簿記をやる際に、一つの方法でなく、いろいろな方法があります。三分法は、商品を売上げた際の記帳の仕方の一つです。三分法以外にも、分記法という方法もあり、その違いについても知っておくとおすすめです。簿記3級の試験を受ける際も、三分法の仕方が問われますので、今回は、三分法について詳しく解説していきます。
三分法とは何かですが、商品を売買に関する記帳の仕方の一つです。商品に関して「仕入勘定」「売上勘定」「繰越商品勘定」の3つに分けて記帳する方法が三分法です。
具体的に紹介しますので、実際に見ていくとわかりやすいでしょう。
800円で12個仕入れ、10個9,000円で売れた場合の仕訳を例にとります。
商品を仕入れた時と売り上げた時の仕訳です。
800円の原価の商品を12個仕入れた
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
仕入れ | 8,600円 | 現金 | 9,600円 |
900円の売価で10個販売
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
現金 | 9,000円 | 売上 | 9,000円 |
仕入れ時の仕訳は、借方は「仕入」とし、仕入原価での入力となります。
商品を売り上げた時は、売れた商品の売価での入力をします。
この時点で売れた商品の仕入原価をはっきりさせていないのが三分法の記帳の特徴です。多くの商品を販売している場合に、その商品の仕入原価がいくらなのか、把握しづらいこともあるでしょう。貸方「売上」として、まず仕訳をする方法です。
そして、三分法では、全部販売できなかった場合の決算の時には、「繰越商品勘定」として処理し、「仕入勘定」「売上勘定」「繰越商品勘定」を使いながら仕分けるのが特徴です。
三分法での決算時点での繰越処理については、下記を参考にしてください。
今期の前の期首の繰越商品をまず仕入に挙げて処理します。
期首に3個残っていた800円の原価の商品を仕入に
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
仕入れ | 2,400円 | 繰越商品 | 2,400円 |
今期原価800円の商品5個が売れずに残っていたため、仕入から繰越商品へ
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
繰越商品 | 4,000円 | 仕入れ | 4,000円 |
決算で繰越商品の処理をすることで、商品の売買益が明確になります。
決算時の残高試算表では、下記のように試算されます。
仕入9,600+2,400-4000=8,000円(これに対して売上9,000円で、商品売買益は1,000円です)
繰越商品 4,000円
三分法の仕訳について具体的に見てきましたが、分記法の場合と、どう違うのかも気になるでしょう。分記法の場合は、まず、商品を仕入れた時から仕訳が異なります。
仕入原価800円の商品を12個仕入れた
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
商品 | 9,600円 | 現金 | 9,600円 |
仕入ではなく、「商品勘定」で計上をします。
そして、売れても、売上として挙げずに、最初から、商品の原価と利益を分けて、貸方に記帳するのが分記法の特徴です。仕入、売上の考えではなく、「商品」と「商品売買益」で分けて最初から記帳します。
仕入原価800円の商品を10個販売
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
現金 | 9,000円 | 商品 | 8,000円 |
商品売却益 | 1,000円 |
最初から、それぞれの商品の仕入原価がわかっているのが原則の仕訳です。しかし、多くの商品の仕入をしている場合は、商品が売れたごとに仕入原価を調べて分記法で仕訳をするのは面倒に感じることが多いでしょう。
具体的に、三分法と分記法の違いについて紹介しましたが、商品が売れた際にすぐにその売れた分の仕入原価がわかって、商品売買益がその場でわかるのが分記法の記帳のメリットです。しかし、その分、仕入れ原価を調べないといけないのは面倒でデメリットです。
三分法ですと、仕入と売上で単純に仕訳をしていくことができて楽なのがメリットとなります。しかし、売れた商品の原価については、その時点ですぐにわかっていないのがデメリットと言えるでしょう。商品売買益を知るためには、決算時に繰越商品の処理をすることで、商品売買益を知ります。商品売買益を知るのが遅くなるのがデメリットとなります。
三分法も、分記法も、商品を売り上げた時の処理の仕方の方法です。売上原価を早く知りたい時は、分記法の方がわかりやすく思えるでしょう。売上原価を知る方法として、2つの方法があることをよく理解して、メリット・デメリットを知っておくとおすすめです。簿記の試験で、仕訳の問題などが出されても解きやすいでしょう。
一般的には、多くの商品を取り扱うことが多いため、三分法で仕訳をすることが多くなります。簿記の試験でも、三分法が多く出ますので、よく理解しておくといいですよ。
仕入勘定と売上勘定でその都度処理し、売上による商品売買益は、決算時にしっかり行うのが三分法です。この方法が楽で、考えやすいため、現在では三分法が多く使われています。
勘定科目自体、三分法では「仕入勘定」「売上勘定」「繰越商品勘定」の3つを使うのに対し、分記法では、「商品勘定」「商品売買益勘定」を使う点が大きく異なります。
違いを良く知った上で、三分法について、しっかり理解して仕訳も練習しておくとおすすめです。分記法についても、仕訳が出されることがありますので、対比して知っておきましょう。
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