毎年会社から配布される「源泉徴収票」。源泉徴収票を見ると、会社から支払われた給与といくらの所得税を納めたのかが分かるようになっています。本記事では源泉徴収票が必要な時について詳しく解説します。
源泉徴収票が必要な場合は退職と転職が同じ年にあった場合です。
会社を退職した場合、年末にその企業で年末調整を受けることができません。
しかし、年内に再就職した場合は、転職先で前職とあわせて年末調整を行うために、前職での源泉徴収票の提出を求められます。
前職の給与支払の締日によっては、年度をまたいでも源泉徴収票が必要になるパターンもあります。
例えば、2019年12月に退職し、2020年1月に12月分の給与が支払われた場合であっても、2020年中に次の会社に入社したのであれば、前職の源泉徴収票を転職先に提出しなければいけません。
2020年の源泉徴収票が前職から発行されるからです。
逆に、2019年10月に退職し、次の職場への転職が2020年1月で、最後の給与も2019年中に全て支給され、2020年に入ってからは一切前職からの支払を受けていない場合は、転職先への源泉徴収票の提出は不要です。
その代わり、2019年の給与については、原則として自分自身で確定申告をすることになります。また、転職したのが年末に近く、転職先の会社で行われる年末調整に間に合わないような場合も、自分で確定申告を行うことになるでしょう。
確定申告では年末調整時の還付金が帰って来るパターンが多いです。しかし退職金や賞与などを多くもらい、本来は所得税を追加納税すべき人がもし確定申告を行わなかった場合、「延滞税」や「加算税」として、本来支払うべき額より高い税金を徴収されてしまう可能性があるため気を付けましょう。
次に、源泉徴収票が必要なのは、確定申告を行う時です。
2019年4月より、確定申告時の源泉徴収票の添付は不要になっていますが、確定申告書には、源泉徴収票等の内容を記載する必要があります。
そのため手元にないと記入ができません。
また、税務署等で確定申告書を作成する場合には、内容のチェックのために源泉徴収票が必要です。忘れずに持っていくようにしましょう。
出典:国税庁WEBサイト お知らせ:国税関係手続が簡素化されました
確定申告を行うのは以下のような場合です。
サラリーマンの方の医療費控除やふるさと納税については、スマホでの確定申告もおすすめです。本サイトで以下の通り記事にしておりますので、ぜひご一読ください。
前年の支出と支払った税金を証明してくれる源泉徴収票は、収入金額を証明する書類として提出を求められることがあります。
例えば、以下のようなケースです。
これらの申請には所得証明が必要な場合が一般的です。こうした時に源泉徴収票を提出することでそれに替えることができます。
基本的に源泉徴収票を発行することは会社の義務です。
所得税法第226条では、通常は該当年の翌年の1月31日まで、中途退職者については退職日から1ヵ月以内に源泉徴収票を交付しなければならないと定められています。
不注意で源泉徴収票をなくしてしまった、もしくは会社が発行してくれないなど、手元に源泉徴収票がない場合はどうすればよいのでしょうか?
源泉徴収票をなくしてしまった場合は、前の会社に再発行を依頼します。再発行にかかる時間はだいたい1~3週間程度です。
前職の会社からなかなか源泉徴収票が送られてこない、あるいは前職の会社が倒産してしまい源泉徴収票以前に必要な書類が届かないというケースもあります。
前の会社にお願いしても源泉徴収票を交付してもらえない場合は「税務署や労働基準監督署に相談する」ことを伝えてみましょう。税務署に相談すると、税務調査が入ることになるので会社としては避けたいところ。
それでも発行されない、もしくは会社が倒産してしまって連絡が付かないなどという場合は、税務署に相談し、「源泉徴収票不交付の届出書」にて手続します。
前職でもらった給与明細書等が支払額の証明となりますので、退職しても大事に取っておいてくださいね。
当コラム内では、源泉徴収についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。
・「源泉徴収(げんせんちょうしゅう)」についてその手続きを解説
・源泉徴収の仕組みとは?所得税の計算方法を簡単にわかりやすく!