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「ビジネス会計検定」って何? 試験概要や取得メリットを解説!

HUPRO 編集部
「ビジネス会計検定」って何? 試験概要や取得メリットを解説!

大阪商工会議所が主催する「ビジネス会計検定試験」は、2007年7月から始まった財務諸表の理解力を問う試験。財務諸表に関する会計知識を備え、分析力を持つことは、あらゆるビジネスパーソンにとって有益なスキルです。ほかに同様の資格がないこともあり年々注目が高まっています。本記事ではそんな「ビシネス会計検定」の試験概要やメリットなどについて解説していきます。

ビジネス会計検定試験とは?

ビジネス会計検定試験は、2007年7月から始まった比較的新しい試験で、大阪商工会議所が主催しています。試験内容としては財務諸表に関する知識や分析力を問うもので、財務諸表の数字が表す内容を理解・分析してビジネスに役立てることを目指しています。

経理職以外の職種の人は、実際に財務諸表を作成する必要はありません。だからといって、経理や会計情報について全く知らなくて良いというわけでありません。決算書の数字が何を差しているか、どう他の数字と関連しているかなどを読み解ける力は、ビジネスパーソンとしてぜひ持っておきたいスキルです。

例えば財務諸表の読み方がわかることで、自社だけでなく取引先や投資先など様々な会社の経営状態を正しく把握することができます。**新たな取引先の開拓や、転職希望先の経営状況を確認するとき、自分で株式投資をしたいときなど、多くの場面で活用できるのです。
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ビジネス会計検定試験は、1級から3級までの3つのレベルをそろえ、財務諸表の基本的な見方から、連結財務諸表の構造、総合的な会計知識に至るまで包括的に学ぶことができるようになっています。

参考:大阪商工会議所:ビジネス会計検定試験とは

ビジネス会計検定試験の概要

ビジネス会計検定試験は年二回、全国の指定会場で一斉に実施されます。ただし1級は年に一回、3月にしか受験ができません。

・毎年10月:2級・3級
・毎年3月:1級・2級・3級
・受験申し込み:受験日の約2か月~1か月前
・受験地:札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、山口、松山、福岡

受験申込期間が短いので、申し込み漏れがないように注意しましょう。

受験概要と申し込み表は「ビジネス会計検定試験」のWEBサイトのビジネス会計検定試験 受験要項請求フォームから取り寄せができます。

ビジネス会計検定試験の試験内容と難易度

前述の通り、ビジネス会計検定試験では、1~3級までの3つの級が用意されています。受験資格は無く、自分の好きな級から受験をすることができます。
それぞれの級の試験内容と、合格点・合格率を見てみましょう。

ビジネス会計検定3級

会計の用語や財務諸表の構造・読み方・分析など、財務諸表を理解するための基礎的な知識を身につけることを目的とした試験です。企業の成長率や稼ぐ力・支払い能力はどれくらいかといった分析ができるようになることを目指します。
貸借対照表、損益計算書、およびキャッシュ・フロー計算書(いずれも個別)の構造や読み方についても出題されます。
難易度についてはそこまで高くなく、会計初心者でも挑みやすい難易度で合格率も高い水準をキープしています。

試験時間:マークシート方式:2時間
合格点:100点満点で70点以上得点
合格率:例年60%前後
受験料:4,950円(税込み)

ビジネス会計検定2級

3級の内容を前提とし、企業の経営戦略や事業戦略を理解するため、財務諸表を応用的に分析する力を身につけるための試験です。3級よりも専門性は高くなっています。
有価証券報告書の連結財務諸表に記載されている項目と計算構造について、キャッシュ・フローの分析、企業の採算性を探る損益分岐点分析等、応用的な領域についても出題されます。

試験時間:マークシート方式:2時間
合格点:100点満点で70点以上得点
合格率:例年40%前後
受験料:7,480円(税込み)

ビジネス会計検定1級

1級は、企業の成長性や課題、経営方針・戦略などを理解・判断するため、財務諸表を含む会計情報を総合的かつ詳細に分析し企業評価できる力を身につけるための試験です。
投資関連の各種ディスクロージャーや財務諸表と計算書類の総合的な理解を深めることを目的として、概念フレームワーク、会計基準、内部統制、企業価値分析の基本的な考え方や分析方法などが出題されます。
合格率は20%前後となっており、かなり難易度の高い資格です。

試験時間:マークシート方式および論述式:2時間30分
合格点:200点満点で、論述式50点以上かつ全体で140点以上の得点
合格率:例年20%前後
受験料:11,550円(税込み)

