(2017年)
29.1%(2018年)
33.6%(2019年)
簿記1級の合格率は毎回変動が大きいが10%程度の水準、公認会計士の合格率は10%~12%の間で安定、弁護士の合格率は増加傾向にあり初めて30%を超えました。もちろん、受験者のレベルによって難易度が異なるため、資格間の難易度を図ることはできませんが、難易度の変化は知ることができます。他の資格に比べて、USCPAは合格率の増加傾向と絶対的な合格のしやすさという点でお勧めできる資格です。
USCPAの難易度変化によって、日本人の資格保有者も以前と比較して増加してきました。アメリカ人以外でUSCPAを保有している人が多いのは日本人です。そこで、USCPAのほかにはどんな資格を保有すると良いでしょうか。最初に考えられるのはTOEICやTOEFL、英検といった英語関連の資格です。
もちろん、USCPAを保有することである程度英語ができることの担保になるのですが、USCPAの試験はリーディング能力しか必要がありません。リスニングやライティング、スピーキングを鍛えるためにも他の英語試験を受験することがお勧めです。英語関連の資格以外だと、日本の公認会計士も取得することでダブルライセンスとすること、弁護士などの他の高難度資格との組み合わせも考えられます。
ダブルライセンスとなれば、就職や転職において幅広い業界、業種に挑戦することができます。USCPAを保有していれば日本の会計士試験にもほとんどの部分を応用できるため、初学者と比べて勉強時間を少なくすることができます。
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USCPAは国際的に有名な資格であり、取得すると国際的な舞台で活躍できる可能性が上がるだけでなく、国内でも有利な資格です。合格率も公認会計士や簿記一級と比べると高く、合格率も近年上昇しており、魅力的な資格となっています。