最難関国家資格の一つである公認会計士試験ですが、効率的な合格のためにはどのように勉強していけば良いでしょうか。公認会計士試験に必要な勉強時間や暗記の必要性、計算と理論の勉強配分などにつき詳細を解説していきたいと思います。
公認会計士試験に合格するためには、最低でも合計3,000時間の勉強が必要であると言われています。1年間毎日勉強すると仮定すると1日8.2時間の勉強が必要です。1日も休まないでこの勉強時間はなかなか大変です。そのため、TACや大原、LECといった大手予備校では1.5年コースがスタンダードとなっています。
それでは最低3,000時間の勉強の中には暗記は必要なのでしょうか。基本的には暗記は必要です。しかし、暗記といっても理解していることを前提とした暗記であり、やみくもに暗記に走ってしまうことは避けるべきです。計算科目もこの問題はこのように解く、と暗記すると、少し問題をひねられ応用問題となると暗記だけでは到底解けなくなってしまいます。一番重要なのは暗記よりはまず本質の理解です。一方、公認会計士試験の特徴でもありますが、問題の量がかなり多く時間内に解き切ることが難しい試験です。ここである程度暗記をしてきている受験生は、特に理論科目については簡単な問題は暗記してきたものをアウトプットするだけで解くことができます。簡単な問題を暗記で回答できれば、残った時間で応用問題を、きっちり考えて解くことができます。また、短答式試験でも知識を問う問題などは暗記をしたほうが合格の可能性は高まります。
公認会計士試験に暗記がある程度必要なのは上述のとおりですが、それではどのように暗記していけば良いでしょうか。まず基本的なところからいくと、財務諸表論や監査論、企業法などにおいてよく出てくる言葉の定義については、本質の理解を前提として、丸暗記すべき事項となります。定義そのものが試験に問われることは少ないですが、論文式試験なのでは定義の記載から回答を始める場合もあるため、定義がすらすらと頭の中で言えるくらいになっておく必要があります。そして、理論科目の応用編としては、基本的な練習問題の解答を暗記しておくという方法もあります。基本的な問題の解答を暗記しておけば、本番の試験にそのまま出てくる可能性もあると同時に、応用された場合も暗記してきた解答を軸にして考えることが可能です。公認会計士試験において、いかに自分で考えることは少なくし体で解ける状態になっていることが望ましいです。また、教科書事態を暗記するという手法もあります。もちろん、すべて一語一句暗記することは不可能ですが、何ページにどんなことが書いてあったか、これだけでも覚えておくと本番中に思い出す確率が高まります。ある程度暗記できた場合は、教科書の目次だけを見て、このページにはこんなことが書いてあったと思い出す訓練をするだけで、暗記の効果が高まります。教科書を覚えておけば、基本的には本番の試験で分からないといったことは少ないはずです。教科書の内容を丸ごと暗記していく方法は高度ですが、毎日練習を続けていくとできるようになるはずなので、ぜひともチャレンジしてみてください。
公認会計士試験の試験科目は、短答式は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の四科目、論文式は会計学、監査論、企業法、租税法の四科目と選択一科目(経営学、経済学、統計学のうち一つ)の勉強が必要です。そのうち、計算問題が出題されるのは短答式で言えば、財務会計論、管理会計論です。ここで計算科目と理論科目のどちらをどれだけ勉強すれば良いかは意見が分かれるポイントです。公認会計士試験の勉強を始めたばかりの当初はほとんどが簿記の授業だけだと思いますが、勉強方法として計算科目を優先させることは多くの場合正しい選択となります。計算科目はまず理解することが大事なのは言うまでもありませんが、練習問題を数多く説いて体に染み込ませるくらいのレベルとなることが大切です。問題文を読んで無意識に解き方が分かるくらいでないと、公認会計士試験の膨大な試験問題量に到底太刀打ちできません。まずは時間のあるうちは計算科目を集中的に勉強し、練習問題に打ち込み、徐々に理論科目の勉強時間を増やすようにしましょう。試験直前期になれば計算科目と理論科目の勉強割合は50:50くらいまで理論科目の勉強時間が増えることになります。
2020年の公認会計士試験の日程は、下記のとおりです。
第一回短答式試験 2019年12月8日
第二回短答式試験 2020年5月24日
論文式試験 2020年8月21日~8月23日
ぜひ、日ごろ勉強してきた成果を発揮し、公認会計士試験の合格を勝ち取ってください。