なお、1級は合格率も低く、難易度が高いため、2015年度実施の第18回検定試験より、不合格者の得点上位者を1級合格に準じ「準1級」として認定する制度があります。「準1級」の基準は、全体で120点以上得点した受験者です。

参考:大阪商工会議所:ビジネス会計検定試験とは

ビジネス会計検定1級

ビジネス会計検定と簿記検定の違い

ビジネス会計検定とよく比較されるのが、日商簿記検定です。
資格としての有名度合いを見ると、日商簿記検定はビジネス会計検定とは比較にならないくらいメジャーな資格です。

しかし、簿記検定では「会計基準にしたがって財務諸表を正確に作成する」のに対し、ビジネス会計検定は「作成された財務諸表を読み解く力」が問われます。
財務諸表を分析してどうやって経営に生かしていくかという部分を問う試験が「ビジネス会計検定試験」なのです。「会計」というと「簿記」が浮かぶ人も多いかもしれませんが、ビジネス会計検定は簿記の知識がなくても合格できます。

簿記検定とビジネス会計検定との違いについては下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご一読ください。

ビジネス会計検定受験はどのような人におすすめなのか

ビジネス会計検定は、資格のメジャー度からいうと「持っていたら一目置かれる」資格では残念ながらありません。大事なのは、資格の勉強を通じて実社会で役立つ会計の知識を習得することです。では、ビジネス会計検定はどのような人たちにおすすめなのでしょうか。

これから就職・転職を考えている人

たとえば、学生や転職希望者にとっては「良い企業」を見つけることが重要です。
「良い企業」とは、有名だったり規模が大きかったりすればということではありません。重要なのは、事業と財務体制がしっかりしているかどうかです。
財務諸表をきちんと読み解くことができるようになれば「実は火の車だった」というような企業に就職・転職することを防ぐことにつながります。また、面接の受け答えをするときに数字を使って説明をすることもできるようになります。

業務に活かせる汎用的なスキルを身につけたい人

前述の通り、財務諸表を読み解く力というのはビジネスパーソンにとって心強いスキルとなります。数字で考えること、数字の表すことを理解することは、あらゆる業務にとって必要です。
企業分析が可能になることで、他社の強味やニーズを知ることにも繋がりますし、ライバル企業の弱点を把握することもできます。
経理部の方であっても、財務諸表を作成したら終わりではなく、作成された決算書類をどう生かすかということを理解しておくことは、自分のステップアップにもなるでしょう。これから財務やIRに進みたい方にもおすすめです。

経営者、起業・独立したい人

経営者や個人事業主にとって、事業計画の立案・見直しは非常に重要です。
決算業務を税理士にまかせたとしても、財務諸表を分析し、安全性・収益性・成長性や損益分岐点といった観点から、事業をどうするかを判断するのは、経営者の仕事となります。
数字を使って、ビジネスを客観的に見ることができるようになると、経営の確実性を高めることにつながるのです。

株式投資を行う人

株式投資をするにあたり、企業の財務状況を分析するスキルは必須です。
2級で、連結財務諸表を前提とした財務分析を行うことになりますので、ほとんどすべての上場企業の財務分析を行うことができるようになります。

企業は、投資家向けにIR情報をWEBサイトで提供していますが、この情報をもとに、投資すべき企業かどうかの判断を行えるようになるのです。
株価の上がり下がりを予測する基礎的なスキルは、財務諸表の分析から始まります。ビジネス会計検定は、株式投資にも役立つのです。

ビジネス会計検定の次に目指す資格は?

ビジネス会計検定を取得した後の資格として、中小企業診断士の資格を目指す方も多いです。
中小企業診断士は、経営コンサルタントとして認定する唯一の国家資格。合格率が4〜5%で難関試験として知られています。

試験範囲は経営戦略や財務会計、人事、法務、さらにはマーケティングなど幅広いです。その中で財務分析を扱う問題が1次試験「財務会計」・2次試験「事例Ⅳ」で出題されます。

もちろん、中小企業診断士の方が、財務諸表分析一つとっても出題範囲は広いです。しかし、ビジネス会計検定で学ぶ財務諸表分析は、中小企業診断士試験の財務会計の中でも、重要な論点となります。

つまり、ビジネス会計検定試験の勉強をすることで、中小企業診断士試験の勉強をすることにもつながるのです。そのため、中小企業診断士の前段階として、ビジネス会計検定試験を受験する人も増えています。

まとめ

ビジネス会計検定は、財務諸表の読み方や分析の仕方などを問う検定試験です。企業の経営状態を財務諸表から判断することは、ビジネスパーソンとして大切なスキル。技能を身に着けておいて損することはありません。本来的な分析の視点を養うために、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。会計未経験の方もチャレンジしやすい資格です。

この記事を書いたライター

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