公認会計士試験は、司法試験、キャリア官僚になるための国家公務員第1種試験とならぶ三大難関試験の一つです。
それを突破しさらに監査法人で実務を積んだ公認会計士は、その後にさまざまなキャリアプランが考えられます。
今回は、公認会計士のキャリアプランの一つであるコンサルタントについて解説していきます。
公認会計士が順調に監査法人で経験を積んでいくと、経営コンサルタントになることを選択する人は多いです。経営コンサルタントは、最も人気のあるキャリアといえるかもしれません。
しかし一口に経営コンサルタントといってもさまざまなものがあります。
経営戦略コンサルタントの仕事は、中長期の戦略立案から人事に至るまで会社経営全般にわたります。上場企業をはじめとする多くの有名企業には戦略コンサルタントが関わっているといわれています。
近年コンサルタント業界でもその市場規模は大きくなっており、コンサルタントファームは中途採用を積極的に行っています。
経営戦略コンサルタントに求められる資質は、顧客の抱える問題点を聞き出すためのコミュニケーション能力と、その問題を解決するための仮説を立てることのできる論理的思考能力です。
したがって公認会計士の資格をもっていることは、有利にはなりますが必ずしも必須条件とは言えないようです。
財務コンサルタントの仕事は、クライアントのあらゆる資産を数値化することで、企業価値を客観的に見ることができるようにすることです。そして最終的な目標は、株価の時価総額を向上させることにあります。
財務コンサルタントに求められる資質は、問題を解決するための分析能力です。それ以外にも特に最近は海外企業とのM&A案件にかかわることが多いため、英語力や交渉能力が重要視されています。
公認会計士の資格があると、法的な根拠に則った問題解決が可能なため、クライアントからの信頼が厚くなります。
ファイナンシャルアドバイザーの仕事は、企業のM&Aでアドバイスをすることです。
M&Aは双方の間に仲介者が入り案件をまとめていく場合があります。それに対してファイナンシャルアドバイザーは、双方の企業にそれぞれつくのが特徴です。これは双方のクライアントの利益を最大化できるのがメリットです。一方お互いが利益を主張しあいなかなか交渉がまとまりにくいのが難点です。
ファイナンシャルアドバイザーに求められる資質としては、交渉能力や相手との落としどころを上手く探る洞察力でしょう。
企業再生アドバイザーの仕事は、企業の事業再生を支援することです。
景気回復に伴い事業再生の案件は少なくなったように思われがちです。しかし、経営者のマインドからすると経営に余裕のある今だからこそ抜本的な再生を行いたいと考えるのです。
多くのコンサルティングファームがたくさんの案件を抱えており、求人も比較的多いようです。
企業再生アドバイザーは、問題点とその原因の把握、それに対する解決案の提案と実行までを一貫してサポートしなければなりません。
したがって、分析能力や提案力が求められるのは当然ですが、それと共に泥臭く現場に入っていくバイタリティーが求められます。
公認会計士は、活躍できるフィールドが非常に広いのが特徴です。
他に考えられるキャリアプランとしては以下のようなものが考えられます。
・監査法人パートナー
・独立開業
・大企業の経理・財務・経営企画
・ベンチャー企業のCFO
公認会計士がコンサルティング業界で活躍する領域はたくさんあります。
これは、公認会計士が難関の試験を突破し、監査法人に勤務することで財務・会計・経営に関する専門知識が豊富で、さらにその知識を応用して企業が抱えるさまざまな問題点を客観的に分析する能力を持ち合わせているからです。
求人も総じて多いことを考えると公認会計士がコンサルタントとして活躍できる機会はたくさんあるといえるでしょう。
一方、コンサルティング業界は、非常に競争の厳しいことで知られています。特に大手コンサルティングファームほどその傾向が強いようです。
コンサルタントになったときには一度自分が公認会計士であることを忘れて、取り組んだ方がいいでしょう。専門的な知識だけで生き残れるほど甘くはありません。