税理士として働く際には、税務コンサルタントという選択肢があります。それでは、税務コンサルタントとしてキャリアを積み重ねていくと、将来的にどういうキャリアパスがあるのでしょうか。今回は、税理士が税務コンサルタントのキャリアをどのように活かすことができるのかについて解説していきます。
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税務コンサルタントは、税理士の仕事としてメジャーなものの1つです。税務に関する相談に対応して、それぞれに合った提案をします。また、企業の税務調査に立ち会って、適切な対応をする仕事もあります。資産税や財産保全など税務に関するコンサルティングに専門家として対応することも業務の1つです。各種税務申告書の作成なども行います。
税理士の独占業務である、(1)税務代理、(2)税務書類作成の代理、(3)税務相談を軸に主に以下5つが税務コンサルタントの仕事内容になります。
税務コンサルタントとしてキャリアを歩んでいくためには5つの業務を満遍なくこなせるジェネラリストな税務コンサルタントか、1つの分野に特化したスペシャリストな税務コンサルタントになるか自分に適した方を選択することになります。
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税務コンサルタントとは、税務の専門家としての立場から経営者のサポートをするのが大きな役割です。企業にとっては、欠かすことのできないパートナーといえるでしょう。
そのため、税務コンサルタントには税務知識に加えて、経営に関する全般的な知識も求められます。得意とする会計財務から普段関わらないようなマーケティングやシステム利用の知識まで広く使いこなす必要が出てきます。税務コンサルタントは税務のスペシャリストであり、経営のジェネラリストとして、経営者から企業を成長させるコンサルタントとして求められています。
それでは、税務コンサルタントには、どのようなスキルが必要となるのでしょうか。一般的にコンサルティングを行うために求められる資質には、以下のようなものが挙げられます。
・経営に関連する幅広い知識
・クライアントとの関係構築能力
・情報処理能力(ITスキル)
・プレゼンテーションスキル
これらに加え、税務に関する専門的な知識はもちろん、税理士事務所等での就労経験も必要となってくるでしょう。また、コンサルティングはお客様との対話ありきの仕事です。お客様の立場に立って話を聞く傾聴力やニーズを読み取る察知力、相手の本音を引き出すことができるコミュニケーション能力等は必須であると言えるでしょう。
税務コンサルタントとして仕事をしている税理士は、さまざまなキャリアパスを考えることができます。どのような道があるのか紹介しましょう。
多くの人は、税理士になると税理士法人に勤めて、税務コンサルタントの仕事に取り組むことになります。そこで、ある程度の経験を積むことができたならば、独立開業するという道があります。実際にフリーランスとして働いている税理士は多いです。税務コンサルタントの仕事はニーズが高いため、個人で仕事を請け負うことはできます。
フリーランスでは、今までの経歴や人脈を活かして幾つかの企業においてアドバイザーとして仕事を受け持つことになります。働き方に多様性が増し、税理士・会計業界でもリモートが浸透してきました。個人として税務の実力と業界内の知名度が高くなれば、離れた企業であっても何社か受け持つことが可能です。
その他、例えば地域にある商店や中小企業などの税務コンサルタントをフリーランスとして対応している人は多いです。大手税理士法人のように大企業からの仕事を請け負うことは難しいですが、フリーランスという立場だからこそ小さい商店のニーズにきめ細かく対応することができ、顧客を満足させることができます。
税理士として勤務しただけでは、関わることがなかった経営や法務について、クライアントから信頼を得て仕事をする場合は業務に関連した資格を取得するという選択肢があります。
税務知識だけでなく法務の知識を身につけたい場合は社会保険労務士、行政知識を身につけ、公営企業をクライアントとする場合は行政書士、一般的な経営知識・ノウハウを身につけたい場合は中小企業診断士など、それぞれクライアントにとって必要になりそうな知識を事前に見極めておくことで税務コンサルタントとしてキャリアの幅が広がります。
税務コンサルタントの仕事のなかにはグローバルなものもあります。日本企業はグローバル化が進んでいて、現地で働く人材を求めるケースも増えています。そこで、国際税務コンサルタントという仕事が求められます。現地での税務関連の書類の作成をサポートしたり、海外から日本に派遣される駐在員に対して日本での税務申告のサポートをしたりするといった仕事があります。英語力を駆使して外国人とやり取りをしながら、グローバルな舞台で活躍するのが国際税務コンサルタントです。
中小の税理士法人に勤めているならば、そこから大手税理士法人に転職するという道があります。大手は待遇が優れているのがメリットです。また、大企業のほうが待遇は充実していて、高年収を稼げるでしょう。
独立開業することにはリスクが伴います。そのため、しっかりと準備をして、成功できる確証を持ってから実際の行動に出ることをおすすめします。
独立したあとに安定した仕事を請け負うことができるように準備しましょう。自分で営業を行う必要があるため、積極的にアピールして顧客を獲得することが大切です。その際には付加価値のあるサービスを提供することが大切であり、自分が何を得意としているのか明確にしましょう。ほかにはない自分ならではの長所をアピールすることで、顧客を集めることができます。
国際税務コンサルタントに求められるのは語学力です。基本的には世界のビジネスの共通語といえる英語力を身につけておくとよいでしょう。外国人と十分にコミュニケーションを取ることができ、メールでのやり取りが可能で、英語で書類の作成も行えるようにするとよいです。
また、海外の法律について理解しておくことも大切です。特に税法について専門的に理解することが大切であり、正確な知識を持っていることが求められます。各国の税法に精通することは難しいのですが、それを実現できれば大きな武器となるでしょう。
日本で大手税理士法人として有名なのはBIG4です。高待遇が保証されていて、大きな仕事に関わることができるため、やりがいを持って仕事に取り組めるでしょう。
BIG4では、海外展開している会社がクライアントに多いため、英語力が必要です。将来、国際税務コンサルタントとして活躍したいならば、BIG4へ転職すると充実した経験を積むことができるというメリットがあります。
これまでにある程度の実務経験があることも重要です。ライバルはたくさんいるため、かなりの倍率となることもあります。書類選考を通ることができれば、面接を受けられます。そこでは、即戦力として働くことができる点をアピールしましょう。税務コンサルタントとして得意分野があるならば、それを長所としてアピールすると有利です。ほかの応募者との差別化を図ることが大切です。
税務コンサルタントとして働いてきたならば、そこからさまざまなキャリアパスを考えることができます。独立開業する、国際税務コンサルタントを目指す、大手税理士法人に転職するといった道があります。それぞれのキャリアパスについてよく検討して、自分に合った道を選びましょう。