単身赴任が決まり、無事に住む家も決まり引越し業者の手配も済みました。後は引越しの日まで家族水入らずの時間を過ごすだけ?いいえ、まだ住民票という大事な問題が残っています。どうせすぐ戻ってくるからとそのままにしてしまう人は結構います。
今回は、単身赴任のときに住民票を移さない場合のデメリットについて解説します。
単身赴任をするときに、住民票を移さなければならない法的義務はありません。
住民基本台帳法では、新しい市区町村に転入する場合、以前住んでいた市区町村に転出届を出し転出証明書を受け取ってから2週間以内に、転入先に転出証明書と転入届を出すよう定められています。
しかしそれはあくまでも、生活の拠点を移した場合の話です。この場合の生活の拠点とは自分以外の家族が済む住所を意味します。よって単身赴任の場合、必ずしも住民票を移す必要はありません。
住民票を移した場合は、保険会社やクレジット会社にも住所変更の連絡をする必要があります。こういう手続きを面倒に感じて住民票を移さない人は多くいます。
しかし、保険会社やクレジット会社から書類が届いてもそれを見ることができません。また、免許証の更新も受け取れませんので、免許証を失効させてしまうおそれもないとはいえません。
しかし、住民票を移さないことによるデメリットもあります。
・単身赴任先で選挙権がない
・納税、免許の更新などの諸手続きが、単身赴任先で行なえない
・単身赴任先での行政サービスが受けられない
地方選挙は選挙権を行使することが残念ながらできません。
一方国政選挙であれば不在者投票制度を使って投票することもできます。
しかし、あらかじめ投票用紙を送ってもらう必要があり、投票も期日前に済ませなければなりません。投票用紙を自分の住民票がある自治体に請求する手間と期日前に投票を済ませなければならないのは、結構面倒です。
もし単身赴任先が近県である場合には、選挙に併せて帰省し投票を行うことも考えられます。
パスポート取得、運転免許証の更新は原則として住民票のある場所で行うことが必要です。
ただし、運転免許証の更新は優良運転者で更新と同時に記載事項を変更するなどの事情がなければ経由更新が可能です。
また、パスポートは、会社から「居所申請申出書」を発行してもらい旅券事務所に提出すれば、単身赴任先でパスポートを取得することができます。
運転免許証の更新もパスポートの申請もあらかじめ時期がわかっているのなら、帰省時に手続きをした方がいいでしょう。
図書館やスポーツセンターなどの利用ができない場合があります。
また、市区町村が実施する無料の健康診断も受けることができません。
このような住民サービスは、当該地域に居住している人のためのものだからです。しかし、同時に当該地域に勤労している人のためのものでもあるので、健康保険証や住所が記載された公共料金の請求書の提示で、利用者カード等を発行してもらえる場合もあります。詳細については各自治体に問合せをしましょう。
もっとも、健康診断に関しては会社員の場合は事業所ごとに行いますのでこの点は問題ないかもしれません。
他には、郵便物を家族に転送してもらう必要があるというのもデメリットでしょう。
住民票を移さなかった場合、手当の支払などはどうなるのでしょうか
・子ども手当
・住宅ローン控除
・車庫証明
子ども手当は、特に手続きは必要ありません。ただし、単身赴任先が海外の場合には、新たに手当を受ける人が認定請求書を提出する必要があります。
医療費助成は、子どもと同居している人を新たな申請者にする必要があります。
住宅ローン控除は、残された家族がそのまま住み続けていれば適用されます。
手続きは特に必要ありませんが、現在単身赴任であることを証明する書類の提出を求められることがあります。
自家用車をそのまま単身赴任先で使う場合、単身赴任先の住所を管轄する警察署に、公共料金の明細表など居住実体が証明できるものと一緒に車庫証明の申請書類を提出することになります。
単身赴任の場合住民票を移す法的義務はありませんが、逆にいえば移すのも自由です。
この場合、単身赴任をする人が世帯主だと新たに別の人が世帯主になります。夫が住民票を移せば妻が世帯主になります。
一緒に住んでいる子どもが15歳以下の場合は、自動的にその配偶者が世帯主になりますが、そうでない場合は世帯主の変更届を提出する必要があります。
単身赴任になって住民票を移さなくても法的には問題ありません。しかし、先に書いたようにいくつかデメリットがあります。また、子ども手当のように引き続き適用されますが、変更届が必要になる場合があります。これは自治体によって手続きが違いますので、不明点は直接問い合わせをしましょう。
いずれにしても、家族とよく話し合って住民票を移すかどうか決めるようにしましょう。
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