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源泉徴収の仕組みとは?所得税の計算方法を簡単にわかりやすく!

HUPRO 編集部
源泉徴収の仕組みとは?所得税の計算方法を簡単にわかりやすく!

この記事では、源泉徴収の仕組みについて簡単にわかりやすく解説いたします。
源泉徴収とは、ごく簡単にいえば「給料や報酬を支払ってもらう相手に、自分の所得税の計算と納税を代わりにやってもらうこと」です。
所得税の申告漏れや納税漏れを防ぐために大切なルールですので、計算方法や徴収が必要なケースについて理解しておきましょう。

源泉徴収の意味とは

源泉徴収とは、所得税を納税方法の一つです。

日本国内で収入を得ている人は、1年に1回は必ず自分の所得税を計算し、税務署という役所に納めなくてはなりません。

しかし、中には所得税の計算方法がわからない人や、バレなければ良いということで納税の義務をはたさないでおこうとする人もいるでしょう。

そういった人たちのために、「お金を払う側の人」に、「お金を受け取る側の人」の所得税をあらかじめ計算して納めさせるルールにしたのが、源泉徴収です。

例えば、従業員を雇ってお給料を払っている企業は、その従業員の人たちの所得税の計算を代行して税務署に納めています。

また、企業は弁護士や税理士といった専門家や、ライターやホステス、講演家といった人たちに報酬を支払うときにも、報酬の中から彼らの所得税をあらかじめ天引きして税務署に納めます。

源泉徴収とは、収入の「源泉(お給料や報酬)」から、あらかじめ所得税を「徴収」して納める方法のことをいいます。

勤務先の企業などに源泉徴収をしてもらった人は、自分で所得税の計算や納税を行わなくても、納税の義務を果たすことが可能となります。

源泉徴収される所得税額の計算方法

サラリーマンやアルバイトとして仕事をされている方は、お給料明細に「源泉所得税」として天引きされている項目があるのをご存知でしょう。

これは「勤務先企業がお給料から源泉徴収して納めた所得税の金額」と言う意味です。

本来あなたが自分で計算して納めるべき所得税を、会社が代わりに計算して納めましたよという報告をしているわけですね。

当然ながら、お給料を支払った会社は何らかのルールに従ってこの源泉所得税の金額を計算しているわけですが、以下では具体的にどのように計算がされているのかについて解説いたします。

お給料の場合

お給料から天引きされる源泉所得税の金額は、「源泉徴収税額表」という一覧表に記載されている金額に従って計算します。

源泉徴収税額表は国税庁のホームページで誰でも見ることができますから、最新の年度分を確認してみましょう。

2019年分の源泉徴収税額表

源泉徴収税額表の一番左側には「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」という項目があります。

これは、お給料の月額から、健康保険や厚生年金、雇用保険料などを差し引きした後の金額のことをいいます。

その右側には「扶養親族等の数」がありますが、これはあなたが生活の面倒をみている家族の数(配偶者を含みます)のことです。

ただし、年齢16歳未満の人はここでの計算には含まないので注意してください。

例えば、あなたが生活の面倒をみているのが「奥さん・長男(16歳)・次男(15歳)・三男(14歳)」の合計4人だった場合には、奥さんと長男が扶養親族に該当しますので、2人ということになります。

「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と、「扶養親族等の数」の2つの情報がわかったら、源泉徴収税額表にそれぞれの数字をあてはめて源泉所得税の金額を確認してみましょう。

例えば、次のような人の場合、源泉所得税の金額はいくらになるでしょうか。

・お給料の基本給:200,000円
・残業代:20,000円
・通勤代:5,000円
・健康保険料:10,890円
・厚生年金保険料:20,130円
・雇用保険料:675円

この人の場合、以下のように源泉所得税の金額は「1,320円」となります。

・その月の社会保険料等控除後の給与等の金額:193,305円
・扶養親族等の数:2名(奥さんと16歳の子供1人)
・源泉所得税の金額:1,320円

源泉所得税の金額は、お給料が高く、親族が少ない人ほどたくさん徴収される仕組みとなっています。

報酬の場合

源泉所得税は、お給料だけではなく、個人事業主として活動している自営業者の方も徴収されることがあります。

報酬から源泉所得税を徴収されるかどうかは、その人が営んでいる事業の種類によって異なります。

具体的には、以下のようなかたちで報酬を受け取っている個人事業主は、得意先から報酬を受け取るときには源泉所得税を徴収してもらう必要があります。

イ 原稿料や講演料など
ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 映画、演劇、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

国税庁ホームページ:報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲

これらのかたちで受け取った報酬からは、以下の計算式で計算した金額の源泉所得税が徴収されることになります。

・源泉所得税(報酬額100万円以下の場合)=報酬金額×10.21%
・源泉所得税(報酬額100万円超の場合)=(報酬金額−100万円)×20.42%+102,100円

なお、この場合の「報酬金額」とは消費税を含まない金額です。

例えば、講演料として180万円を受け取ったとすると、以下のように請求書を作成すると良いでしょう。

・講演料:1,800,000円
・源泉所得税:(1,800,000円−1,000,000)×20.42%+102,100円=265,460円
・消費税:1,800,000円×10%=180,000円
・ご請求額:1,800,000円+180,000円−265,460円=1,714,540円

まとめ

今回は、源泉徴収の仕組みについて解説いたしました。

源泉徴収とは、簡単にいえば「給料や報酬を支払う人に、自分の所得税を計算してもらい、代わりに納めてもらうこと」です。

源泉徴収制度は所得税の納税漏れを防ぐための大切なルールですので、勤務先や得意先の企業には必ず源泉徴収をしてもらうようにしましょう。

この記事を書いたライター

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