確定申告をしに税務署や申告会場に行ったら、何時間も待たされたという経験のある人は少なくありません。しかし、確定申告の提出方法は窓口だけではありません。電子申告ができない方も、所轄の税務署へ郵送すれば申告がスムーズに行えるのです。本記事では確定申告の郵送方法と、行う際の注意点について解説します。
確定申告の書類は,申告窓口へ提出するだけでなく郵送でも受け付けが可能です。しかし、確定申告をあまりしたことがない人であれば、窓口へ行って提出書類をチェックしてほしくなるもの。
確定申告の時期は、所轄の税務署以外にも会議場などの会場にて申告窓口が設けられますが、会場は大混雑で何時間待ちというのも珍しくありません。
確定申告書を職員の方に相談しながら作成したかったり、添付書類が正しいかどうか見てほしかったりという人たちが確定申告会場に列をなすのです。
そもそもの書類の作り方が分からないという方達を対応しながら進めますので、待ち時間がかかるのは当たり前ですよね。
しかし確定申告自体はもう何度も経験している人であれば、記入や添付書類については理解しているはず。提出だけで何時間も待つのは時間がもったいないと感じるのではないでしょうか。
電子申告という方法もありますが、専用のリーダーが必要になるため、個人での導入はハードルが高いです。そこで役立つのが郵送による提出です。
所轄の税務署に書類をまとめて送付すれば、消印の日付で提出となり、かつ返信用封筒を用意すれば控えも返送してもらえます。
確定申告書類にかかる時間を節約したいという人には、ぴったりの方法が郵送なのです。
それでは、確定申告書類を郵送で提出する場合の手順について見ていきましょう。
確定申告に必要な書類を揃えましょう。
所得控除・税額控除については、その控除を証明する書類がありますので、それらを添付します(例:生命保険料控除証明書・社会保険料控除証明書など)
会社員であればすでに年末調整で提出している書類は添付する必要がありません。
窓口で申告書類を提出する場合には、税務署の職員に見せるだけで良い提示書類があります。しかし郵送の場合はコピーを取って写し、または原本を添付して送付する必要があります(後日返却してもらうことも可能です。返却方法に関しては後ほど記載)。
例えば以下のようなものです。
・マイナンバーの通知カードのコピーや運転免許証などの本人確認書類
(写しを取って添付)
本人確認書類は原本をそのまま送付するということは危険ですので、コピーを取って写しを添付します 。
以下の控除証明の書類については、原本を添付してそのまま提出しますが、提出した書類を返してほしい場合は、後日返却を希望するということを書いた書面と返信用封筒を準備します。
出典:国税庁WEBサイト 申告書に添付・提示する書類
今まで添付が必要だった書類について、2019年4月以降の申告届出については添付書類が不要になったものがあります。確定申告にかかるものは以下の通りです。
出典:国税庁WEBサイト お知らせ:国税関係手続が簡素化されました
この変更で一番大きなポイントは、確定申告における給与所得・退職所得及び公的年金などの「源泉徴収票」が不要となったことです。
例えば、今まで医療費控除の申告をする場合は、
・源泉徴収票
・医療費のお知らせ
の添付が必要だったのですが、2020年の確定申告からは「医療費のお知らせ」のみで申告できるようになります。
郵送した書類を返却してもらいたい場合には以下のものを準備しましょう。
A.返却してほしい書類を記載した書面
特に定型フォームはありませんので、書類名と、その書類を返却して欲しい旨を記載します。
B.申告書控えの郵送を希望する旨の書面
申告書については控えを作成しておくと、そちらに受領したスタンプを押してもらったものを返却してもらえます。
C.返送してもらうのに必要な金額の切手を貼った返信用封筒
返送書類が入るサイズの封筒を用意します。書類の重量がありますので申告書の返送を希望する場合は、念のために郵便局で重量を測ってもらった後、切手を貼付した書類をそのまま封入して送付するのが安全です。
もしお金が足りない場合は受領する際に不足金額を支払ってください。
確定申告書類と添付書類を折り曲げることなく入れるには 、A 4サイズが入る「角2」サイズの封筒がおすすめです。100円ショップなどでも手に入ります。
確定申告書類を送付する先は、居住地又は事業所の所在地を管轄する税務署です。
国税庁のWEB サイトにて管轄税務署を調べることができます。
・国税庁WEBサイト:国税局・税務署を調べる
表面には、送り先の税務署の郵便番号・住所・税務署名を記入し「確定申告書類在中」といった文言を記入しておきます。税務署の担当部門などが分からなくても、○○税務署御中で大丈夫です。
「確定申告書類在中」という文言があれば所定の部署に届きますし、もし書き忘れても開封されて確定申告書類が中から出てくれば担当部門には引き渡されます。
例えば、東京の浅草税務署に送付する場合の宛先は
〒111-8602
台東区蔵前2丁目8番12号 浅草税務署 御中
「確定申告書類在中」
となります。
裏面には、自分の郵便番号・住所・氏名を必ず記入しましょう。
確定申告書類は「信書」扱いになりますので、宅配便での送付はできません。必ず郵便局から送付しましょう。
また、 普通郵便でも送付できますが、万が一紛失した場合に対応してもらえて当館の履歴も残る「書留郵便」がおすすめです。
切手料金が足りない場合には差し戻しされてしまいますので、確定申告書類は郵便局から郵便局の窓口に持ち込んで送付した方が安心です。
確定申告書を郵送する際は消印の日付が提出日になりますので、窓口ではなくポストに投函した場合は、回収時間の関係で翌日扱いになってしまう可能性があります。ご注意ください。
長い時間待たされると分かっていても、あえて確定申告会場に行こうという人が一番気になるのが書類不備なのではないでしょうか。
郵送で確定申告書類を送付した場合は、確定申告書の記入内容や添付書類漏れなどの不備があった場合、書類自体が差し戻しされてしまいます。
書類不備があった場合は、未提出と同じ状況になり、不備の補完をしてから再提出した日が確定申告書類の提出日となります。
つまり、ぎりぎりの日程で確定申告書類を提出した場合、不備があったりすると提出期限を過ぎてしまう恐れがあるのです。
郵送で確定申告書類を作成して送る場合は、「不備が無いこと」が大前提になります。確定申告書の作成に不慣れだったり、添付書類が合っているか不安だったりする場合は、税務署の電話サービスを利用するなどして問題がないように準備しましょう
税務署では電話またはFAXで税金についての相談窓口を設けています。所轄または最寄りの税務署に電話で相談が可能です。
なおここでの「不備」というのはあくまで申告されている内容と、それに伴う添付書類があっているかということになります。
税金の申告額自体が正しいかどうか?というのは税務署や申告会場の窓口でもチェックはできません。
いずれにしても、書類不備が心配な場合は、差し戻しのことを考えて、なるべく早めに申告書を郵送するようにしましょう。
当コラム内では、確定申告についての記事を他にも公開しています。あわせてぜひご覧ください。
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